棚卸は、商品の在庫を正確に調べてリストにする作業です。それにより、実際の在庫数と帳簿上の在庫数の差異を把握し、利益を確定できます。本記事では、棚卸表のエクセルテンプレートやエクセルで棚卸表を作る方法など、エクセルでの棚卸管理に役立つ情報を提供するとともに、システム化による効率化についても紹介します。
【無料ダウンロード】棚卸表のエクセルテンプレート
棚卸は、すべての商品名とその数量、金額などの情報を細かく表に書き出す業務です。表といえば、一般的には表計算ソフトのエクセルを利用する方法が思いつくでしょう。
ただし、棚卸表を自社で1から作成するとなると、ある程度エクセルに精通した人の手が必要になります。その手間を省くために、既存の棚卸表の雛形やテンプレートを利用するのも一案です。
テンプレートには一般的に必要とされる項目が揃っており、あとは自社に適した項目名に修正したり、必要な項目を追加したりして自由にカスタマイズできます。エクセル向けに無料で公開されているテンプレートが多数あるので、使いやすいものを探してダウンロードして使ってみるとよいでしょう。
一例として、オラクルで作成したテンプレートは、以下のサイトでダウンロード可能です。
そのほか、さまざまなエクセルテンプレートを比較したい方は、以下の記事をご覧ください。
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エクセルで棚卸表を作る方法
もちろん、気に入ったテンプレートが見つからなかった場合などは、エクセルを使って1から棚卸表を作成することも可能です。
見出しの項目として、1段目に以下のような情報を入力します。
- 棚卸実施日
- 商品情報(商品名や商品コード、品番)
- 数量
- 価格情報(在庫単価や総額)
- 在庫の状態(破損や傷の有無)
必要に応じて、その他にも情報として記録しておきたい内容があれば、項目を追加しましょう。あとは、数量に単価を乗じる関数や縦合計などの関数、グループ集計を設定すれば棚卸が効率化します。
とはいえ、前述したような雛形やテンプレートを利用したほうが、手間がかからず、見た目にもきれいな表が作成できます。
エクセルで棚卸表を作り在庫管理するメリット・デメリット
エクセルで棚卸表を作り在庫管理することは可能ですが、メリットもある一方で、デメリットもあります。双方を考慮したうえで可否を検討するようおすすめします。
メリット|手軽かつ低いコストで棚卸管理ができる
エクセルで棚卸業務を行う最大のメリットは、今ある使い慣れたソフトで手軽に在庫管理を始められる点です。多くの企業がエクセルを所有しているため、導入や運用費用がかからず低コストで使えます。従業員も使い慣れているエクセルの操作であれば、スムーズに受け入れやすいでしょう。
エクセルは世界中で大勢の人が利用しているため解説書や操作の説明動画も豊富にあり、わからないことがあれば、すぐに調べられるのもメリットです。また、さまざまな業務に対応したエクセルテンプレートも多数公開されています。
デメリット|作業効率や同時作業などで難あり
エクセルは在庫管理のために作られたシステムではなく、大規模な在庫管理には不向きです。品目数が膨大であったり、拠点が多数あったりすると一覧性に難があり、見たいデータになかなかたどり着けなくなってしまいます。入力に時間や手間がかかり、それにともない、ヒューマンエラーが起こりやすくなります。また、拠点ごとにフォーマットや入力ルールが統一されていないと、データの統合にも手間がかかるでしょう。
リアルタイム更新ができず、情報連携は手動で行う必要があります。クラウド上で共同編集することもできますが、機能の制限があります。エクセルはデータ量が多くなると動作が遅くなり、数値の入力や確認に時間を要し、業務効率が悪化することがあります。
エクセルに精通している担当者が複雑な関数を使うと、担当者以外の人が理解できなくなることもあります。業務の属人化を招き、担当者が急に休職や退職して引き継ぎができないと、業務が停滞する恐れがあります。
棚卸を効率化するなら在庫管理のシステム化がおすすめ
