経費精算における領収書の電子化についての基礎知識

 2021.03.11  2023.02.13

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経費精算における領収書の電子化を検討している企業担当者の中には、その概要について詳しく知りたい方もいるでしょう。本記事では、そのような方々に向けて電子帳簿保存法の概要や、経費精算の領収書を電子化するメリット・デメリット、またその方法や注意点などについて解説します。

経費精算における領収書の電子化についての基礎知識

領収書の電子データ保存を可能にした電子帳簿保存法の改正

「電子帳簿保存法」は1998年より施行されていて、領収書の電子データ保存を可能にした法律の大元です。この法律によって、財務会計システムなどで作成された国税関係帳簿書類の電子化が認められるようになり、それまで紙媒体での保存が義務付けられていた領収書の電子データ保存も可能となりました。しかし当初は、システム上で電子データとして作成された書類のみ電子化保存が認められていたため、紙の帳簿書類はスキャンして電子化できなかったのです。

2005年になると「e-文書法」が施行されたことにより、スキャンした国税関係書類の電子化保存が可能になりました。しかし、実施要件が厳しく、多くの企業で取り入れるのは難しい状況でした。それが2015年の改正により、スキャナ保存要件が緩和され、電子化できる領収書の金額の上限がなくなったり、紙の帳簿のスキャナによる電子化保存が可能になったりしました。

2016年の改正では、スキャナ保存要件がさらに緩和されます。800万画素以上のカメラを搭載しているスマートフォンであれば、それを使って撮影した領収書のデータ化保存が可能(ただし、この場合は不正防止のため、受領者が受領3日以内にタイムスタンプを押す必要がある)になったのです。また、7年間は原本を保存しなくてはいけないという要件も撤廃されました。

2020年にはさらなる法改正が行われ、請求書や領収書などの受領や、スキャン作業は不要となりました。発行者によってタイムスタンプが押された電子データの場合は、受領者がタイムスタンプを押す必要もありません。また、受領者がデータを変えられないようなシステムやサービスを活用した場合も同様です。これにより、なかなか体制整備のための費用を工面できず、導入が難しかった中小企業でも、電子化保存がしやすくなったといえます。

なお、電子化保存が認められている主な帳簿書類としては、領収書や契約書をはじめ、貸借対照表などの決算で作成した書類や、総勘定元帳、売上・仕入帳などの国税関係書類や帳簿、見積書や注文書などの一般書類があります。

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領収書を電子化するメリット

ここからは、領収書を電子化するメリットについてご紹介します。

ペーパーレス化の実現

電子化することでペーパーレス化を促進でき、管理スペースの削減につながります。紙媒体で保管する場合、膨大な量の領収書を置いておく場所が必要になるでしょう。量が多ければ多いほど場所をとってしまいますが、電子化すればそのような管理場所を作る必要はありません。

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また、紙がなくなることで検索も容易となり、業務効率化も図れます。紙媒体の場合、多くの書類が保管されているファイルの中から、必要なものを都度見つけ出さなくてはなりません。探す手間や時間がかかるのはもちろん、保管スペースが別にある場合は、その場所まで取りに行く必要もあります。

電子化すれば、瞬時に必要な書類だけを探し出せるうえ、印刷や郵送にかかる費用も削減できます。必要な書類が多い企業ほど、ペーパーレス化により削減できるコストは大きくなるでしょう。

セキュリティの強化

領収書を紙のまま保管しておくと、経年劣化により文字が見えにくくなったり、作業者の不注意によって紛失したりすることがあります。万が一、紛失した領収書が悪意ある第三者の手に渡った場合、情報漏えいにもつながりかねません。

領収書を電子化すれば、そもそも紙を用いないため紛失するリスクが生じません。ファイルサーバーに保存しバックアップを取っておくことで、半永久的な保管も可能でしょう。また災害発生時においても、データで保存しておけば速やかに復旧できるため、データ消失のリスクを減らせます。

