企業が持続的な発展と成長を続けるために、経営改革は欠かせません。現代の企業を取り巻く環境は決して明るいものではなく、先の見通しもよくない状況です。組織として生き残るためにも、経営改革は必要といえるでしょう。本記事では、経営改革を行う領域や成功するための要素、戦略などについて解説します。さらなる組織の成長を目指している企業経営者の方は、ぜひ参考にしてください。
経営改革とは
経営改革とは、企業の持続的な成長と存続のために行動を起こすことです。たとえば、事業の大幅な方針転換や組織体制の変更などが挙げられます。
企業を取り巻く環境は、刻一刻と変化しています。特に現代のようなスピード感のある社会では、またたく間に環境が変化してしまうことも少なくありません。例えば、独占的な市場に強力な競合が現れたとなると、あっという間にシェアを奪われてしまい、事業が立ち行かなくなるおそれもあります。
このような状況に陥ってもなお、今まで通りの経営を続けようとするならば、組織の衰退を招きます。組織として生き残るためには、変化してゆく環境に合わせた経営改革が必要です。
また、企業にはライフサイクルがあることも覚えておきましょう。企業は、創業期→成長期→成熟期→衰退期と、人の一生のように進みます。ただ、企業は人と違い、衰退する時期に差し掛かっても、適切に改革を行うことで寿命を延ばせます。それどころか、再び成長期や成熟期を迎えることも可能です。
経営改革における4つの領域
経営改革には、4つの領域があるといわれています。「グループ経営改革」と「企業経営改革」、「事業経営改革」、「機能経営改革」の4つです。それぞれ目的が異なり、取り組み方も変わってくるため注意が必要です。ここからは、その4つの領域を解説していきます。
グループ経営改革
グループ経営改革は、子会社や孫会社などを有するグループ企業が取り組む経営改革です。グループ企業価値の最適化を主な目的としています。
例えば、グループ企業との結びつきを強くし、シナジー効果を得る取り組みが挙げられます。生産能力に長けた親会社が、販売能力に長けた子会社との連携を強化する、グループ企業の顧客リストを活用してシェアを拡大するといった具合です。うまくいけば、利益を相乗的に生み出せます。
また、複数のグループ企業をひとつに統合する取り組みも代表的なグループ経営改革です。統合による組織力の強化や新たな事業アイデアの創出、ノウハウの活用といったメリットが得られます。
企業経営改革
企業経営改革とは、企業の社会的・経済的価値の向上を目指す改革です。組織のビジョンやミッション、事業戦略の方向性見直し、買収や合併の推進などが挙げられます。
企業におけるビジョンとは、将来的になりたい姿です。組織としての最終的な目標ともいえるでしょう。基本的に企業活動はビジョンに基づいて進められるため、変更するとなれば事業の方向性そのものが変わる可能性があります。リスクも考えられますが、改革により組織として大きな転換点を迎える可能性もあります。
事業戦略の方針見直しでは、取り組んでいる事業をさらに拡大させるのか、現状維持なのか、撤退するのかなどを考えます。例えば、何らかの理由で取り組んでいる事業のイメージが大きく損なわれたとしましょう。このようなケースでは、現状維持に固執していると企業の価値も損ねかねないため、撤退を選択したほうがよいでしょう。
事業経営改革
事業経営改革は、自社が取り組んでいる個々の事業を対象に進める改革です。たとえば、事業戦略の再構築が代表的な改革の内容として挙げられます。
事業戦略に何らかの誤りがあると、企業の利益を損ねるおそれがあります。強力な競合のいる市場で勝負している、需要がないのに事業を続けているといった状況では、利益を伸ばすどころか経営を圧迫しかねません。課題を見極めたうえで、戦略の見直しと実行が求められます。
経営資源の見直しも、事業経営改革に含まれます。たとえば、今まで外部に委託していた業務を自社で行うにあたり、人材開発や育成に力を入れる、採用基準や方法を見直すといったことが考えられます。
機能経営改革
