経理や人事などのバックオフィス業務の効率化を図ることで、企業全体の収益向上に繋がりやすくなります。
本記事では、バックオフィス業務の概要から重視される理由、抱える課題、効率化によるメリットとその方法、具体的に取りかかるべきことまでを紹介します。経営の視点からバックオフィス業務の効率化を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
バックオフィス業務とは?業務内容を解説
バックオフィスの業務とは何かと聞かれても、正確に答えるのは難しいものです。ここではまず、バックオフィス業務についての概要を解説します。
顧客と直接関わらない経理・人事などの業務
一般的にバックオフィス業務にあたるのは、財務・法務・経理・総務(労務)・人事など、顧客と直接関わらない業務です。一方、営業やコールセンター業務など、顧客と直接関わる業務のことをフロントオフィス業務といいます。
バックオフィス業務は事務業務や管理業務が中心のため、デスクワークがほとんどです。問題点として、人手不足になりやすかったり、特定の時期に業務が集中するなどの課題を抱えています。
バックオフィス業務が重要視される理由
バックオフィス業務は、事務や管理など裏方のあまり目立たない業務が中心のため、社内でそれほど重視されないと思われがちです。しかし、企業活動の根幹を支える業務であり、しっかり整え強化することで、企業組織はより強固なものになります。もし、バックオフィス業務をこなす部隊がいなければ、営業部隊は社内での作業に追われることになり、営業成績を上げるのは非常に困難となるはずです。
逆にバックオフィス業務を強化することで、自社の経営戦略を実現すべく、フロントオフィスが抱える課題の解決方法を探ったり業務改善したりできる可能性が高まります。
バックオフィス業務を効率化するメリット
バックオフィス業務は、さまざまなツールやサービスを使うことで効率化できます。ここでは、バックオフィス業務の改善で、どのようなメリットが得られるかについて解説します。
ヒューマンエラーが起きにくくなる
これまでアナログで行っていた業務のデジタル化により、ヒューマンエラーが起きにくくなります。例えば、これまで電卓を使って手書きで作成していた請求書を、電子化・システム化することで、計算ミスや記載ミスなどを大幅に減らすことが可能です。
特にバックオフィス業務を自動化すると、業務の正確性を保ちやすく、何百回・何千回の繰り返し作業も正確に行えるようになります。その結果、ミスをリカバリーするための余計な業務も不要となり、効率的です。
生産性が向上しやすくなる
バックオフィス業務を効率化することで、各人のリソースを確保でき、生産性向上を実現できます。デジタルツールを活用すると、これまでは手書きや手計算で時間がかかっていた作業でも短時間でこなせるようになるため、その時間を他の業務に費やすことが可能です。また、業務の属人化から脱却できるのもポイントです。特定の人に業務が集中しなくなれば、異動や退職といった変化にもスムーズに対応できるようになります。
コストを削減しやすくなる
デジタル化で効率化が図れると、あらゆる面でコスト削減がしやすくなることもメリットのひとつです。例えば、これまで紙で管理していた書類を電子化することで、用紙代や印刷代などの諸費用を減らせます。つまり、企業経営に必要不可欠な固定費を削減できるわけです。
また、書類を保管するスペースも不要となり、限られた空間を他の形で活用できます。さらに、ルーティーン作業を中心にさまざまな業務を自動化することで、人件費も削減可能です。
安定した企業活動に繋がる
デジタル化で組織全体の業務効率化を図ることは、安定した企業活動の実現にも繋がります。例えば、紙の書類を電子化しクラウド上に保管することで、自然災害やテロなどで拠点が被害を受けた場合でも、重要な書類の喪失を防ぐことが可能です。
デジタル化だけでなく、バックオフィス業務の一部をアウトソーシングすることでも、リスク分散が図れます。万が一の事態が発生した場合でも、業務を中断することなく外注先で業務を継続して遂行できれば、顧客からの信頼を得ることになるのは大きな魅力です。
バックオフィス業務の課題
多くの企業において、バックオフィス業務はさまざまな課題を抱えています。主なものとしては、「業務量が多く、負担が大きい」「業務が属人化しやすい」などです。ここでは、課題を少し掘り下げて解説します。
業務量が多く、負担が大きい
バックオフィス業務は日常の定型的な業務から高度な専門知識が必要なものまで、幅広いことが特徴です。そのため、おのずと業務量が多くなります。
経理や法務では請求書や契約書作成など、業務の性質としてミスの許されない仕事が多いことも負担の原因となりがちです。
業務が属人化しやすい
専門性が高いゆえに属人化しやすい点も挙げられます。知識や経験がなければ習得に時間がかかるため、結局ベテラン社員が長く従事せざるを得ないこともよくあります。業務のプロセスやノウハウを共有できずに属人化が進めば、最適な方法も模索できず、業務改革はなかなか進みません。
バックオフィス業務を効率化する方法は?
