製造業が取り組むべきSDGsとは?事例やメリットを紹介

 2022.04.04 

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SDGsの目標期限である2030年まで残り10年を切った今、社会の経済活動を支える民間企業には、より一層の積極的な取り組みが求められています。特に製造業は大量生産や大量廃棄、化石燃料の大量消費など、解決すべき課題が多くあります。本記事では、製造業と関わりの深いSDGsの目標やSDGsに取り組むメリット、企業の具体的な取り組みの事例などをご紹介します。

製造業が取り組むべきSDGsとは

「持続可能な開発目標(SDGs)」とは、2030年までにすべての人々が平和と繁栄を享受できるような世界をつくるために、2015年の国連サミットで採択されたグローバルな行動目標です。SDGsは17の大きなゴールと、169のターゲットから構成されており、その内容には環境や社会、貧困や労働などに関するさまざまな項目が含まれています。

SDGsの目標達成のためには、国家機関だけでなく、官民の区別や規模の大小を超えたあらゆる組織、あらゆる個人の協力が不可欠です。そして、それは製造業に関わる企業や組織も例外ではありません。17の目標の中には、エネルギーや技術革新、働きがいについてなど、製造業と関わりの深いものも少なくないからです。

企業や社会の成長を滞らせることなく、エネルギーや労働問題を解決すべきか考えること、そして持続可能な社会を実現する新しいイノベーションやシステムづくりが、製造業にも求められています。

製造業が取り組むべきSDGsとは?事例やメリットを紹介

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製造業と特に関わりの深い5つの目標

製造業と特に関わりの深いSDGsの目標としては、以下の5つが挙げられます。それぞれについて理解を深め、SDGsにどう貢献していくべきかを考えていきましょう。

製造業と特に関わりの深い5つの目標

2飢餓をゼロに

現在、世界では約7.7億人、10人に1人が飢餓で苦しんでいます。特にアジアでは飢餓の人口が多く、その数は4.2億人以上にものぼります。

飢餓は自然災害が多い国や紛争地域に集中しており、そうした場所では子供や乳幼児の死亡率が非常に高くなっています。子どもが亡くなったり、病気になったりすることは、国の成長や発展を遅らせることにつながります。しかし、困難な状況にあるその国だけで現状を打開することは難しいため、教育や雇用を含めた世界的な支援が必要です。

現在、日本の製造業に関わる企業はコスト削減のため、海外に工場を建てて、現地の労働力に頼って商品を生産しています。しかし、それにより現地の環境が汚染されて自然災害の遠因になったり、不適切な条件により労働者が貧困から抜け出せなくなったりといった問題も生じています。

今後、製造業には現地の環境に配慮した生産方法の実現や、適切な労働環境による雇用創出などが期待されています。また、廃棄する食品を必要な人に届けて、フードロスを減らす仕組みづくりも重要な課題です。

7エネルギーをみんなにそしてクリーンに

日本では皆、当たり前のように電気を使っていますが、世界ではまだ電気を使えない人が約7.3億人もいます。夜に明かりがなくて勉強できない人や、薪や炭を燃やして料理をしている人たちが、平等にエネルギーを使えるようにすることは、世界の発展のためにも大切なことです。

また、現在のエネルギーは石油や石炭、天然ガスといった化石燃料を原料としたものが中心となっていますが、こうしたエネルギーは生産時に二酸化炭素を発生させるため、地球温暖化の原因になっています。

特に製造業は化石燃料のエネルギーを大量に消費するため、それらをできるだけ太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーに切り替えていくことが、今後の大きな課題になるでしょう。
とりわけ日本は世界屈指のエネルギー消費国でありながら、その大半を輸入に頼っているため、エネルギーの自給率を上げることも同時に検討していかなければなりません。

8働きがいも経済成長も

世界では働きたくても働けない人や、仕事があっても充分な収入を得られず、長時間働いても貧困から抜け出せない人が数多く存在します。さらに、途上国を中心に約1億6,000万人もの子供たちが、教育を受けることなく働きに出なければならない過酷な状況に置かれています。教育を受けず育った子供たちは低収入の仕事を転々とし、その結果、充分な医療が受けられなかったり、犯罪に走ったりするケースも少なくありません。

日本の製造業は、海外に生産の拠点を置いているところが多く、現地の安い労働力に頼ることでコストを抑えています。しかし、そうした企業活動のあり方は、現地の人々に厳しい労働条件を強いることにつながっています。また、日本国内でも過酷な長時間労働などが多くの企業で問題となり、働き方改革が求められています。

今後はデジタル技術の導入による効率化などでコスト削減を進め、従業員に対して適切な労働条件を適用することが期待されます。そして環境の観点から、これまでの大量生産・大量消費という製造業のあり方自体も、見直される時期にきています。

