複数の基幹系システムを同時に提供し、連携の取れた環境を整えるERPは現代のIT課題を解決するために有効的な手段の一つとなります。しかしそれだけに導入が難しいというのも事実です。
組織全体をカバーするソリューションなので当然と言えば当然ですが、ならば失敗しない導入を実現するにはどうすればいいのか?それは"ERPベンダー選定”から始まるものではないかと思います。
ERPベンダー選定を正確に行うことができれば、失敗しない導入のための第一段階をクリアしたと言ってもいいでしょう。
そこで今回はERPベンダーの選び方に焦点を当て、正しく選ぶためのポイントについて紹介していきます。
ERPベンダー選びに失敗する7つの原因
正しいERPベンダー選びのポイントを知る上で最も近道なのが、ERPベンダー選びに失敗する原因を知る事です。多くの企業がなぜERPベンダー選びに失敗しているのでしょうか?
- 上層部の一存でERPベンダーが決定された
- 他社からの紹介をすんなり受け入れた
- 導入実績に意識を向け過ぎた
- 情報システムだけで選定を行った
- 比較検討するERPベンダー数が少なすぎた
- 表面上のコストだけで導入を決めてしまった
- 口頭だけでこちらの要望を伝えてしまった
いかがでしょうか?以上の失敗原因を知るだけで、正しい選び方がぼんやりと見えてくるのではないかと思います。
[RELATED_POSTS]RFP作成は絶対!口頭だけで要望を伝えるのは危険
RFP(Request For Proposal)とは"提案依頼書”のことであり、こちらの要望を記した資料をERPベンダーに提出した上で、導入における提案を求めるものです。
なぜERPベンダー選びにRFPが必要なのか?それは、複数のERPベンダーを"平等に”評価し、自社にとって最適なERPベンダーを選ぶためです。
よく要望を口頭だけで伝えるという企業がありますが、ベンダーごとに要望が変化したり、その場の流れで伝えるべきポイントの優先度が上下することがよくあります。また、ERPベンダーからしても説明者の話に対応しながらメモを取るのは困難であり、確認漏れが起こりやすい状態にあるのです。
こうした中で最適なERPベンダーを選ぶということは正直ほぼ不可能に近いでしょう。
万が一ERPベンダー選びに成功したとしてもあくまで"たまたま”であり、失敗するリスクの方が明らかに大きいのです。
だからこそRFPという"標準化された”要望を各ERPベンダーに提出し、それを基に作り出された提案の中から選ぶ必要があります。
他社からの紹介や導入実績を疑う意識を持つ
すでにERPを導入し正常に運用している取引先などから"ここの製品なら間違いないよ”と紹介されることもあるかと思います。また、ERPベンダーの導入実績はどの企業も必ず確認するポイントでしょう。
しかしここで、紹介されたことや導入実績に対し”疑いの意識”を持たなくてはなりません。
というのも、ERPベンダーを紹介した取引先や導入実績のある企業と、自社の環境はほとんどの場合まったく違うものだからです。だからこそ紹介されたERPベンダーや導入実績に対し、"本当にうちの会社にとっても同様の導入効果があるか?”と考えなくてはなりません。
紹介や導入実績を鵜呑みにしてしまうと、自社本来のニーズを無視した導入をしてしまう可能性があるので、十分に注意が必要です。
選定は一部だけでなく組織全体を巻き込んで
ERPという組織全体をカバーするソリューションにも関わらず、上層部や情報システムのみでERPベンダーを決定してしまうことは少なくありません。確かに少数で選定した方が意見もまとまりやすいですし、一見トントン拍子で事が進んでいるようにも思えます。
しかし実際のところ、そう見えているだけであって、最適なERPベンダー選びができていないのがほとんどです。従って導入検討段階で必ず各部門の責任者を巻き込んでおきましょう。
組織全体をカバーするソリューションだからこそ、一部の人間だけでなく組織全体のニーズを反映させる必要があります。規模が大きいほど難しくなりますが、最適なERPベンダーを選ぶためには欠かせないことと考えてください。
それぞれのニーズを上手く要件定義に落とし込むことができれば、最適なERPベンダーを選ぶための強力な"基準”を作ることができます。
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ERPベンダーは必ず3社以上比較した上で決定する
よくある失敗例が、2社しかERPベンダーを比較せずに選んだことで、最適なERP導入ができなかったというパターンです。国内外を含め皆さんが選択できるERPベンダーというのは20社以上存在します。
当然、より多くのERPベンダーを比較した方が自社にとって最適なERPベンダーを見つけやすいことでしょう。しかしその分、導入が長期化してしまうのは言うまでもありません。
そこでERPベンダーを最低でも3社以上比較し、かつ多過ぎないことを心掛けていただきたいと思います。今ではインターネットだけでそれなりの情報を収集できる時代ですから、まずインターネットの情報から数社ピックアップした上で比較していきます。
5~7社程度ピックアップした上で選ぶのが理想でしょう。もちろん、比較にはRFPを活用してしっかりとした提案を受けていることが前提です。
表面上のコストではなくあくまで費用対効果で選ぶ
ERPベンダーを選ぶにあたってコスト面というのは非常に難しい部分かと思います。本来ならばコストを気にせず選びたいところですが、そもそも高価なソリューションなのでそうもいきません。一組織である以上コストという要素はどうしても絡んでくる要素です。
ただその中でも、"表面上のコスト”に惑わされてしまうことだけはしていただきたくないと思います。ERPの中にも確かに安い製品はありますが"安い=良い”というわけではもちろんありません。
安いからと言って導入しても、それに見合った効果が得られなければそれは導入失敗を意味します。そこで表面上のコストではなく費用対効果(ROI)を中心に据えて考えていきましょう。
例えば100のコストで100の導入効果を得られるERPベンダーと、130のコストで150の導入効果が得られるERPベンダーなら後者の方が費用対効果が高く、トータル的には前者に対して低コスト化になります。
このようにあくまで費用対効果で選ぶことで、最適かつ効果の高いクラウドERPベンダーを選ぶことができるのです。
クラウドERPという選択肢を忘れない
ERP導入はオンプレミス(自社でシステム環境を構築するタイプ)とクラウドERPという2つの選択肢があります。ちなみにクラウドERPとは組織全体をカバーするという特徴をそのままに、各システムをインターネット経由で提供するサービスです。
システム環境を構築する必要がないので初期コストを抑え、運用管理業務を効率化し、ユーザビリティの高いERPを導入出来るというメリットがあります。
特に中小企業では有用な選択肢の一つなので、ERPベンダー選定時はクラウドERPという選択肢を忘れずに検討しましょう。
またクラウドERPと言えども初期コストを抑えることはできますが、全くコストがかからないわけではありませんし、導入するノウハウなども必要です。導入時のサービスがしっかりしているとより安心です。
クラウドERP「NetSuite(ネットスイート)」は、「NetSuiteアドバイザリーサービス」があり、お客様のニーズに合わせた最適な導入方法を支援しますのでおすすめです。
まとめ
いかがでしょうか?やはり、ERPベンダー選定というのは簡単ではありません。入念な調査と慎重な比較があってこそ成り立ちます。しかし最適なERPベンダーを選ぶことができれば、ERPの導入効果を最大化し組織全体の効率性をアップさせつつ、ビジネスを加速させていくことができるでしょう。
今回紹介したポイントを踏まえ、失敗しないERPベンダー選びを実現していただきたいと思います。
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