「最高のビジネスシステムがあっても、動かす人がいないと話にならない」。これは、米ウォルマートの創始者であるサム・ウォルトンの言葉であり、小売業界の中でも情報システムと物流システムに重点を置いた経営が良く知られています。
つまり、顧客に多くのベネフィットを提供でき、市場に広く受け入れられるような製品でも、物流システムが疎かではビジネスとして成り立たないという意味でもあります。
この言葉から察するに、小売業において倉庫管理は最も重要な業務の一つだと言えるでしょう。
倉庫管理を効率化することで、良い製品をスピーディかつ正確に届けることが可能になり、迅速に流通させることが出来るのです。
そこで今回は、国内で利用できる主な倉庫管理ソフト(倉庫管理システム(WMS))をまとめてみました。
クラウド対応と低コストで利用できる倉庫管理ソフトの2つに分けて紹介していくので、導入検討時の参考にしていただければと思います。
クラウド対応の倉庫管理ソフト
クラウド対応とは、インターネット経由で倉庫管理ソフトを利用できるサービスを指します。
企業はサーバ購入などのインフラ調達が不要なため、導入コストを抑えたり、日々のシステム運用を効率化できるというメリットがあるサービスです。
また、インターネット環境と端末さえあればどこでもシステムにアクセスできるので、複数倉庫のネットワークを構成することなく統合的管理が可能となります。
こうしたメリットの反面、月額利用料が発生したり、機能が固定的になるなどの特徴もあるので、クラウドについて十分理解した上での導入が大切です。
ci.Himalayas/WMS
ci.Himalayas/WMSは単独拠点から40拠点以上の倉庫を持つ企業など、国内において豊富な導入実績を持つ倉庫管理ソフトです。
こうした倉庫管理ソフトを利用するメリットは、ベンダーに蓄積されたノウハウがシステムに反映されていることでしょう。
無駄のない機能と使いやすいインターフェースを持ち、ストレスの少ない倉庫管理を実現します。
参考価格としては月額25,000円~利用できる倉庫管理ソフトですが、拠点数や利用ユーザー数によって大きく変動するので、事前のコスト資産が重要となります。
ci.Himalayas/WMS:http://www.cross-docking.com/service/wms-standard/
ロジザードZERO
こちらも導入社数770以上(2016年6月)と、豊富な導入実績を持ち、機能面で信頼性の高い倉庫管理ソフトの一つです。
ロジザードZEROを導入する最大のメリットは、年中無休で対応する電話サポートで、トラブルが発生した際も迅速に対処できるという安心感でしょう。
クラウド対応の倉庫管理ソフトを利用する場合、システム運用はベンダーが行うため、システム障害などへの対応は基本的に導入企業はノータッチとなります。
ただし、システム使用上のトラブルに関しては、やはり導入企業自ら解決しなければなりません。
このとき、円滑なサポートがあるかないかで対処の速度は大きく変わります。
トラブルが発生した際の迅速な対処を考慮すれば、年中無休の電話サポートは大きなアドバンテージです。
ロジザードZERO:https://www.logizard-zero.com/
AtomWMS
AtomWMSはユーザー数や拠点数に関係ないライセンス形態を提供しているため、管理規模が大きいほどコストメリットの高い倉庫管理ソフトです。
倉庫管理ソフトとして基本的な機能はすべて備えているため、多機能性を求めなければ問題なく利用できます。
また、クラウドだけでなくオンプレミスとしても導入できるので、企業のニーズに合わせて導入形態を選ぶことができます。
AtomWMS:www.atomsystem.co.jp/solution/wms/atomwms.html
倉庫「見える化」@web
倉庫「見える化」@webはヤマトグループの物流現場から生まれた実践型倉庫管理ソフトであり、無駄な機能が削り取られたシンプルなシステムです。
状態ごと(良品、不良品)の在庫管理や、分析機能など、倉庫管理に必要なものだけでなく、プラスαを提供しているのが特徴です。
月額費用は50,000円から利用でき、初期費用もかかるので低コストではありませんが、利用価値の高い倉庫管理ソフトの一つでしょう。
倉庫「見える化」@web:http://www.nekonet.co.jp/service/e_logi/nekologi-asp_index.html
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低コストで利用できる倉庫管理ソフト
「クラウドは利便性の高い倉庫管理ソフトだけど、長期的なコストが気になる」という企業も少なくないかと思います。
そこでここでは、低コストで利用できる倉庫管理ソフトを紹介していきます。
W-KEEPER
パッケージソフトとして低コストで導入できるW-KEEPERは、汎用性が高く、様々な業界業種にフィットする倉庫管理ソフトの一つです。
また、倉庫から倉庫への在庫移動を移送中在庫として管理できる拠点間管理機能が備わっているので、複数倉庫を持ち、かつ拠点間での移送が多いところで出入荷に関するミスを防止することができます。
すべての機能において日本語、中国語、英語のインターフェースを用意し、グローバル対応している点も評価の高いポイントです。
W-KEEPER:http://www.mtn.co.jp/02-sol-company/d000038.html
MANICA
MANICAはRFIDなどのICタグによる管理を可能とする倉庫管理システムであり、既に稼働しているシステムに対して「後付け」という形で、導入作業を最小限に抑えることができます。
従ってパッケージソフトでも導入費用を最小化でき、低コストな導入を実現する倉庫管理ソフトです。
また、タグの読み込みだけでほとんどの操作が完了するという、非常にシンプルな機能を提供しているので、ITスキルに自信のない企業でも利用することができます。
MANKICA:http://www.hayato.info/manica.htm
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倉庫管理ソフトの正しい選び方
いかがでしょうか?今回はクラウド対応、低コストな倉庫管理ソフトを6つ紹介しました。最後に、倉庫管理ソフトの正しい選び方について少し触れておきたいと思います。
今回紹介した通り、倉庫管理ソフトはベンダーによってその特徴は様々です。企業は選択肢が多い反面、製品選びに失敗しやすくなるということも考えられます。
そのため、「倉庫管理ソフトの導入目的」を明確にすることが非常に重要です。
倉庫管理ソフトでどのような管理を実現したいのか?どんな課題を解決したいのか?拠点数はいくつあるか?など、まずは基本情報を整理することで、導入すべき倉庫管理ソフトの輪郭が見えてきます。
基本情報をしっかりと整理することができれば、倉庫管理システム選びの8割はクリアしたと言ってもいいほどです。
残りの2割は選定ポイントを守って製品を選んだり、トライアルを利用して実際に導入してみるといった確認作業なので、やはり導入目的の明確化が最も重要となります。
また、倉庫管理ソフトを単体で導入するのではなく、初めから統合的なシステム環境が整えられているクラウドERPでの導入という選択肢もあるので、視野を広げつつ自社に最適な製品を導入していただければと思います。
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