9産業と技術革新の基盤をつくろう

先進国は、これまでさまざまな資源やエネルギーを消費し、産業を発展させて成長を遂げてきました。しかし、限りある資源を守るためには、これまでの大量生産・大量消費の産業のあり方を見直し、持続可能な方法に切り替えていく必要があります。

そのために期待されているのが、インターネットやAIを使ったイノベーション(技術革新)です。遠隔操作できるスマート家電や自動運転の車など、近年の技術革新はSFのようなことを次々に可能にしています。

製造業でもデジタル技術は続々と導入されており、ペーパーレス化や効率化が進んでいます。今後はデジタル技術により、さらなる省資源・省エネルギーが普及していくことが期待されます。また、最新の技術により大規模な災害などが起きても、復旧しやすいインフラづくりも重要な課題です。

12つくる責任つかう責任

現代の生活は、大量の資源やエネルギーを消費することが前提となっています。1970年代以降、人類が1年で消費する資源が、地球の生態系が1年で生み出す資源量を下回ったことがないのをご存知でしょうか。このままの生活を続けていけば、いつか資源が枯渇することは目に見えており、早急に持続可能な方法を模索していかなければなりません。

これからの生活では、私たち一人ひとりが資源を消費することに責任を持ち、次の世代へと受け継いでいくことが大切です。個人でできることとしては、資源のリサイクルやマイバッグの携帯、省エネ家電の利用などが挙げられます。

製造業においては、過剰な包装をやめる、容器などを回収してリサイクルするなどの方法が考えられます。また、商品が不足しないよう大量に生産し、余ったら廃棄するというやり方がこれまでのスタンダードでしたが、今後はできるだけロスを減らす生産方法も検討されるべきでしょう。

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製造業がSDGsを取り組むべき理由

製造業は、これまで大量のエネルギーや資源を消費して、環境に負荷を与えてきました。環境省監修の「日本国温室効果ガスインベントリ報告書」によれば、2019年度に日本で排出された二酸化炭素の23.5%が製造業および建設業由来であるとされています。

しかし、そうした大量生産・大量消費の事業活動のあり方は、見直されるべき局面にきています。消費者や投資家も環境への関心を高めており、SDGsに取り組むことは企業の社会的責任として求められるようになっています。

今やSDGsへの取り組みの有無は、企業評価の重要な指標にもなっており、特に環境への負荷が大きい製造業がそれを実行する意味は大きいでしょう。

製造業がSDGsに取り組むメリット

では、製造業にたずさわる企業がSDGsに取り組むと、どのようなメリットがあるのでしょうか。以下で詳しく解説します。

自社のイメージアップ効果につながる

SDGsに対する世間の関心は、年々高まっています。SDGsに取り組めば社会的責任を果たしている企業として、組織のイメージアップにもなります。イメージのよい企業の製品は消費者からも選ばれやすく、優秀な人材も集まりやすくなり、企業の成長につながります。

競合他社との差別化ができる

現代はモノが溢れている時代です。消費者から自社の製品を選んでもらうためには、何らかの付加価値が必要になりますが、「環境に配慮した製品である」「SDGsに取り組む企業の製品である」という事実は、それ自体が付加価値になり得ます。環境問題に高い意識を持つ消費者は、価格が多少高くてもそうした商品を選ぶため、競合他社との差別化を図れるでしょう。

ESG投資が受けられる

ESGとは、環境(Environment)・社会(Social)・企業統治(Governance)の頭文字をとったもので、近年アメリカや欧州を中心に、ESGに配慮する企業への投資が活発化しています。国際的にはすでにSDGsへの取り組みを、投資の際の評価基準として採用する動きが定着しつつあり、環境への配慮や社会貢献を行うことは、資金調達の面でも有利に働く可能性があります。

製造業におけるSDGsの取り組み事例

ここからは、製造業の各分野におけるSDGsの具体的な取り組みについてご紹介します。

SDGs2・食品製造業における取り組み

日本を代表する大手食品メーカーでは、災害地域の被災者支援や紛争地域の食料支援、途上国の貧困支援などを目的に、自社が生産するインスタントラーメンの無償提供を行っています。

また、大手飲料メーカーでは、自社の紅茶にスリランカ産の茶葉を使用していますが、その縁でスリランカの紅茶農園を長期的に支援するプロジェクトを実施しています。具体的な活動内容は、スリランカの紅茶農園が「レインフォレスト・アライアンス認証」を得るための支援と、農園の子供達が通う学校への本の寄贈の2つです。レインフォレスト・アライアンス認証とは、持続的に運営していける農園であることを保証する、国際的な認証です。

こうした食品製造業の取り組みは、世界から飢餓をなくし、途上国が持続的に発展することに貢献しています。

SDGs7・製造業組合における取り組み

企業だけでなく製造業の組合でも、SDGsに取り組んでいる例があります。複数の繊維業者が所属している組合では、太陽光発電などの再生可能エネルギーの導入や、重油ボイラーからガスボイラーへの切り替え、工場のLED化などにより、組合全体で何と一般家庭3,500軒分に相当するCO2排出量の削減に成功しました。

