会計ソフトの仕訳(勘定科目)ってなに?

 2019.02.19 

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最近では「簿記知識ゼロでも使える」という名目で提供されている会計ソフトが増えていますが、完全な知識ゼロで使用できるわけではありません。やはり簿記に関する最低限の知識は必要であり、中でも「仕訳(勘定科目)」に関する知識は必須です。今回は「仕訳(勘定科目)とは何か?」という基本知識と、ビジネスで使用する勘定科目についてご紹介します。

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仕訳(勘定科目)ってなに?

仕訳を簡単に説明すると「取引を借方と貸方に分けて管理するための作業」です。ちなみに簿記上の取引は財産などが増減することを指します。具体的には資産・負債・純資産・収益・費用という5つの要素の変動を意味しています。これらの要素が変動することで、簿記上での取引が発生するというわけです。

では「借方」と「貸方」とは何でしょうか?これも簡単に説明すると借方は「資産が増えること」、貸方は「資産が減ること」を意味しています。借方と貸方のルールについては下表を参考にしてください。

 

増えたら…

減ったら…

資産

借方

貸方

負債

貸方

借方

純資産

貸方

借方

収益

貸方

借方

費用

借方

貸方

少しややこしいかもしれませんが、仕訳について考えるときは「片方が何か?」を思い出せれば残りは埋めるだけになります。複式簿記では1つの勘定科目に対して必ず借方と貸方に仕訳けるので、片方が分かれば問題ありません

たとえば従業員に給与を現金で支払った場合、現金という資産の減少を貸方に記入します。あとは借方に給与を記入するだけです。さらに、給与という費用の増加を借方に記入することが分かっていれば、残りは貸方に現金を記入します。

仕訳についてもう少しわかりやすく解説します。仕訳では必ず「2つ以上の勘定科目を組み合わせて」意味を持たせます。たとえば「現金」という勘定科目が1つあっただけでは、その現金が増えたのか減ったのかわかりません。そこに例として、「借入金」というもう1つの勘定科目が合わさることで意味が生まれます。

借方

貸方

現金100,000円

借入金100,000円

この仕訳では、借入金によって100,000円の現金資産が増えたことを意味しています。では、この勘定科目が反対になるとどう意味が変わるのでしょうか?

借方

貸方

借入金100,000円

現金100,000円

このように勘定科目が変化すると、この仕訳では借入金100,000円を現金で返済したことを意味します。1つの勘定科目ではわからないことも、もう1つ以上の勘定科目と合わさることで意味を持ちます。以上のように、取引内容を「省略化して表現する」のが仕訳です。

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勘定科目一覧

仕訳作業に使用する勘定科目は「資産」「負債」「純資産」「収益」「費用」に大別されます。

1.資産

現金や売掛金、あるいは建物など「資本にすることができる財産」を指します。

2.負債

企業が債権者に対して返済義務を負っているものを指し、掛金や銀行からの借入金がこれに該当します。

3.純資産

純資産とは企業が持つすべての資産から負債を引いたものであり、資産でもあります。

4.収益

収益とは事業から得る売上げを指し、つまりサービスの提供や製品の販売によって得た利益です。

5.費用

費用とは収益をあげるために消費した資金を指し、製造業における設備費や、マーケティング費用などもこれに該当します。

各勘定科目にはさらに細かい科目があり、それらを組み合わせることで仕訳に意味を持たせることができます。各科目について一覧で紹介していきます。

1.資産

現金・預金

現金

当座預金

普通預金

定期預金

現金過不足

手形

手形とは「いついくらのお金を支払いします。」と約束するものであり、小切手のように使用できます。ただし小切手がすぐに現金化できるのに対し、手形は支払い期限まで原則現金を受け取ることはできません。

支払手形

受取手形

貸倒引当金

有価証券

有価証券とは、証券そのものに価値のある紙面のことです。株式、債権、手形、小切手などがこれに該当します。

有価証券

棚卸資産

棚卸資産とは企業が販売目的で一次的に保有している製品、原材料、仕掛品などを指します。どこの製造業でも月次棚卸で製品や部品・原材料などの数量チェックを行うと思いますが、この棚卸資産を正確に把握するためのものなのです。