領収書を電子化するデメリット

このように、領収書の電子化にはさまざまメリットがある一方、いくつかデメリットも存在します。メリット・デメリットの両方を把握したうえで、導入の是非を検討しましょう。

導入コストが発生する

書類を電子化する場合、当然ながら導入コストやランニングコストが発生します。領収書の保管に必要なハードディスクやクラウド、電子化のためのソフトなど、設備整備のためにさまざまな費用がかかるでしょう。導入コストとランニングコストを合わせると、場合によっては数百万円ほど必要になる場合もあります。

また、電子化をスムーズに進めるにあたり、その手の事情に詳しい社員を確保するなど、人件費もかかるかもしれません。システムを導入する際は、最終的に必要なコストを試算したうえで、導入を検討することが大切です。

インターネットに依存する

データをクラウド上に保管する場合、何らかの問題によりインターネット環境に不具合が生じた際、保管してある書類の閲覧が困難になる恐れがあります。インターネットに依存するあまり、万一システムダウンが起きた場合に利用できなくなる可能性もあるということです。もっとも、このような事態が起こることは稀ですが、システム導入後に生じ得るリスクとして、頭に入れておいたほうがよいでしょう。

領収書を電子化する方法とは

経費精算の電子化でよく用いられるのが「経費精算システム」です。経費精算システムは、企業の事業活動上で発生した経費や立替金、小口現金などの精算ができるシステムを指します。申請者と承認者が登録されていて、申請者が申請した書類をシステム上から承認できる仕組みです。近年では、スマホやタブレットで経理処理を行えるシステムも登場しています。このようなシステムを取り入れることで、出社しなくても経理処理できる点がメリットです。

システムにはさまざまな種類があり、それぞれ特徴や機能が異なります。例えばレシートを撮影するだけで、日時や金額を読み取る機能があれば、手入力する手間を省けるだけでなく、打ち間違いなどによるヒューマンエラーの防止も期待できます。また、経費精算システムをほかのシステムと連動させることで、作業の効率化を図れるものもあります。担当者の経費精算にかかる時間やミスを削減でき、限りある労力をほかの業務に充てられるでしょう。

ちなみにOracle社では、経費精算だけでなく請求書支払いや支出分析など、ひとつの基盤で幅広くサポートできる経費管理ソリューションを提供しています。情報を一元化することでガバナンスの強化やコスト削減にもつながるため、システム選びに迷われた際は、ぜひチェックしてみてください。

領収書を電子化する際の注意点

まずは、電子帳簿保存法を理解しておく必要性があります。スキャナ保存したデータを原本とする場合、そのデータの「真実性の確保」と「可視性の確保」を行わなくてはいけません。前者はデータが改変されていないと証明することで、後者は検索性や見読性のことを指します。

また、スキャナ保存を行う前には、所轄税務署の承認を得ることが必要です。申請後、3ヶ月の間に却下や差し戻しがなければ承認されたとみなし、それ以降に書類の電子化が可能となります。

さらに、電子データは民事訴訟法上における証拠としての扱いも複雑です。例えば、電子データが改ざん・消去の容易なものであれば、信用に足らないものとみなされ証拠力に劣りますし、保存・複製が容易であれば同一性の問題が生じます。民事訴訟で争う場合、これらの問題をクリアしなければ、電子データのみだと不利になる恐れもあるでしょう。そのため、民事訴訟における証拠提出を見据えるのであれば、改ざんの防止策を講じたうえで、紙の原本も保管しておくことが大切です。

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まとめ

電子帳簿保存法の改正により、現在のような領収書のデータ保存が可能になりました。電子化することで作業効率化やセキュリティ対策などのメリットがある一方、導入コストなどのデメリットも存在します。また、電子化する際の注意点もあるため、事前に確認することが大切です。

自社にシステムを導入する場合は、各製品の特長を比較し、自社に適したものを選びましょう。中にはOracleのように幅広いサポートを可能とする製品もありますので、領収書の電子化をお考えの方は、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

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