また、再生可能エネルギーの発電設備を活用し、地域マイクログリッドを構築した企業もあります。ここでは、平時は太陽光発電を自社工場の事業用電力として使用し、災害時は発電設備と蓄電システムを地域に開放することで、周辺の避難所などに電気を届けられるようにしています。CO2排出量の削減と地域への貢献を両立できる理想的なシステムです。

今後も、さまざまな企業が再生可能エネルギーを導入することにより、より大幅なCO2排出量の削減が期待できます。

SDGs8・建設業における取り組み

大手ハウスメーカーでは、働きがいと経済成長を両立させる環境づくりに取り組んでいます。そのひとつが、次世代型多機能物流施設「DPL流山」の開設です。これは物流業で働く人たちのための職場であると同時に、保育施設も併設されているのが大きな特徴です。遠い保育園まで送迎の必要がなく、何かあればすぐに駆けつけられる距離に子供がいることで、従業員は安心して働けます。

企業主導型保育園のような、職場と保育施設が隣接している施設は近年増えています。働き方改革に注目が集まる昨今、従業員が働きがいを感じられる環境づくりは、今後も企業に求められていく課題のひとつです。

SDGs9・機械製造業における取り組み

新しい産業の基盤づくりとして、デジタル技術の導入は欠かせません。機械製造業を行うある企業では、製品のICT化・IoT化による効率化や省人化に取り組んでいます。

同社が扱うICT建設機械は、測量・設計・計画・施工・検査という一連の工程で生じたデータをICTでつなぎ、一元的に管理できるシステムを実現しています。すべての工程が可視化されることで、現場の従業員の安全性や生産性が向上するだけでなく、可能な部分は自動化することで労働不足の解決にもつながります。

今後は製造業のさまざまな現場で、こうしたICT・IoTシステムの導入により、さらなる自動化・効率化が進むでしょう。

SDGs12・各種製造業における取り組み

そのほかの各種製造業においても、「つくる責任つかう責任」を意識した取り組みが進んでいます。建物の外壁塗装・防水工事を手がける企業では、宇宙ロケットの技術を応用し、外の熱を遮断して室内を涼しく保てる断熱塗料の開発に成功しました。

また、緩衝材や梱包材を扱う企業では、環境面から問題の多いマイクロプラスチック削減のため、卵の殻を有効活用したバイオプラスチックの開発を進めています。プラシェル樹脂と卵の殻を配合して生成されるバイオプラスチックは、従来よりもプラスチックを60%削減することが可能です。

このように各種製造業では、自社が培ってきた技術を環境のために活用する取り組みが進んでいます。こうした動きは今後もさまざまな企業に広がるでしょう。

製造業におけるSDGsの取り組みに役立つクラウドERP「NetSuite」

今後、製造業においてSDGsの目標達成のために欠かせないのが、デジタルツールの活用です。特に「8働きがいも経済成長も」の目標に対して、デジタルツールは大きな役割を果たします。

たとえば、RPAのような自動化ツールを導入することで、単純な反復作業やルーティンワークをパソコンに任せられるため、業務効率化や従業員の労働時間の削減が可能になります。

また、ERPのように自社の「人・モノ・金」の情報を一元管理できるツールを活用すれば、在庫や売上といった企業の財務に直結するデータだけでなく、二酸化炭素排出量などの非財務データも可視化でき、SDGsの目標達成に向けた課題を洗い出しやすくなります。

NetSuiteは、クラウド型でERPのサービスを提供した世界初の企業です。クラウド型のため初期費用が安く抑えられ、大規模な設備投資をせず手軽にERPシステムを導入できます。デジタルツールを活用したSDGsに取り組みたい企業様は、ぜひ導入をご検討ください。

まとめ

SDGsは環境問題や労働問題を解決し、持続可能な社会を実現するために必要な目標です。社会的な関心も高まっており、今やSDGsに取り組んでいるかどうかは、世間が企業を評価する指標のひとつにもなっています。

大量の資源やエネルギーを消費して製品を社会に供給する製造業も、これまでのあり方を見直し、SDGsに積極的に取り組むことが求められています。特にクリーンなエネルギーへの転換や、技術革新による適正な労働環境づくりは、製造業が貢献できる分野でしょう。そのためには、RPAやERPなどインターネットとデジタル技術を用いた、業務効率化ツールの活用も必要です。

NetSuiteはERPやCRM、Eコマースといった主要な業務アプリケーション機能を集約したクラウド型のプラットフォームです。クラウド型なので初期費用を抑えながら、各分野のデータを可視化して一元管理し、業務効率化や労働時間の削減につなげられます。SDGsへの貢献につながるIT基盤としても役立つサービスですので、ぜひ導入をご検討ください。

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