製造企業が賢くクラウドへ移行する方法について

 2018.09.19 

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製造企業は、新しいテクノロジーの導入に関して消極的です。この傾向は、世界中の製造企業の俊敏性を向上させコスト削減できるクラウドソリューションが登場した現在でもさほど変わっていません。

製造事業者の要でもある工場などの施設でダウンタイムが発生することはリスクであるため、クラウドなどの新しいソリューションの導入に用心深くなる理由もわかります。

しかし、調査レポート「Intelligent Finance: How CFOs Can Lead the Coming Productivity Boom (インテリジェント ファイナンス: CFOが今後の生産性向上をリードする) 」に示されているように、クラウドサービスは、企業、特に製造業で大きく生産性を向上させることも事実です。

マイケル マンデル博士 (ウォートン スクールのマック イノベーション マネジメント インスチチュートのシニア フェロー)が著したこの調査レポートでは、クラウド サービスが今後10年間で米国のGDPを2兆ドル押し上げると予測しています。

クラウドが経済や企業の業績に良い影響を与えるだけでなく、この影響が製造業においても深く浸透することは疑いの余地はありません。

クラウドにより製造業の俊敏性を高める

クラウドの根本的な価値は、クラウドによって企業組織の俊敏性が向上し、変化を続ける市場ニーズに迅速に対応できるようになることです。

クラウドは、「時間の問題」を解決します。新しい機能を始めるのに何ヵ月もかける必要がなくなります。すぐにキャパシティを用意することができ、市場への投入サイクルを劇的に短縮することが可能になっています。そのため、製造業など業界を問わず大きな競争優位性を得ることができます。

さらに、クラウドは、機械学習、3Dプリント、ブロックチェーン、IoTなどの高度な技術をすべて搭載可能なプラットフォームです。これらの技術は今後、製造業を変革させるための初期段階に必要なものなのです。

中堅中小企業向け クラウドERPのROI
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また、クラウドは、最新のダッシュボード、モバイル アクセス、リアルタイム レポートによって、人とデータを深く広く結びつけます。もし、データと接続されていなければ、データを効果的に活用していないということです。クラウド サービスがさまざまなデータをすばやく結びつけ、俊敏性を大きく促進します。

製造業におけるクラウド活用のROIに対する実際の影響

私は、クラウド サービスが、多くの製造事業者に影響を与えていることを確認しています。たとえば、生産量と生産性が減少したある製鉄企業を最近サポートしましたが、その会社の経営幹部は、自社の生産計画が最適ではなく、その大きな原因は、生産スケジュールを改善するために必要なデータが不足していることを認識していました。

そのことから重要なステップアンドサイクル タイム データを自動的に取得し、生産中断の原因を詳細に分析するプロセスを構築しました。このデータによって、生産計画担当者は、生産スケジュールを改善して最適化するためのプロセスの導入が可能となりました。これにより5年間で260万ドルのROIが得られると想定されています。

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製造業におけるクラウド活用の進め方

製造事業社はリスクを取りたがらないというのは事実かもしれません。しかし、そのリスクは賢いクラウド導入の仕方で回避できることをご理解ください。

例えば、クラウド サービスの特定の機能に絞って小さなステップから初めるのが最適なアプローチです。ビジネスの中断を防ぐために、我々が製造事業者によくアドバイスするのは、レポート作成や予算立案などの「周辺」アプリケーションから始め、段階的に中心となるビジネス機能をクラウドに移行していく方法です。

たとえば、ミッションクリティカルでないワークロードをクラウドに移行してクラウドのメリットを示すことができます 。

もしくは、最初にクラウド プラットフォームのIoTプロジェクトをターゲットにして、重要な製造システムに影響を与えずに定量的な成果を得るという方法や、生産ラインや品質に影響を与える可能性のある特定の課題やユースケースに絞って対応するという方法もあります。

このような重点を絞ったリスクの低いプロジェクトによってビジネス上の価値を示せれば、次に対象の範囲を拡大していくことができます。これが、クラウド サービスの導入を進める最適な方法なのです。

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クラウドを活用した賢い製造とは

製造業におけるクラウド変革に対する日立のアプローチは、実際のビジネス上の問題を解決するように設計された、定量化可能なユースケースを開発するところから始まります。次に、Oracle Cloudを活用してSmart Manufacturing for Oracleソリューションを有効化し、IoTや高度な分析機能、機械学習を使用して、生産、保守、品質管理、スケジューリング、物流に関する業務効率の向上を推進します。

私は、クラウド サービスの導入が進むほど、製造業における影響が強くなると考えています。しかし、すべての製造業者が同じスピードでクラウド サービスを導入するわけではありません。このスピードの差によって、業界のリーダーになる企業と遅れをとる企業との間に競争力の差が生まれる、とマンデル博士は自身のレポートの中で説明しています

導入スピードが異なる主な理由は、組織のリーダーの考え方にあります。クラウド サービスで業務を改善するために、より積極的なアプローチを取ろうとする意欲、そして少しのリスクを受けいれる覚悟が、生産性やイノベーションにおいて大きく企業を分けることになります。

あなたの会社はクラウド サービスを活用して競争力を高めようとしていますか?ぜひご意見をお寄せください。

著者:ヴィクトル・サハキアンについて

ヴィクトル・サハキアンは、日立コンサルティング社のOracleテクノロジー プラクティスをリードしています。アプリケーション開発/導入、システム アーキテクチャに関する25年以上におよぶコンサルティング経験を有しています。グローバルでの複数の導入/変革プロジェクトのプロジェクト管理および技術リーダーを担当しています。現在の重点分野は、クラウドベースのSaaS、PaaS、IaaS変革、および、IoTベースのソリューションによって企業のビジネス変革をサポートすることです。

※本ブログはOracle ERP Cloudブログ:Oracleコンサルティング プラクティス、日立担当リーダー、ヴィクトル・サハキアン著「How Manufacturers Are Moving to the Cloud, One Smart Step at a Time」の抄訳です。

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