クラウド会計ソフトは近年、その利便性の高さから利用率を伸ばしており、将来的にはさらなる普及の拡大が予想されています。当記事では、このクラウド会計ソフトがどのようなものなのか、またその市場規模やシェア率、代表的な商品などについてご紹介します。クラウド会計ソフトの導入を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
クラウド会計ソフトとは?
「クラウド会計ソフト」とは、インターネット上で会計処理を行うソフトのことです。
従来は、ソフトウェアを購入した上で、それをパソコンにインストールして使用する「インストール型」と呼ばれる方法が一般的でした。一方のクラウド型では、ソフトウェアの購入やパソコンへのインストールは不要です。月額制または年額制の使用料金を支払うことで、ソフトを使用できるようになっています。
従来のインストール型の場合、インストールしたパソコンでしか作業を行うことができないという欠点がありましたが、クラウド型はインターネットにアクセスできる環境であれば、どこからでも作業できるという利点があります。例えば、会社のパソコンのみならず、自宅のパソコンやタブレット、移動時のスマートフォンなどでも作業が可能となります。
また、処理済のデータがパソコン本体ではなくクラウド上に保存されるため、USBなどにバックアップを取る必要がなく、パソコンが故障した際にもデータが消えてしまうリスクがないため、安心して利用できます。
クラウド会計ソフトの市場規模
続いて、クラウド型の会計ソフトの市場規模について詳しく見ていきましょう。
クラウド会計ソフトの利用率は年々上昇傾向にある
株式会社MM総研の調査によると、2017年8月時点における国内の中小企業8,851社の会計ソフト利用率(インストール型含む)は54.1%、そのうちクラウド型の利用率は14.5%を占め、徐々に浸透しつつあることがわかりました。またこの調査は2017年に実施されているため、2020年現在の数値はさらに変化している可能性があるでしょう。
現に、個人事業主の会計ソフトの利用率を見てみると、2019年3月時点ではクラウド型18.5%・インストール型72.3%だったものが、2020年4月時点ではクラウド型21.3%・インストール型67.7%へと推移しています。少なくとも個人事業主間においては、年々クラウド型の普及率が上がっていることがわかります。
このことから、法人間でのクラウド会計ソフトの利用率も、同様に伸びている可能性があると考えられます。
現在は「freee」がトップシェアを獲得
法人間におけるクラウド会計ソフトの2017年8月時点でのシェアは、1位「freee」32.3%、2位「マネーフォワード」19.2%、3位「弥生会計オンライン」15.4%という結果になっています。これら3社が全体の約3分の2を占め、2017年8月時点では「freee」が一歩リードする形で普及していることがわかります。
一方で、個人事業主間における2020年4月時点でのクラウド会計ソフトのシェアを見てみると、1位「弥生」56.7%、2位「freee」21.1%、3位「マネーフォワード」16.8%となっています。「弥生」のシェア率が群を抜いているように見えますが、これは「弥生」が個人事業主向けのサービスを提供していることに関係します。この市場では、上位3社が全体の94.6%ものシェアを占めており、事実上の寡占状態が続いていることがうかがえます。
【参考】
MM総研
クラウド会計ソフトを選ぶ時のポイント
ここでは、クラウド型の会計ソフトを選ぶ際のポイントをいくつかご紹介します。
メリット・デメリットをきちんと把握する
ソフトを利用する人数が多い場合や、在宅ワーク・リモートワークがある場合には、クラウド型が適しているといえるでしょう。ただ、いつでもどこでもアクセスできるという便利さがある一方で、IDやパスワードの管理は慎重に行わなければならないという注意点も存在します。メリット・デメリットを総合的に判断した上で、クラウド型かインストール型のどちらにすべきかを検討しなければなりません。
現場に即したものを選ぶ
仕訳入力や決算書の作成は、どのソフトでもほとんど同じ機能としてありますが、それに加え、経営分析に役立つデータやレポートを作成してくれる機能を持つソフトもあります。その機能性は各ソフトで異なるため、実際に利用する担当者の知識量を考慮する必要があります。
例えば、担当者が会計に関する知識に乏しい場合には、詳細な経営分析までしてくれるソフトだと助かります。反対に、知識や経験が豊富な担当者で、機能として用意されていなくても簡単に分析作業ができる場合には、分析機能がそこまで搭載されていないものを選んでも問題ないでしょう。このように、現場担当者にとって使いやすく、経理業務の効率が上がるソフトを選ぶことがポイントとなります。
