在庫管理によって売上げや損失が大きく影響するアパレル業界。本記事をクリックした方は何かしらアパレル業界に関わっている方ではないでしょうか?そして「在庫管理を適正化したい!」と考えているのではないでしょうか?
さらに、在庫管理は本当に難しいと痛感している状況ではないかと思います。
確かにアパレル業界はその他の業界とは異なり、在庫管理が難しく適正在庫を保てないだけで経営を圧迫してしまうケースも少なくありません。
なぜアパレル業界の在庫管理はここまで難しいのか?その理由と改善案を紹介していきたいと思います。
アパレル業界の在庫管理が難しい4つの理由
1. ファッションアイテムは食品以上の“なまもの”
アパレル業界が取り扱う商品と言えばTシャツやデニムなどの衣類からバッグ、アクセサリー類、シューズなど様々なものがあります。そして、そのすべての価値がトレンドに左右されることから食品以上に鮮度が重要な商品なのです。
例えば1シーズン前のアイテムが定価で売れるか?と言えばそうではありません。シーズンごとに新たなトレンドが生まれているので、少しでもトレンドからズレれば価値は下がります。(ブランドバッグやヴィンテージなどは例外)
つまり、仕入れたら仕入れた分をそのシーズンに売り切るのが鉄則です。魚屋や八百屋なども仕入れた分をその日に販売しないと鮮度が落ちて売り物にならないので、近いものがありますね。
そしてライフサイクルの短い商品はやはり在庫管理が難しいのです。
2. 需要予測が難しい
ファッションアイテムというのはシーズンごとのトレンドがある分、需要を予測しやすいと誰もが考えがちです。しかし実際アパレル業界ほど需要予測が難しい業界はないのではと思います。
いくらトレンドが決まっているからと言え、ファッションは国や地域のカルチャーが大きく影響する分野です。このため同系列のブランドでもA店舗とB店舗でまったく売れ筋が違うということが往々にして起こります。
店舗ごとにその地域のカルチャーを理解している店長や販売員がいればいいのですが、なかなかそうもいかないのが現実です。
そこで過剰在庫や不足が発生してしまい、経営を圧迫したり機会損失を生みやすくしているのです。
3. 目視による検品作業が在庫数を狂わせる
仕入れた商品が届いたらまず行うのが検品ですが、ほとんどのアパレル会社では目視による検品を行っていると思います。徐々にRFIDなどのデジタルIDが普及してはいますが業界全体で言えばまだまだと言ったところでしょう。
そして目視による検品ではどんなに注意を払っていてもミスが起こります。そうしたミスの積み重ねが在庫数の誤差を生み、適正在庫が保てない状況につながっていくのです。
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4. アウトレットによる在庫処分
最近では店舗で売れなかった商品をアウトレット店に回し販売しているというケースが多々あります。というより、ほとんどのブランドが実践しています。
「売れ残りが売れるんだから良いのでは?」と思うかもしれませんが、実はその気持ちに落とし穴があるのです。
売れ残った商品をアウトレット店で販売したとしても定価で売れるわけではありません。当然アウトレット価格にて販売します。つまり、適正価格を下回った状態で販売しているということです。
それでもまったく売れないよりはマシなので、ほとんどのブランドがアウトレット店へ回すわけです。ベストは適正価格で販売することでありアウトレット店で売上げを上げることではありません。多くの企業が「アウトレットに回せば大丈夫」という考えから、本質を見失ってしまうのです。
食品業界では賞味期限の切れた商品をアウトレット価格で販売したりはしません。即刻廃棄です。だからこそ、常に適正在庫を保たなければという強い意志があります。
しかしファッショアイテムは賞味期限(トレンド)が切れても価格を下げて販売できてしまうので、そこに一抹の余裕が生まれてしまうのです。事実そうした積み重ねが「アウトレットでしか商品が売れない」という状況を作っているのではないでしょうか。
在庫管理は“経営”だということを理解する
現状、在庫管理が上手くいっていないというアパレル会社ではまず「在庫管理は“経営”だ」ということを理解しなければなりません。適正在庫が保てないがために経営破たんしてしまう企業はいくらでも存在します。
経営者ならば「売り上げが上がっていても倒産する会社はある」と誰もが理解していると思います。中小企業庁がまとめた原因別倒産状況では「放漫経営」が4位に食い込んでいます。
放漫経営とは売上げなどは問題ないにも関わらず経営・管理体制が不十分なために起こる倒産です。さらなる詳細はありませんが、このうち在庫管理が原因で倒産している企業は多いのではないかと思います。
在庫管理が不適切だとキャッシュフローが悪くなり、悪循環に陥って、あっという間に倒産まで追い込まれてしまうのです。
