EC運営者の物流課題と解決策

 2017.04.06 

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EC業界を取り巻く物流事情は常に変化しています。

2014年4月にはヤマト運輸が消費税の引き上げに伴い運賃/料金の見直しを行い、取引量に応じた割引に対し、適正料金の反映などを含めた料金引き上げを実施しました。

配送サービスを送料無料で提供しているにしろ、消費者負担で提供しているにしろ、料金引き上げに困惑したEC事業者が多かったのではないでしょうか?

このように、EC業界の物流事情では外部要因からくる課題や、組織内における課題など様々な物流課題が存在します。また、そうした物流課題はすべてのEC運営者が抱えるものだと言えます。

今回は、EC運営者の物流課題に焦点を当て、EC事業者が抱えやすい課題を整理し解決方法を紹介していきたいと思います。

EC運営者が抱える4つの物流課題

EC事業者が抱える物流に関し、以下の4つが一般的な課題として考えられています。

  • 在庫管理の適正化
  • 受注管理の簡素化
  • 商品管理の統合化
  • 配送業者の値上げ

それぞれの課題は具体的に解説していきたいと思います。

在庫管理の適正化

物流の中間ポイントでもある在庫管理は、「在庫管理=経営そのもの」と言えるほど重要な課題です。

在庫管理が適正化できないと何が起こるのか?第一に、キャッシュフローが悪くなり、資金繰りが苦しくなるという深刻な問題があります。

在庫とは言わば「現金化されていない資産」です。企業は在庫を処理して現金化することでキャッシュフローが良くなり、仕入れや事業拡大など色々なところに投資を回すことができます。

従って在庫管理が適正化できないと、まずキャッシュフローが悪くなり、経営自体に悪影響が出てしまうのです。

しかし、現状として在庫管理と経営をリンクさせて考えられているEC運営者は少ないでしょう。

視点を変えて言えば、在庫管理を適正化するための「仕組みがない」とも言えます。

受注管理の簡素化

複数のECサイトを運営していると複雑化するのが受注管理です。ECサイトは実店舗と違って、複数店舗が存在していても一ヵ所で集中的に管理します。

このため受注管理が複雑になり、無駄な業務が多く発生したり、誤納品といった実店舗ではありえないミスが発生することがあります。

受注管理は顧客満足度に直結する業務です。受注処理スピードを上げ、正確な商品配送を常に行うことで顧客満足度は向上していきます。

商品管理の統合化

こちらも複数店舗を抱えることで発生する課題であり、商品管理が複雑化します。

New call-to-action
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複数ECサイトで在庫を共有し、同じ商品を販売するということは今やEC運営者にとって当たり前の経営戦略です。しかし、各ECサイトで商品登録を行ってる場合、かなりの手間がかかっていることになります。

また、Aのサイトで購入された商品の在庫状況が、Bのサイトにも反映されるような仕組みがなければ、消費者の満足度を下げ機会損失を多く生む原因にもなるでしょう。

配送業者の値上げ

2014年4月の消費税引き上げに伴う配送業者の料金改定を考慮すると、2020年10月での消費税引き上げの際も、新たな料金改定があると考えられます。

あるいは、消費税の引き上げに関係なく各運送業者で料金改定が行われることも十分に考えられます。

そして残念ながら、料金改定により下がる可能性は非常に低いでしょう。

となると、すべてのEC事業者は来る配送料金引き上げに対し、予め対策と取る必要があると言えます。

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物流課題を解決するためには?

EC運営者が抱える一般的な物流課題はいずれも無視できない重要な課題です。解決するために取れる対策とは何でしょうか?

送料無料について考え直す

まず運送業者の料金引き上げに対する対策として、「送料無料」について考え直すという案があります。

今でこそ「ECは送料無料が当たり前」という風潮が一般化されていますが、そもそもはAmazonマーケットプレイスといった大型ECモールが送料無料化を始めたことから、こうした風潮がEC業界に広がりました。

しかし、EC運営者が持つ送料無料の負担は大きく、運送業者の料金引き上げによりさらに負担は増します。そこで送料無料について考え直す、つまり送料無料に変わるバリューを提供するといった対策が必要です。

例えば、同じ商品を同じ価格で販売している、AとBという2つのECサイトが存在するとします(商品は10,000円のドライヤーとしましょう)。

サイトAは送料無料で購入することができ、一方サイトBでは500円の送料がかかります。

この場合皆さんなら、どのようなバリューがあれば送料500円がかかるサイトBで購入しようと考えるでしょうか?

一つの案として考えられるのは、「次回から使えるクーポンを配布する」「当日発送サービスを提供する」「豊富な決済方法を用意する」などです。

購入時に次回から使えるクーポン(1,000円とします)を配布した場合、EC運営者には送料無料と同等の負担があります。しかし、クーポン券があることで購入者はリピーターになる可能性が上がります。

また「送料無料でドライヤーを購入するより、クーポン券をもらった方がお得」と考える消費者も多くなるでしょう。

もちろん、クーポン券を配布するだけでは不十分かもしれません。そこで当日配送サービスや、豊富な決済方法を用意することで、送料無料以上のバリューを提供できるようになります。

これらの施策を一度に実施すると、場合によっては送料無料よりもEC運営者の負担が大きくなる可能性があります。

しかし、高い確率でリピーターが付きやすくなるという大きなメリットがあるのも確かです。

送料無料という今やEC業界では当たり前の風潮も、視点を変えるだけでまったく違ったバリューを提供することができるのです。

統合的システム環境で各管理業務を効率化する

在庫管理、受注管理、商品管理が抱える物流課題については、統合的なシステム環境の構築で解決できる部分が非常に多いことをご存知でしょうか?

統合的システム環境とは在庫管理システム受注管理システム、商品管理システを始め会計管理システムなど複数の業務システムが統合され、各システムで連携が取れているという環境です。

こうしたシステム環境を整えるためには一般的にクラウドERPの導入などが考えられますが、システムを統合することで各管理業務が効率化され、適切な管理が行えるようになります。

在庫管理なら仕入れ管理と販売管理の連携により在庫の適正化を図る仕組みが取れ、受注管理なら複数のECサイトからの受注を正確に処理できるようになります。

また、商品管理に至っては一つのECシステムで管理できるようになるので、無駄な業務を発生させず商品管理を統合することが可能です。

こうした管理業務の課題は、配送業者の料金引き上げ課題とは違い、マーケティングによる対策効果が非常に小さな部分なので、システム環境の抜本的な見直しが必要な場合が多くあるのです。

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まとめ

現在では3PLや4PLといった新たな物流サービスが登場していることで、EC業界の物流課題が少なくなる可能性はあります。

しかし、消費税引き上げに伴う運送業者の料金改定の可能性が高いこと、加えて新たな物流課題が発生するかもしれないことを考慮すると、今後EC業界の物流課題がどの方向に向かうかは専門家でも予測が付きづらい状況です。

従ってEC運営者はまず現状の物流課題を見つめ、対策を立て実施し、解決することで今後の課題に備えることが先決なのではないでしょうか?

今一度、自社ECサイトの物流課題について見直していただけたらと思います。

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