ERP導入のステップとは、メリットや効果も解説

 2020.11.24 

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ビジネス環境が大きく変化していく中で、業務効率化や迅速な経営判断がこれまで以上に必要となることはいうまでもありません。ERPは、これらの課題を取り組む際に有効なシステムであり、多くの企業が導入しています。この記事では、ERPが解決可能な経営課題や、導入の方法や手順、そして導入のメリットについて解説していきます。

ERP導入のステップ。 メリットや効果も解説

ERP導入であらゆる経営課題が解決できる?

ヒト・モノ・カネの情報管理が不十分で経営判断に活用できない上、これらの経営資源の最適化から程遠い。情報の整合性が取れず、データの信頼性が疑われ、確認のための工数も馬鹿にならない。申請・承認などの統制が取れていない、社内の業務フローもバラバラ。こうした経営課題は、現代多くの企業が抱えています。

「ERP(Enterprise Resource Planning)」は、こういった経営課題を解決するためのシステムです。ERPでは部門ごとに分断されていた社内データを、1つのデータベースに統合します。これによって経営資源の一元管理が実現するとともに、経営情報がリアルタイムで可視化され、迅速な経営判断が可能となるのです。

また部門間でシステムの分断がないことから、入力の重複等がなく、データの整合性も取れるようになります。さらに各部門のシステムが連携することで業務効率も向上するなど、企業の課題解決に直結するのです。

このようにERPは現在のビジネスシーンにあったシステムであり、近年注目を集めています。その中でも主流となりつつあるのは、管理工数が少ない「クラウドERP」です。

クラウドERPの導入率は48.4%

クラウドERPの導入率は年々上昇し続けています。矢野経済研究所が2020年9月に行ったERP市場動向に関する調査(※)によると、2018年時点で、企業に導入済のERPパッケージのうち28.8%がクラウドERPでした。それが2019年には38.3%と10ポイント上昇しました。その後の予測では、2020年に48.4%、2021年には63.5%と順調にシェアを拡大していくと見られています。

矢野経済研究所の予測では、2021年にクラウドERPの利用率が半数を超え、オンプレミス型を上回ることになります。また、コロナ禍においてもさらにクラウド化の流れが加速するとも推察しています。

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ERP導入のメリットや効果

ERPを導入することで、企業は具体的にどのようなメリットを享受できるのでしょうか。ここでは、代表的な例を3つ挙げます。

企業内のデータを一元管理できる

ERP導入における最も大きなメリットは、膨大な社内データを統合データベースに集約し一元的に管理できることです。

企業では会計・販売・生産・人事などは各部門で専用システムを保有し、別々にデータ管理をしている場合がほとんどです。その結果、経営判断に必要な情報を取り出す際は再入力や加工を要したり、部門間でデータの不整合が生じたりなど、さまざまな問題が起こりやすい状況下にあります。

ERPによって統合すれば、各部門のデータを一か所にまとめられます。他部門で更新されたデータは統合データベースに即時反映され、不整合も予防可能です。また経営資源に関するデータをリアルタイムでチェックできるようになり、経営スピードが加速し、ひいてはビジネスを飛躍させることにつながります。

情報システム部門の負担軽減される

通常、情報システム部門は各部門のシステムを個別に管理しなければなりません。それに対してERPを導入すれば、1つのシステムに企業全体の業務が統合されます。

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そのため、システムメンテナンスも、ERP全体に一括で行えるようになるのです。その結果、ERP導入によって情報システム部門の業務負担を軽減することができます。メンテナンス以外にも、ERPのパッケージの中で、新たなシステム設計が行えます。これにより、例えば新部門創設など企業の新たな動きに対応しても、システム関連の業務を容易に実行可能です。加えて、情報システム部門のリソースが有効活用できるようになり、業務全体の生産性アップにも寄与します。

内部統制が進みガバナンスが強化される

J-SOX法の成立に伴い、企業において内部統制(ガバナンス)の強化が必要となっています。ただ、部門ごとに部分された基幹システムでは、別々のセキュリティポリシーを運用しなくてはならないなどの事情があり、現状では内部統制の強化を推し進めるのが難しくなっています。

一方、ERPでは経営資源統一化され、全社共通のワークフロー・セキュリティポリシーが運用できるようになります。その結果、内部統制の強化が可能となり、最適なコンプライアンス維持にもつながるのです。ERPによってユーザー権限の適切な管理や、セキュリティ監査ログの取得ができるのも内部強制強化に役立ちます。

ERP導入の方法や手順

ERPは各業務の根幹を司る、きわめて重要なシステムです。そのため、導入は慎重に進めなくてはなりません。ここでは、ERP導入の方法や手順を具体的にご紹介します。

導入目的の整理・明確化

まず、ERPを導入する際は、利用目的や期待する成果について明確にしておかなくてはなりません。目的が曖昧であると、適切なERPを選定できなかったり、導入しても十分な成果が出せなかったりしてしまうためです。自社の現状や課題、経営計画等をもとに、導入目的や得たい成果を整理しておきましょう。

よくあるERPの導入目的としては、以下があげられます。

  • 部門間連携の強化と業務効率化
  • 社内に保存されているビッグデータの活用
  • 内部統制(ガバナンス)の強化
  • 経営判断の精度向上とスピードアップ
  • システム一元化によるコスト削減