だからこそ在庫管理が上手くいっていないアパレル会社は、まず「在庫管理=経営」という意識を持つことが重要です。
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アパレル業界の在庫管理を改善するために
とにかく見える化することが先決
在庫管理を改善するためにまず行うことは在庫の“見える化”です。これができなければ、そもそも適正在庫を保つことは不可能でしょう。ここで言う見える化というのは、在庫数に関してだけではなく、在庫の場所に関してもきちんと明確に把握していく必要があります。
実は、気付かないまま在庫が蓄積されていく商品に後々気付き、時すでに遅しといったケースが少なくありません。
ですので、どの商品がどれだけありどこに保管されているかを明確にしましょう。店舗規模が小さいからと言って油断してはいけません。それでも適正在庫が保てないからこそ、多くの会社が倒産しているのです。
定期的に棚のレイアウトを考える
レイアウトとは店舗ではなく在庫管理室の話です。つまり、管理しやすいように棚の位置を考える必要があります。意外と見落としがちですが適切な在庫管理を行うためには管理しやすいように環境を反化させなくてはなりません。
このため定期的に棚の位置を変更してみてください。特に春夏物から秋冬物へと変化していくシーズンでは、取り扱う種類が大幅に変更されます。シーズンごとでもいいので棚の位置を見直すとぐっと管理しやすい環境になるでしょう。
誰でも簡単にできるよう管理方法を整備する
店長や勤務期間の長い人と中心に在庫管理が行われているケースは少なくありません。管理方法が複雑であり業務をなかなか覚えられない、あるいは教える時間がないというのが主な原因です。
しかし、それでは万が一のときに在庫管理業務を行う者がいなくなってしまうので好ましくありません。
そこで在庫管理を簡単にできるよう管理方法を整備し、積極的に業務を任せていくことが大切です。ベストなのはRFIDなどのデジタルIDやハンディターミナルを活用した管理方法ですね。
多少の投資は必要ですが、管理方法が簡素になれば業務効率化になるというメリットもあります。
在庫状況をスタッフで共有する
在庫管理は見える化するだけでなく共有することも非常に重要です。スタッフ間で各商品の在庫数や置き場を把握していれば、機会損失などを防止することができます。
そのためにはストック作業などをスタッフ全員で行ったり、朝礼時に最低限売れ筋の在庫数を共有するなどしましょう。
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IT解決するアパレル業界の在庫管理
皆さんはNetSuite(ネットスイート)と呼ばれるビジネスソリューションをご存知でしょうか?NetSuiteは在庫管理システムを始め企業経営に必要なシステム群を提供するクラウドERPです。
実はNetSuiteを導入することでアパレル業界の在庫管理問題を大幅に改善することができます。
例えば在庫商品の点数や管理場所を品番ごとに管理したり、POSシステムと連携と取ることで常に正確な在庫数を確認することができます。
さらに、NetSuiteが提供する販売管理システムやビジネスインテリジェンス※1によって売れ筋商品や顧客行動を分析し、需要予測を正確に行うことも可能です。これらのシステムを活用することで適正在庫を保ちやすくなり、キャッシュフローが良くなるので余裕を持って経営していくことが可能です。
ほとんどの企業が在庫管理をシステムに頼っていますが、それでもなお完璧に管理できているというわけではありません。管理自体は適切に行えていたとしても、需要予測は結局のところ勘や経験に頼るところが大きく、正確な予測ができていないのです。
結果、余剰在庫や機会損失を生んでしまいます。
NetSuiteならば十数のシステムで連携が取れており、各システムから生成されたデータはダッシュボードで瞬時に確認することができます。つまり「データドリブン」な在庫管理および経営が可能になるということです。
アパレル業界における需要を正確に予測し在庫管理を適切に行う上で、NetSuiteは最適なソリューションと言えるでしょう。
※1:ビジネスインテリジェンスとはビッグデータ時代に必要と言われてるデータ分析サービス。分析の専門知識がなくともデータを収集・加工・可視化できる。
まとめ
いかがでしょうか?最後にアパレル業界で在庫管理を適切に行うためのソリューションを紹介しましたが、まずは基礎を押さえることが大切です。在庫情報の共有や棚のレイアウト変更などは今日にでもできることなので、是非実践していただきたと思います。
そうして在庫管理を徐々に改善していく中で、より正確な管理を実現するためにソリューションの検討をしてみてはいかがでしょうか。
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