「自社サービスの販路を海外にも確保したい」と考えている企業は少なくないでしょう。大企業でも失敗する可能性がある海外進出ですが、ベンチャー企業が成功を収めるケースも珍しくありません。当記事では、ビジネスのグローバル展開に関するメリットや想定されるリスクについて解説します。また、海外事業を展開する企業の事例も合わせて紹介します。
グローバル展開する注目のベンチャー企業の紹介
株式会社LIFULLは複数のWebサイトから「不動産・車・求人」をテーマにしたアグリゲーションサイト「Trovit」を世界53ヶ国で事業展開しています。アグリゲーションサイトとはWeb上のさまざまな情報を特定のテーマに沿って収集し提供するサービスのことで、2018年に世界最大級のアグリゲーションサイトの一つである「Mitula」を買収したことを機に、グローバル展開する不動産アグリゲーションサイトとして世界でもトップクラスのシェア率を獲得しています。
BEENOS株式会社は、子会社でのグローバルコマース事業を展開しています。海外展開を視野に入れている企業に対して国際取引間で発生する言語や決済、物流に関する課題を解決するプラットフォームを提供する事業です。いわゆる「越境EC」と呼ばれる日本国内と海外を結ぶ電子商取引やオンラインマーケットの代理購入サービスといった事業を起点に急成長を遂げているベンチャー企業です。
国内トップクラスのシェアを誇るフリマアプリを展開する株式会社メルカリも、ビジネスの海外展開に注力している企業です。アメリカのボストンやポートランドに支店を構え、現地でサービス開発などの事業を行っています。また、2019年以降には先述したBEENOS株式会社の営む商品代理購入サービス「Buyee」との連携により、100ヶ国以上への越境販売を実現するなど、基幹事業の「メルカリ」をグローバル化することに挑戦しています。
Wantedly株式会社の提供する、ビジネスパーソン同士をマッチングサービス「Wantedly」もシンガポール、ドイツ、香港を拠点に海外展開をしています。企業と人のマッチングは世界中で高い需要があり、その中でもマッチングする仕組みが弱い国を対象として日本国内で蓄積したノウハウの提供を行うサービスによりグローバル展開を成功させています。
スマートフォン向けゲームアプリの開発をする株式会社アカツキもアメリカ、フランス、ベルギー、香港、スイスといった海外マーケットで事業展開をしています。2010年創業の同社は設立から4年後に台湾支社を設置するなど早期から海外に目を向けたビジネスモデルを構築しており、現地スタッフとの協働によるゲームの細かなローカライズなどに力を入れています。
Web制作やメディア運営などさまざまな事業展開をしている株式会社LIGも海外展開をしており、フィリピンのセブ島に支社を構えています。コワーキングスペース「iioffice」を運営する傍ら、現地の人材とともにWebサイト制作などの事業を行っています。
ベンチャー企業がグローバル展開するメリット
海外進出をすることには多くのメリットが期待できます。経営地盤が安定した大企業はもちろん、起業して間もないベンチャー企業だからこそ、事業展開をスピーディに広げる追い風になる可能性が高いです。
海外進出における大きなメリットとして挙げられるのが「生産コストの削減」です。日本と比較して、海外は人件費や原材料が安く、生産コストを削減しつつも、生産性を向上させることができます。
また、海外に拠点を置くことで海外市場への販路を開拓することが可能となります。日本市場は少子高齢化や最低賃金向上率の低下の影響を受けて、縮小傾向にありますが、世界市場は人口増加や最低賃金上昇率の高さから拡大中です。
海外には未開発な市場も残っており、参入する余地が残っているため、ベンチャー企業でも販路拡大が狙えます。
さらに海外展開をすることは節税にもつながります。海外でも日本と同じく利益に対して税金は発生します。しかしながら、その税率は国や地域によって異なり、日本より低い場所もあります。同じ利益でもかかる税金に差が出るため、低価税地域でビジネスを展開することで新たな販路を確保しつつ利益率を向上させることも可能と言えるでしょう。
そして、海外進出にはブランディングの点でも大きなメリットがあります。海外マーケットを開拓している商品やサービスには、独自性や信頼性、差別ポイントとしてプラスに動くため、「世界で評価されている」という事実を証明することにつながります。企業価値を押し上げることは、結果的に国内事業の発展を大きく後押しする強みにもなり得ます。
グローバル展開するベンチャー企業のリスクとは
海外市場に事業を展開することは、市場を拡大するメリットであると同時に、さまざまなリスクも内包する施策です。グローバル展開の検討時には、起こりうるリスクを事前に把握し、対策に万全を期しておくことが求められるでしょう。
