事業活動では法人税など、一律の掛け率に応じた税金を支払う必要があります。税金は儲かったお金から払えば良いと単純に考えていると税金の支払いによって資金繰りが圧迫されるケースもあります。この税金は期限までにきっちりと支払わないと、延滞税や加算税を徴収されることになります。
そこで本記事では、企業(法人)に課せられる税金について特に重要な4種類の税金の支払い時期等について分かりやすく解説します。
法人に課せられる4つの税金
法人として事業活動を行っている場合、特に重要な税金は以下の4つとなります。
- 法人税
- 消費税
- 所得税
- 固定資産税
法人税とは、法人が得た利益に対してかかる税金のことです。個人が利益を得た際にかかる所得税と同じようにものと考えてよいでしょう。主に、法人の事業所得に応じて課せられる法人事業税と、事業所がある自治体から課せられる法人住民税があります。
消費税とは言わずもがな、商品やサービスを購入する際に課せられる税金です。消費税は間接税に分類され、税を支払う納税者と税を負担する担税者が違います。担税者は商品を購入した消費者や企業、そして納税者は商品を提供した企業ということになります。2019年10月より消費税率10%と軽減税率がスタートしたことで、納税がより複雑になっています。
所得税とは従業員に対して支払われた給与に応じて課せられる税金です。源泉所得税とも呼びます。また、業務委託した個人事業主に対して仕事を依頼して報酬を支払えばその個人事業主にも税が課せられます。所得税は間接税に分類され、給与や報酬を税額分から天引きして法人が代わりに納税する仕組みが取られています。
法人における固定資産税とは、企業が保有する事業継続に使われる財産に対して課せられる税のことです。課税対象は大きく分けて土地・建物・償却資産となります。償却資産とは耐用年数1年以上、取得価格10万円以上のものを指し、一定の規則にしたがって毎年徐々に償却していきます。
ちなみに、法人税の課税対象は次の組織となります。
普通法人に該当
- 株式会社
- 有限会社
- 合名会社
- 合資会社
- 医療法人
- 相互会社
- 企業組合
- 労働組合や管理組合など
- 日本銀行
協同組合等に該当
- 農業協同組合
- 信用金庫
- 労働者協同組合
- 漁業協同組合
- 生活協同組合
法人税(法人事業税、法人住民税)の支払い時期
それでは、ここからは各税の支払い時期を解説していきます。
まず、法人税は事業年度終了日の翌日から2ヵ月以内に確定申告と納税を実施しなければいけません。3月31日が決算日だとすれば、4月1日から数えて2ヵ月以内なので5月31日までに法人税の確定申告と納税を済ませる必要があります。法人税も法人事業税、あるいは地方法人特別税といった税に関しても申告・支払時期は同じです。
ただし、前年度の法人税の税額が20万円をこえている場合、事業年度の前半6ヵ月分については前半6ヵ月を経過した日から2ヵ月以内に中間申告・中間納税を行わなければいけません。例えば3月31日が決算日ならば、事業年度の前半6ヵ月は9月30日となり、中間申告・中間納税は11月30日が期限ということになります。
この中間申告では「予定申告方式」と「仮決算方式」と呼ばれる2つの方法のどちらかを選び、申告するのがルールです。予定申告方式は前年度の確定年税額をもとに税額を計算し、仮決算方式は事業年度の前半だけを対象として仮決算(中間決算)を行い、その結果をもとに税額を計算します。
予定申告方式では、前年度の確定年税額をもとに計算した税額を支払うのですから、本年度の利益が前年度よりも少なかった場合は税金を払いすぎたことになり、後の確定申告で還付されることになります。
仮決算方式には注意が必要です。最終的に確定した税額よりも、中間納付税額が多くなってしまっても還付を受けられないからです。例えば、上半期が黒字で仮決算方式により中間納税を行った後に、下半期で大きく赤字に一点したとします。期中を通じて最終的な税金額の計算上がゼロ円だったとしても、中間納税で払いすぎた分が還付されることはないのです。
[RELATED_POSTS]消費税の支払い時期
消費税の支払い時期は、どの法人であっても事業年度終了日の翌日から2ヵ月以内に確定申告と納税を行います。つまり、法人税同様に3月31日が決算日だとすれば、4月1日から数えて5月31日までに確定申告と納税を行う必要があります。
ただし、前年度に支払った消費税額が48万円を超える場合は、これも法人税同様に中間申告・中間納税を実施する制度があります。法人税と異なる点は、前年度の消費税額が48万円~400万円なら年2回、前年度の消費税額が401万円~4,800万円なら年4回、そして4,800万円を超える場合は年12回に分けて納税しなければいけません。
消費税の中間申告・中間納税では、法人税と同じように前年度の確定年税額をもとに納税額を計算する予定申告方式と、事業年度の前半を通じて仮決算を行い、その結果をもとに納税額を計算する仮計算方式があります。予定申告方式では中間納税時に支払いすぎた税額が還付されるのも法人税と同様です。
[SMART_CONTENT]所得税(源泉所得税)の支払い時期
所得税の支払い時期は、原則として給与から税額を源泉徴収した月(=給与・報酬を支払った月)の翌月10日です。つまり従業員に対する給与であれば、年間合計12回所得税を支払うことになります。
ただし例外もあります。「納期の特例」と呼ばれる制度で、従業員が9名以下の小規模事業者に認められており、所定の届け出用紙で税務署に申請をすれば、年2回(1~6月の分を7月10日までに、7~12月の分を翌年1月20日までに)にまとめて所得税を納税できます。この制度は、小規模事業者では毎月源泉徴収するのに事務負担が大きいということに着目した法的配慮です。たし、1度に支払う税額が大きくなるため、計画的な納税資金計画が必要になります。
固定資産税の支払い時期
固定資産税は毎年1月1日時点で、固定資産の保有者に対してその年の分の全額が課税されます。税額は固定資産税課税台帳に記載された、固定資産の課税標準額をもとに計算され、当該固定資産を年内に販売する予定があったとしても、1年分の固定資産税全額を支払わなければいけない点に注意してください。
固定資産税支払時期よりも後に販売するのがやむを得ない場合は、売買契約の際に予め代金に上乗せするなどして対応する他ありません。支払時期は市区町村ごとの条例によって定めら得ており、大方は年4回で支払うことになるでしょう。
例えば東京23区の場合、第1期が6月1日~6月30日、第2期が9月1日~9月30日、第3期が12月1日~12月31日、第4期が2月1日から2月28日(29日)となっています。ちなみに、納税期限の10日前までに納税通知書を納税義務者に送付しなければいけないことになっており、通常はその月の初旬に送付されます。
いかがでしょか?法人税など各税金の支払い時期についてしっかりと整理した上で、計画的に資金繰りを行っていきましょう。
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