昨今中小企業にも普及が進んでいるERPについて、導入に不安がある方や、導入コンサルの有効性を知りたい方も少なくないでしょう。
この記事では、特に中小企業の担当者向けに、「ERP導入時におけるコンサルタントの選び方」「コンサルタント活用時の手順」を詳しく解説します。ERP導入およびコンサルタント活用を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
ERP導入は中小企業でも効果大
ERPとは「Enterprise Resource Planning」の略です。ERPを導入すると以下のメリットが得られます。
- 経営情報を素早くキャッチでき、迅速な経営判断が可能になる
- 会社の重要データを一元管理でき、二重入力など無駄な業務が減る
もともとERPは大企業で多く使われていたシステムですが、最近は中小企業でも多く導入されています。
その大きな要因として、大企業・中小企業関係なくスピーディな経営判断が求められる時代になったことや、クラウド型のパッケージERPが普及し、導入ハードルが下がってきたことがあります。
(参考サイト:ITトレンド)
はじめての導入にはコンサルタントの利用が有効
中小企業がはじめてERPを導入する場合は、コンサルタントを活用すると安心です。近年、ERP導入のハードルが下がっているとはいえ、導入にはやはり優秀なIT人材が必須だからです。
ERP導入には複雑なプロセスを踏まなければならず、自社にフィットしないERPを導入してしまうと、コスト(金・時間)が無駄になってしまうこともあるからです。導入が完了するまでには少なくとも数ヶ月~半年はかかります。そのため、信頼できるコンサルタントに導入プロセスを牽引していってもらうほうが確実です。
また豊富な実績・経験を持つコンサルタントを利用すれば、ERP導入業務へ割く社内リソースも少なるため、日常業務への影響も最低限に抑えられるでしょう。
さらに、コンサルタントを活用すれば、導入時だけでなく”導入後”の稼働サポートまで行ってくれるため安心感もあります。
[RELATED_POSTS]コンサルタントと共に進める導入手順
ここでは、コンサルタント活用時のERP導入手順を「導入前」「導入時」「導入後」の3ステップに分けて解説していきます。
導入前
ERP導入前に、自社と共にコンサルタントが行う作業には、次のものがあります。
- ヒアリング
自社へのERP導入目的をはっきりさせ、ERP導入によって解決したい経営上の課題を明らかにします。これを明確化することで、「どのような課題をどう解決したいから、どのようなERPを導入するのか」を具体的に目標設定します。 - 要件定義
ヒアリング結果を基に、ERPに必要な機能を整理します。また、そうした機能を有効に用いるには、どんなERP製品がよいのか、自社にとってオンプレミス型・クラウド型のどちらが最適なのか、などを検討することで、実際に導入すべきERPツールやその仕様を決定します。 - スケジュールや予算の決定
導入期間はどのくらい必要になるのか、どんなステップをいくつその期間内に設定することになるのかを定めていきます。それと並行して、予算は最終的にどのくらいになるのかを見積っていきます。
もちろんどの作業でも、コンサルタントは導入企業の意見を尊重したうえで、決定していきます。
導入時
ERP導入前の準備が終わると、以下の作業に移ります。
- システム構築
導入前に選定したERP製品を、実際に自社用システムとして構築します。試験用のプロトタイプを用意し、作動テストを繰り返すことで、運用時の不具合を防止するプロセスです。
一般にテストは「単体テスト/統合テスト/総合テスト」など試験規模ごとに何度も行われ、そのどれも問題なく運用できるまで反復されます。 - トレーニング
コンサルタントが講師となり、自社従業員にERP運用のトレーニング(基礎知識・操作方法)を実施します。これと並行して、自社ERP用の業務マニュアルの作成も行います。 - データ移行作業
もし自社がすでに別のERPを用いていた場合は、新しく導入するERPシステムへのデータ移行作業を行います。
なお、これら導入時のプロセスがスケジュール通り進むよう、自社従業員とコンサルタントスタッフでプロジェクトチームを組むことが一般的です。
導入後
ERP導入後も、コンサルタントのサポートを受けることができます。具体的な実施事項は、以下の通りです。
- 導入前に設定した「解決したい課題」に対して、ERPシステムが有効に働いているか再チェックする。
- 不具合発生時や、自社から改善要望を出したときなど、状況に応じて運用サポートを実施する。
- 新たな機能ニーズが発生した場合の対応を行う。
ERPツールに限らず、ITツール導入直後はトラブルや新たなニーズが現場から沸き起こることも多いです。コンサルタントは基本的に、そうした新規ニーズ発生の可能性をあらかじめ考慮しつつ、導入プロジェクトを進めています。したがって、導入後にコンサルタントへ新規機能追加などを依頼しても、スムーズに応えてくれることが多いでしょう。
コンサルタントを選ぶポイントは?