商品

製品

部品

原材料

仕掛品

その他流動資産

他流動資産とは流動資産の中で、当座資産(現金、預金、有価証券)や棚卸資産以外のものを指します。つまり当座資産や棚卸資産に該当しない流動資産のことです。

立替金

未収金

未収収益

前払費用

短期貸付金

仮払金

仮払消費税

有形固定資産

有形固定資産とは企業が営業活動を行うに際し、長期的に使用するために保有している有形の資産を指します。分かりやすいのが土地や建物、社用車などです。

建物

構築物

機械装置

一括償却資産

土地

車両運搬具

工具器具備品

減価償却累計額

無形固定資産

無形固定資産には2種類あります。一つは法律上の権利、そしてもう一つはそれ以外のものです。例えば特許権、借地権、商品権などは法律上の権利に分類されます。そして営業権、ソフトウェア、電話加入権などがそれ以外のものに分類されます。

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無形資産

敷金・保証金

その他投資

ここまでにない投資などがその他の投資に該当します。

出資金

保険積立金

長期貸付金

長期前払費用

創立費

開業費

2.負債

仕入れ負債

仕入債務とは企業がサービスの利用や商品を購入した際、未払いになっている債務を指します。例えば製造業において原材料や部品を購入した際はその場で料金を支払うのではなく、一定日後に支払われます。こうした買掛金や支払い手形などが仕入債務となるのです。

買掛金

支払債務

他流動負債

他流動負債とは流動負債のうち買掛金や支払債務に該当しないものです。短期借入金や未払金などが該当します。

短期借入金

未払金

未払法人税等

未払消費税等

未払費用

預り金

仮受金

前受金

前受収益

仮受消費税

固定負債

固定負債を簡単に言うと、支払い期限の到来が1年以上後になる負債を指します。ちなみに支払い期限が1年以内のものは短借入金に該当します。

長期借入金

3.純資産

純資産では他の大別された勘定科目のように、細かくカテゴライズされたものはありません。主に以下のような勘定科目が純資産に該当します。

資本金

資本準備金

利益準備金

繰越利益剰余金

事業主貸

事業主借

元入金

4.収益

売上

収益と売上はほぼ同じ意味です。企業が提供するサービスの利用や製品の購入に対して支払われたお金が売上げとなります。また、最近ではクラウドソフトウェアサービスを展開している企業が増加していますが、この場合顧客から支払われる月額費用が売上げに該当します。

売上

営業外収益

営業外収益とは通常の営業活動以外で得る収益のことです。つまり上記の売上げは該当せず、受取配当金や有価証券売却金などが該当します。「本業以外で得た収益」と覚えておくと分かりやすいでしょう。

受取利息

受取配当金

有価証券評価益

有価証券売却益

雑収入

特別利益

特別利益とは企業の経営活動に関係なく得た収益を指します。営業外収益と混同しがちですが、建物などの固定資産を売ったときのお金などが特別利益に該当します。

固定資産売却益

[SMART_CONTENT]

5.費用

売上原価

売上原価は業界業種によって異なる勘定科目なので、一概にこれと言うことはできません。しかし難しいものではなく単純にサービスや商品にかかっている原価と捉えるといいでしょう。例えば物品販売業ならば仕入れた商品の仕入値がそのまま売上原価に該当します。

仕入高

期首商品棚卸高

期末商品棚卸高

販売管理費

販売管理費とは企業の営業活動のうち売上原価に該当しない費用を指します。人件費はもちろんのこと会議費や接待費など、他のカテゴリーに比べて最も多くの勘定科目があるので一番混乱しやすいのではないでしょうか。

会議費

外注費

貸倒損失

寄付金

給料手当

業務委託費

ソフトウェア等

リース料

事務用品費

交際費

保険料

修繕費

新聞図書費

旅費交通費

水道光熱費

法定福利費

消耗品費

減価償却費

研究開発費

福利厚生費

地代家賃

広告宣伝費

役員報酬・賞与

採用教育

支払報酬料

支払手数料

租税公課

荷造運賃

諸会費

販売促進費

販売手数料

貸倒損失

貸倒引当金繰入額

賃借料

賞与

車両費

退職給付繰入額

退職金

通信費

雑給

営業外費

営業外費用とは、企業の営業活動以外で発生する費用のことです。手形売却損や支払い利息などが該当します。

割引料

売上割引

手形売却損

支払利息

有価証券売却損

繰延資産償却

貸倒損失

雑損失

以上が仕訳で使用される勘定科目です。仕訳の際、勘定科目に困ったらぜひ参考にしてください。

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