海外進出した国や地域において、政治や経済の状況によって情勢が変化するカントリーリスクは進出前にチェックしておきたいポイントです。また、現地の法制度や規制の対象に対しても日本とは大きく異なる場合があり、社会情勢によってはビジネスを厳しく取り締まられる恐れもあります。現地の状況によっては撤退する必要がある場合もあるため、政治や経済の状況は念入りな調査をすることをおすすめします。
また、海外に拠点を置くことになるため、人材管理のコストは自ずと増大します。働き方に対する価値観の違いも多く、終身雇用や年功序列という考え方も一般的ではありません。実力主義であり成果主義である海外人材を組織に定着させ、管理することは国内よりもコストが大きくなる可能性もあるため注意が必要です。
日本と海外ではワークスタイルも大きく異なります。国内での商習慣などが海外では非常識とされるケースも珍しくないため、進出する国の働き方については念入りな調査をしましょう。特に現地で人材か確保を計画しているのであれば、事前調査によって組織が機能しなくなるリスクを回避できる可能性が高くなります。
さらに文化、言語、宗教、ワークスタイルの違いはトラブルを引き起こす可能性があります。現地でのコミュニケーションは英語か現地の言葉になりますが、言語の違いのよって意思疎通が上手くいかず、ビジネス戦略がうまく機能しないケースも珍しくありません。異文化圏で事業を営むにあたってさまざまな要素に配慮することは当然必須となります。現地の人々から受け入れられなければ、その国や地域でビジネスを成長させることは難しいでしょう。
最後に情報セキュリティ面でのリスクについても対策を考えておくことが大切です。グローバル化によって企業が保有する情報は膨大な量へと増えていきます。それと同時に管理体制が重要となり、情報漏えいなどのリスクから身を守るセキュリティ対策は避けて通れない課題です。
そのためには、データを一元管理し、データをリアルタイムで確認できる環境構築が求められます。特に顧客情報の流出は企業の存続に関わるほど大きな問題に発展する可能性もあるため、リスク対策のための投資は優先的に行うことが大切です。
NetSuiteはベンチャー・スタートアップに選ばれるERP
海外進出をスムーズに進め、市場開拓や流通の確保には管理システムから得られるデータの活用が不可欠です。また、データに対するリスクから身を守り、内部統制を行う必要性も高いため、システムを単一のシステムに統合することは企業にとって最重要課題とも言えます。特にベンチャー企業やスタートアップ企業だからこそ、事業の急成長への対応や機会を逃さないためのスピーディな意思決定を行うのであればERPの導入は有効でしょう。
ERP(Enterprise Resource Planning)は日本語では統合機関業務システムと呼ばれ、導入することで単一のシステムで会計や販売、在庫、人材、顧客、マーケティングなどあらゆるシステムを一元化することができます。
「Oracle NetSuite」は会計・財務などの基幹システム、顧客管理システム(CRM)、Eコマースなどを含む主要な業務アプリケーション機能を単一のシステムで管理可能です。スタートアップ企業で起こりやすい、部署単位でのデータ管理による業務効率の悪化などの諸問題を改善できます。また、人材不足によって手が付けられないコンプライアンス対応などに関しても、内部統制強化が可能なNetSuiteであれば、適切な管理を進められるのです。
事業のグローバル展開を目指すにあたっては、事業拠点間の距離や言葉の壁といった障壁を超え、データを一元管理することを可能にするERPシステムが大きく貢献するでしょう。人材不足でも海外拠点を含めた最適化を実現していくことで、ベンチャー・スタートアップ企業でも新たな市場の開拓にリソースを多く割り当てることができます。
こうした背景からNetSuiteはベンチャー・スタートアップに選ばれるERPとして注目を集めているのです。
まとめ
スタートアップ・ベンチャー企業が海外進出することにはメリットがある分、文化や社会情勢の差異などに起因するリスクも多く存在します。セキュリティ面や業務効率の悪化といったリスクに関しては、全世界の拠点に対してシステムを一元管理できる仕組みを構築すれば回避可能です。
NetSuiteを使用すれば、複数の業務アプリケーション機能を単一のシステムで管理することで、拠点単位ではなく、全体の最適化が行えます。また内部統制強化も可能になるため海外進出の際に発生するリスクを未然に防ぐことができます。
特に人材不足が課題となるスタートアップ期の企業において、NetSuiteのようなシステムの統合管理ができるERPの導入は事業の成長に欠かせないため、導入することはライバルと差をつける大きなメリットとなります。
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