売上データ分析とは?その目的と方法

 2019.03.07 

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企業ではデータを分析して次の一手を講じることで成長するサイクルが必要不可欠です。数年前に比べて「データ分析」が身近な存在として、多くのビジネスシーンで活用されています。その規模に関係なく、データ分析はビジネスに新しい知見や切り口を創出するもので、今までデータ分析に触れたことが無かった企業でも経験と勘だけでは難しい状況になりつつあります。データ分析は積極的に取り組むべきですし、そのための基盤も整っています。

本稿では数あるデータ分析の中から「売上データ分析」について概説します。その目的とは何か?いくつかの方法と合わせてご紹介するので、ぜひ参考にしてください。

売上データ分析とは?

そもそも「分析」とはなんでしょうか?Wikipediaでは「ある物事を分解して、それらを成立させている成分・要素・側面を明らかにすること。」と説明されています。これに加えて、要素同士の相関関係を探ったりすることも分析の1つです。

出典:分析 – Wikipedia

ちなみに分析にはいろいろな種類があり、パッと思いつく分析だけでも下記のようなものがあります。

  • 定量分析:数値で表されるデータを対象とした分析
  • 定性分析:数値では表せない事象や現象を対象とした分析
  • 統計分析:相関分析や回帰分析など統計的手法を用いた分析
  • 現状分析:定量データや定性データをもとに現状を明らかにする分析
  • 課題分析:定量データや定性データをもとに課題を明らかにする分析
  • 市場分析:PESTや3Cなどフレームワークを用いて分析
  • 経営分析:財務諸表ならびに管理会計を用いて経営状況や経営課題を明らかにする分析

このうち売上データ分析は定量分析に該当します。「売上」という明確な数値から成るデータを分析することで、ビジネスに有用な知見や切り口を創出するのです。

売上データ分析の目的

売上データ分析の目的は何ですか?と聞かれ、「データを見分けたり、分解したり、それらの関係性を発見すること」と答える方が多いかもしれません。これは正直なところ、売上データ分析の目的として不適切な答えです。なぜなら、これでは売上データ分析自体が目的になってしまっていて、その後のアクションにまったく繋がらないためです。

たとえば売上データ分析を実施し「商品Aと商品Bが一緒に購入されることが多い」といいう分析結果が出たとして、その結果だけに満足してしまうと売上データを分析した意味が無くなってしまいます。大切なのは売上データ分析から得られた結果からその要因などを追求し、売上拡大等につながる具体的なアクションを立案し、計画し、それを実行することです。

従って売上データ分析では、その結果をどのような判断に使うのか?どのようなアクションに繋げるのか?分析する意味は何か?を常に明確にしながら分析に取り組む必要があります。

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売上データ分析の方法

ここで、売上データ分析を実施するための3つの方法をご紹介します。いずれもExcelだけで簡単にできる分析方法なので、ぜひ実施してみてください。

デシル分析

デシル(decile)とはラテン語を語源とする言葉で10等分の1」という意味です。デシル分析では売上データに対するある軸から、10等分の1クラスで顧客や商品などをセグメントし、売上に占める割合などを明確にするための分析手法です。下記にポイントと一例をご紹介します。

デシル分析のポイント(顧客をセグメントする場合)

購入金額順に顧客を並べていく

デシル1~デシル10まで上位から100人毎のセグメントを作る

各セグメントの合計購入金額を算出する

総購入金額に対して、各セグメントの購入金額の比率を算出する

上位セグメントから累積で購入金額比率を算出する

デシル分析の一例

 

購入金額合計

購入金額比率

累積購入金額比率

1人あたりの

購入金額平均

グループ1

20万円

40.0%

40.0%

2万円

グループ2

10万円

20.0%

60.0%

1万円

グループ3

8万円

16.0%

76.0%

8,000円

グループ4

5万円

10.0%

86.0%

5,000円

グループ5

3万円

6.0%

92.0%

3,000円

グループ6

1万5,000円

3.0%

95.0%

1,500円

グループ7

1万円

2.0%

97.0%

1,000円

グループ8

8,000円

1.6%

98.6%

800円

グループ9

5,000円

1.0%

99.6%

500円

グループ10

2,000円

0.4%

100.0%

200円

合計

50万円

100%

-

5,000円

この例では売上全体に占める割合がグループ2までで60%、グループ4までになると86%も占めていることになります。このように顧客のグループごとに売上に占める割合を知ることで、各グループに沿ったマーケティングを実施したり、積極的に投資すべきグループが判明します。

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ABC分析

売上データ分析の基本であるABC分析は、主に商品の売れ筋や死筋を正確に把握するためのものです。従業員ならば自社商品の売れ筋や死筋を感覚的に把握しているでしょうが、それだけでは新しい販売戦略を立てるのは危険です。たとえば飲食店にてメニューの改訂がある際に、注文率の低いメニューが入れ替えられがちですが、メニュー単価を考慮すると他に入れ替えるべきメニューがあるかもしれません。

とあるコンビニエンスストアでは、商品ランキング圏外にもかかわらずロングセラーとして扱っている商品があるそうです。その商品は売上自体への直接的影響は低いものの、コアファンからの人気が高く、コアファンを繋ぎとめることに強く貢献しています。このように単純な売上データからでは見えない事実も隠されているので、ABC分析によって商品の売れ行きを詳しく知ることが大切です。

やり方はデシル分析とほぼ変わらず、各商品の売上金額と総売上に対する構成比を算出し、累計売上金額比率を出していきます。その中で累計売上金額比率が70%以内の商品がAランク、70~90%の商品がBランク、90%以上の商品がCランクと格付けしていきます。これによって商品の売り筋と死筋をハッキリさせられますし、通常は気づかない知見を導き出すこともできます。

マーケットバスケット分析

マーケットバスケットとはつまり「スーパーの買い物かご」のことで、顧客が何を購入したかの統計を取り、表面上では気付かない売上データ同士の関連性を見つけることです。たとえば「紙おむつとビール」という事例が有名ですね。

これはとあるスーパーマーケットには紙おむつとビールが一緒に購入されることが多いという事実に売上データ分析で気づき、原因を追究したところ、週末に子供の紙おむつを買いにきた父親が一緒にビールを購入していることに気づきました。それから紙おむつとビールの陳列棚を近づけたら、売上が上がったという事例です。

マーケットバスケット分析では顧客が「何を購入したか?」の統計を取り、表面上では見られない知見と関連性を創出することができます。

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売上データ分析基盤を整えよう!

本稿を通じて売上データ分析に興味が湧いたという方は、売上データ分析を取り入れるのと同時にERP(Enterprise Resource Planning)も検討してみましょう。ERPは基幹システムを統合したソフトウェア製品であり、企業全体から効率良く売上データを収集し、いろいろなデータと組み合わせて分析が行えます。

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