機能経営改革とは、グループや自社全体の機能を横断的に見直す改革です。組織の機能とは、開発や生産、物流、調達などを指します。
例えば、それぞれのグループ企業が個別に商品を開発しているとしましょう。これを、全グループ企業の事業部門が共同で開発できる環境を整備したらどうなるでしょうか。それぞれのノウハウや知識を横断的に活かすことができ、新たなアイデアを創出できる可能性も高まります。
[RELATED_POSTS]経営改革の3つの姿勢
経営改革には、「消極的経営改革」と「積極的経営改革」、「永続的経営改革」という3つの戦略があります。企業は、これら3つの姿勢を成長段階や取り巻く環境に応じて使い分けることで、効率的かつ発展的な改革を推進できます。
消極的経営改革とは、大きな変化を求めない、守りの姿勢で取り組む改革です。コスト削減や事業縮小などが該当します。
積極的経営改革は、アグレッシブに大きな変化を求める改革です。利益拡大やブランディングの確立、新規ビジネスの創出などが該当します。
永続的経営改革は、周りの変化やそのときどきの状況に合わせた改革です。IT技術の進化に伴うIoTの導入、消費者ニーズの変化に合わせたサービスの改善などが挙げられます。
経営改革に重要な課題発掘法
経営改革を進める前に、まずは課題を洗い出す必要があります。このとき大切なのは、ミクロとマクロ、2つの視点で状況を把握することです。
ミクロ視点とは物事を細かく見ることで、マクロ視点は全体像や流れを見ることです。課題を発掘するには、組織の売上や利益などの数値をミクロの視点で分析し、自社を取り巻く状況をマクロ視点で俯瞰します。
自社を取り巻く環境や状況をミクロ視点で見ても、全体を把握できません。反対に、マクロ視点で売上や利益などの数値を見てしまうと、大ざっぱになってしまい課題を見逃すおそれがあります。
経営改革を成功させる要因
経営改革に失敗しないためには、すでに取り組んでいる企業の成功事例を参考にするのもひとつの手です。改革の成功率をあげるために、以下のポイントを把握しておきましょう。
強いリーダーシップ発揮
企業のトップがリーダーシップを発揮し、率先して取り組んでこそ経営改革を成功に導けます。自社を取り巻く環境や時代の変化を正確に察知し、従業員を牽引できる能力が求められます。
また、企業トップが改革に積極的でも、現場の人間が意欲的でないと改革は成功しません。経営改革は組織をあげて行う必要があるため、現場で活躍している従業員のモチベーションを高めるスキルもトップには求められるでしょう。
明確なプロジェクト体制づくり
経営改革を成功させるにあたっては、プロジェクト体制を整えることが大切です。中心になって改革を進めるプロジェクトチームを発足させ、誰が何を担当するのかを明確にしたうえで、プランに沿って改革を進めることで成功へと導けるでしょう。
また、経営改革への意識が薄弱な組織体質では、改革がうまく進まない可能性があります。経営改革を意識した組織体質への変化を進めていくことも大切です。
従業員の巻き込み
経営改革は、現場の人間が関心を抱いてくれなければ成功しません。改革は組織一丸となって進めるものなので、従業員を巻き込んで取り組みを進める必要があります。
従業員を巻き込むには、経営改革の必要性やメリットなどをきちんと周知することが重要です。すべての従業員が他人ごとではなく、改革を自分ごととして意識できるようになれば、改革の成功率は高くなるでしょう。
まとめ
これからの社会で生き残り、企業として発展を続けるためには経営改革が不可欠です。改革を成功させるには、トップが強いリーダーシップを発揮するのみならず、従業員を巻き込むことも大切であることを覚えておきましょう。
なお、クラウドERPの導入により、企業の経営改革をスムーズに行える可能性があります。経営に必要な情報を統合管理でき、新規事業の立ち上げや事業拡大にも役立ちます。経営改革を実施したいという場合は、ぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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