会社の規模に見合ったものを検討する
他にも、会社の規模に合うソフトかどうかを考える必要があります。その際、現時点での規模だけを考慮するのではなく、将来拡張する予定があれば、将来の規模についても加味しつつ検討することが重要です。
[RELATED_POSTS]クラウド会計ソフトの代表的な製品
最後に、代表的なクラウド会計ソフトをいくつかご紹介します。代表的な商品を確認し、自社に合った製品はどれか、参考にしてみてください。
Oracle NetSuite
日本オラクル株式会社が運営する「Oracle NetSuite」は、世界200ヵ国で22,000社もの導入実績があり、国内外問わず多く利用されています。
財務会計をベースとして、顧客情報管理やプロジェクト管理、購買・債務管理、在庫管理などあらゆる情報を1つのプラットフォームで管理でき、これらを全て連動させることで業務の無駄を省き、効率化に繋げることができます。
国や業界・業種を選ばない柔軟性が特徴的であり、多くの言語や通貨に対応し、海外展開にも対応可能、どのような業界・業種でも利用できるよう機能を備えています。また、企業全体の予算管理はもちろん、部門ごとの予算管理も可能で、企業の様々な予算編成のタイプに応じて、柔軟なカスタマイズも可能です。
また、NetSuiteのSuiteSuccessは高機能なERPでありながら月額20万円〜というSuiteSuccessを提供しています。
- 初期導入費用込み
- 導入期間わずか2ヶ月
- 導入初日から使えるダッシュボード
- 費用は月々20万円から
https://www.clouderp.jp/resources/netsuite-suitesuccess
弥生会計オンライン
弥生株式会社が運営する「弥生会計オンライン」は、登録ユーザーが170万人以上にも上る人気のサービスです。帳簿付け・経営状況の確認・決算・会計事務所との連携などが可能で、経理業務の効率化・時間短縮につながります。
初心者でも使いやすい仕様になっているため、開業したばかりの方にもおすすめ。Windowsのみならず、Macでも利用可能な点も魅力といえます。
やよいの青色申告 オンライン/やよいの白色申告 オンライン
弥生株式会社が運営する「やよいの青色申告オンライン」及び「やよいの白色申告オンライン」は、インストール不要の個人事業主向けサービスで、こちらもWindows ・Macともに利用可能です。
簿記の知識がない方でも家計簿感覚で利用でき、決算や確定申告書の作成が簡単にできます。また、登録した取引を申告に必要な帳簿やレポートに自動集計してくれるため、初めて確定申告をされる方におすすめです。
freee
freee株式会社が運営する「freee」は、個人事業主から中規模法人向けのサービスです。2020年現在、クラウド会計ソフトのシェアの約4割を占める、人気No.1商品です。
スマートフォンのアプリ機能が充実しており、スマートフォンでレシートの写真を撮ることで、日付や金額を自動で読み取ってくれます。外出先や移動途中でも手軽に作業できるので、その日の経費はその日に入力することを心がけると、入力作業が溜まらずに済みます。
また確定申告書の作成は、いくつかの質問に答えていくだけで完成するため、詳しい知識がない方でも安心して利用できます。
マネーフォワード クラウド会計
株式会社マネーフォワードが運営する「マネーフォワードクラウド会計」は、機能やコストのスペックが高く、バランスの取れたサービスといえます。銀行やクレジットカードと連携させることで、仕訳の自動入力も可能で、経理作業にかかる時間を大幅に削減することができるでしょう。
また、セキュリティ面やサポート体制が充実しており、電話やメール以外にも、オンライン上のマニュアルやAIによる自動応答もあるため、サポート面を重視する企業におすすめです。
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まとめ
クラウド会計ソフトには様々な種類があり、会社によって搭載されている機能や特徴が異なるため、各々の企業や事業に適したものを検討することが大切です。中には無料体験できるものもあるので、それらを利用して実際に作業してみると、使用感や操作方法がイメージしやすくなります。
今回ご紹介した内容を参考に、ぜひクラウド会計ソフトの導入をご検討ください。
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