では、実際に効率化するためにどうすればよいのか、おすすめの方法について具体的に解説します。
自動化システムを利用する
まず候補となるのが、自動化システムを利用することです。現在はデータ入力やチェック作業など、平易な単純作業はRPAやチャットボット、経費計算ツールなどを使うことで自動化が可能です。人手に頼ることがなくなるため無駄な時間の削減に繋がるほか、エラーも低減します。
自動化システムの身近なものでは、Excelを使う方法も一例です。Excelはマクロを覚えて活用することで操作を自動化でき、複雑なデータ処理もボタンをクリックするだけで自動的に行えます。
クラウドサービスを使う
クラウドサービスを利用するとデータなどを一元管理でき、業務効率が大幅にアップします。また、データはクラウド上に保存されるため、パソコンが故障したり紛失したりした場合でも安心です。
クラウドサービスの中には、データをリアルタイムで共有できるクラウドERPや、勤怠管理など特定の業務に特化したものがあります。システムの拡張性などを考えると、さまざまな業務に使えるクラウドERPがおすすめです。
バックオフィス業務をアウトソーシングする
バックオフィス業務の全てもしくは一部をアウトソーシングすることも、業務効率を上げるひとつの方法です。起業したばかりの企業や少数精鋭の企業は、バックオフィス業務を外部委託すれば、収益アップに繋がる可能性があります。特に、システムやツールで対応しにくい複雑な業務は、アウトソーシングするのが効果的です。全てではなく一部を外注したり代行してもらったりするだけでも、変化に期待できます。
バックオフィス業務を効率化する手順
効率化の基本的なスタンスとしては、できることから始めるのがポイントです。細かいところは業種などによるものの、ここでは効率化の大まかな手順、方法について解説します。
まずは決裁体制のデジタル化から着手
バックオフィス業務の効率化に関して、まずは決裁フローの電子化を検討しましょう。電子決裁システムを導入することで、いつでも承認や決裁ができるため、迅速な意思決定が可能になります。特にテレワークを導入するには、遠隔からでも承認フローを回せる電子決裁システムがなければ不便です。
また、社内の稟議や勤怠管理、各種申請などの手続きを電子化することで、紙ベースによるやりとりがなくなり、ミスが発生しにくくなります。業務の可視化や問い合わせ対応のスピード向上にも期待できます。
ルーティーンの業務の自動化や委託も検討
決裁体制のデジタル化ができれば、次はルーティーンワークの自動化やアウトソーシングを検討しましょう。請求書の発行やメール・電話対応などを自動化したり、外部委託したりすると業務効率化に繋がります。
ルーティーンワークを自動化する場合は、担当者が操作しやすいツールを選定するのがおすすめです。ただし繁忙期の導入、もしくは短期間での導入をしようとすると、ミスが発生しやすくなる点には注意しなければなりません。また、ルーティーンワークをアウトソーシングする際は、わかりやすいマニュアルを作っておくことが重要です。
バックオフィス業務の効率化に役立つツール
バックオフィス業務の効率化には、
- ERP
- 社内向けチャットボット
などがおすすめです。
ここでは、それぞれどのような特徴やメリットがあるのかについて解説します。
ERP
そもそもERPは「Enterprise Resource Planning(企業資源計画)」の頭文字を取った用語で、日本国内では基幹システムなどと呼ばれています。企業活動にとって必要な基幹となる業務、例えば会計、人事、生産、物流、販売などにまつわるデータを一元管理し、業務効率化をめざせるのがメリットです。
社内向けチャットボット
近年は「ChatGPT」などAIを使った対話型の自動プログラムが注目を集めています。そこまで高度なものではなくとも、バックオフィス業務であればあらかじめよくある質問と回答とをプログラムしておくことで、社内向けチャットボットを運用可能です。
そもそもチャットボットとは、コンピューターが人間に代わって自動的に会話するプログラムを指します。用意された質問を受け付け、チャットボットが適切に回答すれば、無人でも迅速かつ正確な回答が可能になるほか、人的なコスト削減も実現できます。
まとめ
バックオフィス業務の効率化は、安定的な企業活動を行う上で急務です。ITツールやアウトソーシングを導入することで、効率化を迅速に実現できます。まずは比較的かんたんな業務の自動化から検討しましょう。
またITツールは、さまざまなデータをクラウド上で一元管理できる、クラウドERPがおすすめです。データをリアルタイムで共有することで、業務効率化のみならず全社的なDX推進もできます。
興味をお持ちの方は、ぜひ導入をご検討ください。
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