棚卸業務は決算前の重要な業務です。正確かつ効率よく進める必要には、在庫管理をシステム化することが有効です。
業務の効率化
多くの場合、システムを導入すれば棚卸業務のスピードアップにつながります。ハンディターミナルと連携したシステムであれば、商品のコードをスキャンして商品情報を読み取ることで、入力作業を短縮できます。商品にRFIDタグを付けてリーダーライターを使って読み取るタイプであれば、無線を利用するため遠距離からの読み取りも可能になり、さらに短時間で棚卸を終えられます。このようにして、棚卸を含む在庫管理における時間と人員コストの削減が図れるのは大きなメリットです。
ヒューマンエラーの防止
エクセルによる棚卸業務は、数量を入力したり、加工して表にまとめたりする作業は手動で行うのが一般的です。手作業が多いため、入力ミスや転記ミス、操作ミスなどのヒューマンエラーが生じやすくなります。
一方、在庫管理システムを導入すれば、多くのプロセスが自動化され、正確にデータを処理してくれるため、ヒューマンエラーのリスクが大幅に減少します。
また、エクセルのように関数やマクロ、VBAなどの専門性の高い知識がなくても、システムであれば直感的な操作で適切に運用できるのもメリットです。これにより、在庫管理業務が属人化することもありません。
リアルタイムな情報活用
エクセルによる在庫管理は、手作業で入力するため、どうしても現状と集計上のタイムラグが生じ、正確な在庫状況を把握することが困難です。しかし、在庫管理システムなら、商品の入出庫を自動でデータ化して即時反映させられるため、在庫状況が瞬時に把握できます。
正しい在庫状況をリアルタイムで知ることにより、正確に需要を予測して適切に発注でき、迅速な顧客対応や経営判断が可能になります。単に在庫の正確な数量を把握するだけでなく、リアルタイムのデータ活用により、全体の業務の最適化という大きなメリットも期待できます。
セキュリティ対策の強化
エクセルの在庫管理では、パスワードを設定したりファイルを暗号化したりすることで、一定のセキュリティ対策は可能です。しかし、重要な商品を扱う会社にとっては、これだけでは十分とはいえません。外部からの不正アクセスもそうですが、内部からの情報漏洩や不正操作にも万全な対策が求められます。
その点、在庫管理システムなら、強固なセキュリティ機能により、重要な在庫データの漏洩や不正アクセスを防ぐことが可能です。たとえば、アクセス権限の設定や、高度な暗号化技術、ログの監視機能などで、情報の機密性を担保し、データの自動バックアップなどにより、データ損失のリスクを最大限防げます。
総合的な環境でさらなる進化を
棚卸業務の効率化のために在庫管理システムを個別に導入することもできますが、クラウドERPを利用するのもおすすめです。在庫管理だけでなく、幅広い業務を一元化して基幹システムとすることで、企業全体の業務効率化が期待できます。
OracleのNetSuiteなら、在庫管理と、財務、販売、生産、人事などの企業の基幹業務を統合し、部署や支店を超えて一元管理することが可能です。全社のリアルタイムのデータを把握することで、より正確な経営判断や戦略立案の一助となることでしょう。
NetSuiteの詳細については、以下の記事をご覧ください。
まとめ
棚卸業務は、企業が存続する以上、毎期末繰り返される必須業務です。エクセルの棚卸表を用いる場合は、テンプレートをダウンロードして利用するなら効率的です。とはいえ、いつまでもエクセルのままでは、業務や規模の拡大、税制改正や周囲の環境によってはいずれ限界が訪れるかもしれません。
棚卸業務のさらなる効率化のためには、在庫管理のシステム化をおすすめします。棚卸業務にかかる時間や人的コストを削減し、ヒューマンエラーを防止してセキュリティ性も高まるなど、多くのメリットがあります。同時に、クラウドERPの導入も検討することで、全社的な業務効率化につなげてみてはいかがでしょうか。
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