社内の人事関連データを一元管理する「人事管理」に注目が集まっています。人事管理を行うことで、人事課題の可視化や情報共有の効率化が促進され、企業の競争力も高まります。本記事では、人事管理の概要や課題、またシステム導入のメリットについて詳しく解説していきます。
人事管理とは
人事管理は、従業員に関する様々なデータの一元的管理の実行、そしてその状況を可視化および分析する管理方法を指します。企業をはじめとする組織においては、このように従業員の人材活動を効果的に行うために、人事管理を行うことが大きな意味を持ちます。
管理の対象は非常に幅広く、具体的には「雇用管理」「作業管理」「時間管理」「賃金管理」「安全・衛生管理」「教育訓練」「環境管理」などが含まれます。つまり、雇用の始まりから終了までの一連の流れの中で必要な、全般的な活動をすべて管理することであるともいえます。
代表的な業務としては、人材の配置や異動に大きく影響する人事評価、応募から採用までに関わる採用管理、企業全体の生産性を左右する人材配置、研修・教育制度などを活かした人材開発、生産性向上・離職抑制のためのモチベーション管理などがあります。
ただ、これらの業務一つ一つを別々に考えるのでは最適な人事管理とはいえません。必要なデータを結び付けて分析を行うことで見えてくるものもあるのです。例えば離職率や生産性など、既存の従業員データと採用活動を結び付けて考えることで、効率的な採用活動の実現が期待されます。他にも、過去の人材配置データを蓄積することで、性格やスキル、勤務状態などによる最適な人材配置も実現されます。
このように、従業員に関する様々な情報を一元管理し、適切な人事管理を行うことが企業全体の生産性向上に繋がると考えられており、その重要性が再認識されています。
人事管理と労務管理の違い
人事管理と似た言葉に「労務管理」があります。人事部門と労務部門が同一の部署であるケースや、同一の人物が人事業務と労務業務を兼任しているケースも少なくありません。しかしこの二つは同じ意味ではなく、大きな違いがあります。
まず人事管理は、従業員に関する業務を指しています。業務としては、採用活動や人材育成、人事評価、人事異動、人材配置などが挙げられます。
一方で労務管理は、従業員が働く社内環境に関する業務を指しています。業務としては、給与計算や勤怠管理、福利厚生の手続、健康診断の実施などが挙げられます。
双方とも、従業員を対象とする点で共通するものの、従業員一人一人を対象とした業務なのか、組織全体の環境を対象とした業務なのか、という点で大きく異なるのです。ただし、最適な人材活用による企業力の向上という意味では一致しています。そのため両者は密接に関わるものでもあります。人事管理が徹底されていても、労務管理を怠っていれば良い人材の離職に繋がる可能性があります。反対に労働環境がしっかりしていたとしても、人材配置や異動が適切でないと生産性やモチベーションの低下を招いてしまいます。このように、両者とも企業にとって大切な役割を担っているのです。
人事管理の課題
人事管理業務の中でも人事評価の制度は、適切な人材配置や異動のためだけでなく、従業員のモチベーション向上、賃金または昇進昇格にも関わる重要な制度です。適切に制度を設けることで、企業全体の生産性向上や従業員のスキルアップも期待できます。
従来は年功序列が一般的で、年齢や経験によって評価が行われていました。しかし近年では能力や業績など実力を重視した評価を行うべきだという方針に変わりつつあり、そのような評価基準を導入する企業は増えています。
その背景には、市場の変化、顧客ニーズの多様化が関係しています。つまり、このような変化にも対応できる優れた人材がより求められるようになっているということです。
しかしながら、いまだに多くの企業では上司や人事部門の感覚・経験による評価が行われています。適切な評価ができていないことが、人事管理を行う上での大きな課題として残っているのです。
[RELATED_POSTS]人事管理システム導入のメリット
適切な管理を行うためには、人事管理システムの活用が有効です。
システムを導入することで得られる主なメリットとして、データの一元管理、データの可視化、分析結果の可視化が可能になるという3つが挙げられます。それぞれを以下で解説していきます。
人事データの一元管理が可能
従業員に関する様々なデータが別の場所で管理されていると、管理に時間や手間がかかり、それぞれのデータを結びつけるのが難しくなります。特に企業規模が大きい場合、従業員数も多くなります。膨大な量の従業員データが蓄積されるため、その分運用にかかる手間も大きくなってしまいます。
そこでシステムの活用を検討しましょう。データの一元管理が可能になることで、運用にかかる手間が減るだけでなく、担当者の負担が削減され業務の効率化に繋がります。また、そのデータを使って様々な角度からの分析ができるようにもなります。その際活用するデータはリアルタイムに集積されますし、多様な分野を横断する形で解析ができるため、これまで見えなかった事実まで把握できるようになるでしょう。
人事データの可視化で問題解決促進
システムの活用により従業員のデータが可視化されることで、社内での情報共有が容易になります。また、そこに潜む人事関係の様々な問題に気付きやすくなるでしょう。
こうして早期に問題を発見できれば、問題を解決するのも比較的スムーズに進められます。視覚化された情報から問題の傾向に気付き、すばやく対応できるようになるのです。
分析結果の可視化が可能
多様なデータを基にして行われた分析の結果を、グラフや表、図によって可視化できるため、現状が把握しやすくなります。有用な分析結果でも分かりにくければ意味がないため、直感的に把握できるようになることは非常に重要です。業務効率を上げ、より深い分析も行えるようになるでしょう。
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まとめ
人事管理における業務は難易度が高く、これに関して様々な課題を抱える企業も少なくありません。そこで、人事管理のためのシステム導入を検討してみましょう。それらの課題を解決できるかもしれませんし、最適な人事管理も期待できます。
Oracle Human Capital Management(HCM)は、従業員の採用から退職までの一連に発生する、様々なプロセスで利用できる人事管理システムです。人事管理の方法に頭を悩ませている企業の経営者や人事担当者は、この機会にシステムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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