ERP製品とベンダー選定

導入目的や期待する成果が明確になったら、いよいよERP製品やベンダーの選定に入ります。

まずはインターネット検索等で情報を収集し、目星をつけたベンダーへRFI(情報提供依頼書)を送付します。次に相手の返答内容をもとにして、RFP(提案依頼書)を送るベンダーを絞り込んでいくのです。

RPIとは、システム選定に際して、自社システムの概要をベンダー側に伝え、製品・導入実績等の情報を取り寄せる依頼書です。つまりRFPは、自社が導入によって解決を望む課題をベンダーに伝え、そのソリューションを提案してもらうための依頼書を指します。

製品やベンダー選定の際は、以下のポイントを基に評価・選定します。

  • コスト(初期コスト・ランニングコスト)
  • 納期
  • 品質(機能要件・非機能要件)
  • その他(ベンダーの技術力や信頼性・ライセンスの柔軟性等)

契約・キックオフ

製品選定が終わったら、次はベンダーとの契約です。契約後は社内関係者とベンダーを収集してキックオフミーティングを開催します。キックオフでは具体的に以下のような点について共通の認識が持てるように話し合います。

  • 導入目的
  • プロジェクトの体制
  • 導入までのスケジュール
  • 導入における課題

要件定義・設計

次に行うことは、システムの要件定義・設計です。その際にシステムの標準機能が、企業の業務要件と適合(フィット)しているか、乖離(ギャップ)があるかを検証します。ギャップが存在する場合は、カスタマイズやアドオン追加を検討し、見積もりを出すことが必要です。

一方で際限なくカスタマイズ・アドオンを実施するとなると、コストは膨れ上がってしまいます。その要件は本当に必須なのか、業務の仕方を変えることで解決できないかなども検討しましょう。

開発・テスト

要件定義が終了したら、ベンダーによってシステム設計や開発を行います。システムの内容によっては、アドオン開発や、ほかのシステムと連携させるインターフェース開発も必要となります。

開発と並行して、業務マニュアル作成・システムトレーニング・移行に必要な社内調整も進めましょう。その際、不明点・疑問点があれば、適宜ベンターに確認するようにします。

開発が終了したら、次はテストを実施していきます。テストは主に3つの種類があります。

  • 単体テスト:機能が単体で正しく動作するか確かめるテスト
  • 結合テスト:機能間の連携が正しく動作するか確かめるテスト
  • 総合テスト:本番に近い環境でシステムが全体として正常に動作するか確かめるテスト

これらのテストでシステムが正常に動作することを確認できたら、最後にピーク時でも継続して動作するかチェックするための負荷テストを実施します。ここで不具合が生じた場合は、チューニング等の対応を行います。

リリース・運用

テストまで終了したら、ようやくリリースの段階です。正常に稼働しているか、問題が発生していないか逐次チェックし、必要に応じて対応します。安定的に稼働していることが十分に確認できるまで、ベンダーのサポートを受けながらシステムの運用を継続しましょう。

あわせてリリース後は、社内関係者とベンダーを集め、導入の振り返りや評価を行うことを推奨します。当初の目的を果たせているかをよく検証し、不具合を発見した場合は適宜対応策を検討します。

グローバルな事業拡大にはOracleのFusion Cloud ERP

Oracleの「Fusion Cloud ERP」は、グローバルな事業拡大を続ける企業に適したクラウドERPです。Fusion Cloud ERPは、財務会計管理、購買管理、サプライチェーン管理、リスク・コンプライアンス管理、プロダクトライフサイクル管理(PLM)、予算管理、統合業績管理EPM)など、あらゆる業務領域のモジュールを完備しています。

OracleのFusion Cloud ERPが選ばれるのには、主に4つの理由があります。

  1. すべての業務プロセスを統合し、さまざまな種類の業種・規模の企業において、業務をサポートすることが可能
  2. 企業内に存在する膨大なデータを統合管理し、リアルタイムな可視化が可能
  3. クラウド型のサービスであるため、スピーディーな導入と低コストを実現
  4. IoTをはじめとした多くのプラットフォーム、業務アプリケーションとの連携が可能

なお中小・スタートアップ企業は、クラウドERPの「NetSuite」がおすすめです。あらゆる業種や業態に対応しており、売上や在庫、顧客の一元管理が可能となります。

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まとめ

ERPを導入することで、部門間で分断されていたデータを一元管理できるようになり、結果、業務効率化が図れます。経営資源の状況をリアルタイムでチェック可能となるので、経営判断の最適化・迅速化までも期待できます。特に昨今注目されているのは、クラウドERPです。初期コスト・管理コストが少ないクラウドERPは、従来からあったオンプレミス型の導入率を超える勢いで伸びています。

ERPを導入する際は、導入目的や期待する成果を明確化した上で、製品やベンダーの選定を行うことが必要です。ベンダーとの間で、契約や要件定義、開発・テストといった手順を経て、実際の導入に至ります。

グローバルな企業展開を目的としている場合、OracleのクラウドERP「Fusion Cloud ERP」がおすすめです。あらゆる業務や情報管理を一元化することができ、強固なビジネス基盤の構築も可能となります。クラウドERPの導入を考えている企業担当者の方は、ぜひご検討ください。

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