【業務担当者のためのRPA講座】RPAは何に貢献するのか?

 2018.11.05 

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“Robotic Process Automation(RPA)”という言葉をご存知でしょうか?

近年いたるメディアでこの言葉を見聞きするので「なんとなくは知っている」という方が多いかもしれません。

RPAは単なるITトレンドなどではなく、すべてのビジネスパーソンにとって深い関係がある新しいITツールです。もしかすると、自分が日々行っている仕事はRPAに取って代わってしまう可能性も…。

本稿ではそんなRPAに関する基礎知識をご紹介しますので、この機会にぜひ知見を深めていただきたいと思います。

RPAとは?

「ロボティック・プロセス・オートメーション」、これは日本語にすると「ロボット的業務プロセス自動化」という意味になります。直訳ですと若干意味が分かりにくいので、「業務プロセスを自動化するためのロボット」と捉えてください。

ロボットと聞くと工場で稼働する生産機械だったり、AIを搭載した人型ロボットをイメージするかもしれません。RPAはそうした実体のあるロボットとは違い、サーバーやパソコン内に存在するソフトウェアです。なぜロボットかというと、ユーザーの指示に従ってプログラムに従うという点でロボットと共通しているからです。

RPAが自動化するものは主にホワイトカラーの業務が中心です。経理、総務、人事といった部署では日常的あるいは定期的に発生する定型業務が多く存在します。たとえば日次の売上データを週ごとにまとめてシステムに転記したり、人事システムに記録されている労働時間情報をもとに、残業時間超過の連絡をしたり、こうした業務は予め手順が決められている定型業務となります。

手順が決められている定型業務ならばRPAによる自動化が可能です。パソコン上で行う操作をRPAに指示し、自動化ロボットを開発するだけです。

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ExcelマクロとRPAの違いは?

RPAの説明の中で「Excelのマクロ機能と同じなのでは?」と考えた方も多いでしょう。ExcelマクロもRPAと同じようにプログラムを自動化するための機能であり、VBAというプログラミング言語を使用することで高度なプログラム自動化が可能です。ただしRPAと決定的に違う点は、ExcelマクロはあくまでExcelシート内でのプログラム自動化しかできないという点です。

たとえばExcelシートにあるデータを集計し、グラフ化し、それをPDFとして出力するという作業まではExcelマクロで自動化できます。しかし、その後にそのファイルをどう扱うかに関しては自動化できません。

New call-to-action
New call-to-action

これに対してRPAはExcelマクロで自動集計、グラフ化、PDF出力したファイルを関係者間で共有するためのメールに添付して送信したり、クラウドストレージにファイルをアップロードしたりと、複数のアプリケーションにまたがって自動化が可能です。

そのためExcelマクロとでは自動化できる領域が圧倒的に異なり、定型作業ならばすべて自動化できるというほど広範囲の業務を自動的に行えます。

RPAのメリットとは?

定型業務を中心に自動化可能なRPAですが、その具体的なメリットとは果たして何でしょうか?組織と部門ユーザー、それと情報システムの観点から説明します。

組織としてのメリット

組織がRPAを導入する最大のメリットは「人材リスクが無い」ということです。RPAは広範囲にわたっての業務自動化が可能なので、運用次第では数人の労働力に匹敵する効果を得られます。ただし人材を雇うことと違う点は、雇用によるリスクが一切ないことです。

人材には離職するリスク、休職するリスク、怠慢のリスク、不正のリスク、過失のリスクなど常に多くのリスクが付きまといます。組織としてこのリスクを管理することは難しく、管理を徹底していてもリスクが現実になることはあります。

これに対し、RPAは離職、休職、怠慢、不正、過失といったリスクが一切ありません。ロボットソフトウェアですから、開発者が指示したプログラムに従って業務を自動化するだけであり、24時間365日稼働しても倒れるようなこともありません。

部門ユーザーとしてのメリット

RPAが効果を発揮するのは定型業務なので、部門ユーザーはそのメリットを最大限に受けることができます。定型作業の多くはデータの入出力やその繰り返しです。そのため、人が行うと集中力が切れやすくなり、生産性も低下していきます。これをRPAに置き換えることで部門ユーザーはかなり大きな生産性を手にすることができます。

細かい繰り返し作業はRPAに任せて、自分はクリエイティブな仕事により集中することができます。

さらに、RPAで自動化ロボットを開発するにあたって定型業務を一度マニュアル化するため、改めて日常業務をマニュアルとして明確にすることができます。

情報システムとしてのメリット

情報システムとしてのメリットはRPAが部門ユーザー主体で運用できるという点です。新しいシステムを導入するとなると情報システムの負担が増えるため、その度に重い業務負担にストレスを感じている方は多いでしょう。これに対し、RPAの多くは部門ユーザー主体で運用と開発が行えるので、情報システムは中央から運用状況を監視するだけで済みます。

もちろん、高度な開発となると情報システムの技術が必要ですが、情報システム自身もRPAによって様々な業務を自動化できます。

以上のように、RPAは組織や部門ユーザー、情報システムといった企業全体にとって大きなメリットがあります。

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RPA運用で注意すべきことは?

企業全体にメリットのあるRPAですが、運用するにあたって注意点もいくつかあります。この注意点を知り、対策を取らないとRPA導入が失敗に終わる可能性もあるため注意しましょう。

RPA推進体制を整える

RPAは導入後すぐに機能するITツールではありません。開発が比較的簡単とはいっても、部門ユーザーに丸投げしてしまうと正しい運用は難しいでしょう。そのためRPA推進体制を整えて、スモールスタートでRPA運用を徐々に拡大していくことが大切です。

自動化ロボットが乱立しない環境を整える

RPAがいくら便利でも自動化ロボットが乱立してしまうと、予期せぬ処理を行う自動化ロボットが出現したり、エラーを繰り返す自動化ロボットが発生する可能性もあります。これを防ぐにはRPA推進体制を整えて、開発される自動化ロボットが管理される環境を作る必要があります。

すべてを自動化できるわけではない

RPAで自動化できるのはあくまで定型作業です。そのため、人間的な判断を必要とする自動化ロボットは基本的に作れません。さらに、RPAは製品ごとに特徴があり自動化の範囲や得手不得手があるので、これをしっかりと見極めることが大切です。ただしAIと連携した一部のRPAでは人間的な判断を必要とする業務も自動化できることがあります。

RPAに仕事を奪われる?

RPAがIT業界のトレンドになってからささやかれていることが「ホワイトカラー業務の多くがRPAに取って代わる」ということです。しかし、実際に職を失う人が現れるかというとそうではありません。今まで人間が行ってきた機械的な業務がRPAに代わるというだけで、人はクリエイティブな仕事に注力するようになるというのが正しい未来像です。もちろん、定型作業がすべてだという人にとっては、RPAの登場は脅威かもしれません。ですので、そうした将来を想定し様々なスキルを身に付けておくことも大切なのかもしれません。

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