ここからは、ERP導入時のコンサルタントを選ぶポイントを3つ紹介します。
ポイント①:自社と同業種企業へのERP導入実績が豊富
今日では数多くのERP製品があり、それぞれで特徴が異なります。そのためコンサルタントは、導入先企業によってどんな機能が必要で、どんな構築方法が適切かを熟知している必要があります。
その点で、「自社と同業種企業へのERP導入の実績」が豊富なコンサルタントであれば、自社へのERP導入について最適なノウハウを持ち合わせている可能性が高くなるでしょう。そうしたコンサルタントを探すことで、導入プロジェクト成功確率が確実にアップすると考えられます。
コミュニケーション能力・理解力が適切
2つ目のポイントは、「適切なコミュニケーション能力・理解力を有している」ことです。長期にわたる導入プロジェクトで、スムーズな意思疎通を継続的に図るには、コンサルタント側にこの能力が欠かせません。
例えば、経験豊富でコミュニケーション能力も高いコンサルタントであれば、専門的な内容をわかりやすく説明してくれます。自社従業員に対しても、簡単な言葉を用いながらレクチャーしてくれるでしょう。
費用体系が明朗
最後のポイントは、「費用体系が明朗であること」です。ERP導入は大規模なプロジェクトになりやすいため、見積書・仕様書の詳細や、導入後サポートの料金体系は慎重にチェックしておきましょう。
「自社にとって不要な機能が、意図的に盛り込まれている」と思われるケースも少なくありません。内訳がわからない明細や、要望していないのに不要な機能が多く盛り込まれている見積書を提示してきたコンサルタントには要注意です。不明点・疑問点は必ず問い合わせ、信頼できる回答がない場合は契約を見合わせましょう。
コンサルタントに丸投げはダメ!導入失敗を避けるためには?
ERP導入失敗を避けるためのポイントも2つ紹介します。
1つ目は「プロジェクト丸投げは厳禁」です。
コンサルタントはあくまで外部企業であり、自社内部の事情については詳しくありません。そのため丸投げしてしまうと、自社にフィットしないERPシステムが構築されてしまう恐れがあります。
2つ目は「ユーザの声を収集する」です。
実際にERPを用いることになるのは、現場スタッフや管理スタッフです。技術者以外の従業員たちの声も収集し「自社が求めるERPシステム」の構想を固める必要があります。この構想を固めつつ、コンサルタントと相談すればより確実なERP導入が実現するでしょう。
"中小企業向け"を掲げるERPも重要な選択肢
近年では、中小企業向けに特化したERPツールも多く存在します。例えば「マネーフォワード クラウドERP」「クラウドERP freee」「MJSLINK DX」といった製品です。中でも、日本オラクル社が提供する「Oracle NetSuite」は、中小企業に特におすすめです。
NetSuiteは、世界でも27,000社以上で利用されているなど、今日の世界標準とも言えるERPツールです。代表的な強みは「中小・中堅企業向けパッケージも用意されている」「業種・業界は問わない」「顧客管理機能もあるため、ERP領域にとどまらず、全社的な顧客情報一元管理が可能」という点です。
NetSuiteはクラウドサービスであり、随時アップデートが行われます。そのため、時代に合わせた新機能追加やカスタマイズを、簡単に実行していける点も魅力です。
ぜひ導入候補として検討してみてください。
Oracle Netsuite
まとめ
ERP導入コンサルタントへの依頼を検討されている中小企業向けに、「コンサルタントの選び方」「コンサルタント活用時の手順」を解説しました。
ERPを使いこなすことができれば、企業の経営効率は間違いなく向上するでしょう。その一方で、導入時のハードルが高いことから、導入を断念している企業も少なくありません。
コンサルタントを適切に活用し、ぜひ自社にフィットするERP導入を成功させ、次世代に向けた経営基盤を築いてください。
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