部分最適と全体最適について

 2019.03.08 

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今回は「部分最適」と「全体最適」をテーマにお話しします。よく「部分最適ではなく全体最適の観点から考えろ」という声が、経営者から部門責任者へ投げかけられることがあります。もちろん全体最適が図られてい組織というものは理想なのですが、今まで行ってきた業務をおいそれと全体最適で実現できるものではありません。まずは、そもそも部分最適と全体最適とは何か?を整理していきましょう。

部分最適とは、全体最適とは

部分最適とは「特定の問題に対してある一部分のみが最適化されている状態」を指します。企業を1人の人間だと仮定すると手・足・目・鼻・口・耳といった機能が、組織の各部門に相当します。それぞれの機能には明確かつ違った役割があり、それぞれをフル活用することで人間は生活できています。部分最適とはつまり、それらの機能のうちどれか1つだけが十分に機能している状態だったり、あるいはそれぞれが個別の状況で能力を発揮できるという状態になります。

たとえば「ボールを蹴る」という1つの動作では、足はボールを蹴るために軸足を踏み込んで蹴り足を振り上げ、手は遠心力を生むために大きく回し、目はボールを正確に捉えるために蹴り位置をしっかりと見つめます。部分最適な状態では、足か手か、目かのいずれかだけが「ボールを蹴る」という動作に最適化されており、その他は機能していないことになります。あるいは、それぞれが役割を遂行しているかにもかかわらず、上手く連携が取れないがために最終的な結果(ボールを蹴る)が悪い方向に向かう状態とも言えます。

これとは反対に、全体最適とはすべての機能が1つの動作を起こすために最適化され、かつそれぞれの機能がシームレスに連携が取れている状態を指します。軸足を踏み込んで腕を振り上げるタイミング、蹴り足を振り上げながら体をひねり大きな力を生むタイミング、ボールの蹴り位置をしっかりと捉えるための視線、これら1つ1つの機能と行動がパーフェクトに連携したとき、初めて結果(ボールを蹴る)が良い方向へと進みます。

企業の話で言えば、営業部門や経理部門といった特定の部門だけが高いパフォーマンスを発揮しているという状態だったり、各部門のパフォーマンスは悪くないものの明らかな連携不足で十分な結果を得られていない状態が部分最適。逆に各部門のパフォーマンスが高いのはもちろんシームレスな連携によって期待以上の結果を得られている状態が全体最適ということになります。

部分最適はなぜ起こるのか?

組織が部分最適な状態に陥っていると様々な問題が発生します。生産性の低下、利益率の低下、あらゆるコストの増加などなど挙げ出すと切りがありません。では、部分最適はなぜ起こってしまうのでしょうか?その理由として、部門責任者や部門内で「組織全体の方向性や利益について十分な理解が無く、経営戦略に積極的に絡めていない」とよく言われています。しかしながら、本質的な問題はもっと別のところにあるでしょう。

それは「1つの事業を任されている人材が果たして全体最適という視点を観点に持てるのか?」と「そもそも全体最適を理解できているのか?」という問題です。

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全体最適な考え方を持つということをシンプルに説明すると「組織全体の課題を捉えて、原因や問題を整理し、徐々にブレイクダウンして身近なところまで落とし込んでいく」ということになります。

しかし、1つの事業を任されている人材は、目の前の課題を解決しようと奮闘したり、色々な問題を解決するために手いっぱいな場合がほとんどです。その中で「部分最適に陥らないで、全体最適な考えを持て」といっても到底無理な話しでしょう。

もう1つの問題である、そもそも全体最適を理解できているかどうかに関しては、理論的には理解していてもそれを実際に行動に移したり、日々の業務の中に組み込むことは難しいというのが現実です。よく、経済学を学んだ人が「今まで学んできたことはあくまで経済を考える上での枠組みであり、現場では通用しないことの方が多い」と話していることがあります。全体最適も同様に、何が全体最適な状態かは理解していてもそれを上手く現場に取り入れることができないというケースが非常に多いのです。

それはつまり、全体最適のための方法論やフレームワークが整っていなかったり、部門責任者がそもそも全体最適について理解していないということになります。

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全体最適は何が良いのか?

部分最適に陥っている状態が企業にとって危険だということは理解いただけたかと思います。では、実際に全体最適になった状態では結局何が良いのでしょうか?これを知ることも全体最適を成功させる上でとても大切です。

生産性が向上する(ホワイトカラーを中心に)

全体最適とは組織の各部門が高いパフォーマンスを発揮し、かつシームレスに連携が取れている状態のことです。従って組織全体として生産性が向上するという効果があります。とりわけ事務作業の多いホワイトカラー部門では、他部門に比べて圧倒的な生産性向上が期待できます。近年では経理や総務、人事といったホワイトカラーの重要性が再認識され、経営戦略へ積極的に絡んでいくことが求められいます。全体最適によって生産性が向上すれば、ホワイトカラーの視点から経営戦略を立案するためのリソースが確保されるでしょう。

情報を集約して経営資源として活用する

全体最適に欠かせないのが各部門から生まれる情報のスムーズな連携と集約です。現代ビジネスにおいてITシステムと業務プロセスは切っても切り離せない関係にあるので、情報共有のスピードを高めることが高い生産性を生み出します。それと同時に生まれる効果が情報集約による経営資源としての活用です。いわゆるビッグデータ分析のように、組織内のあらゆる情報を資源として管理し、分析することで、ビジネスに関する新しい知見を導き出すことが可能になります。もちろん。そのためには相応のITシステム環境が不可欠です。

業務効率がアップすることでのコスト削減

全体最適によって業務効率がアップするとコスト削減という効果も生まれます。たとえば人件費はその代表例です。組織全体の人材が残業しないと遂行できない業務量を抱えていた企業が、全体最適の実現によって業務量を大幅に削減し、それに伴った人件費を削減したという事例はたくさんあります。その他多数のコストを削減できます。

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全体最適に欠かせないERP

ITシステムとビジネスが切り離せない関係にある以上、全体最適はITシステムの統合という観点も考慮しないといけません。そこで欠かせないのがERP(Enterprise Resource Planning)ソリューションです。

ERPには複数のITシステムが統合されており、相互に連携が取れています。ERPを導入することで組織全体の情報を集約したり、部門ごとに連携するための基盤が整うため全体最適を推進しやすくなるのです。

オラクルでは長年大企業向けのERPソリューションを提供し続けてきた技術とノウハウによって、クラウドソリューションとして利用可能な大企業向けOracle ERP Cloudと中小企業/スタートアップ向けOracle NetSuiteを提供しています。全体最適を目指す際はぜひご検討ください。

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