グリーン調達とは?購買部門が知っておくべき基本を解説

 2020.02.03 

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気候変動、資源の過剰利用、大気や水汚染、野生動物の生息地消失など、我々の地球は深刻な環境問題を抱えています。これらの原因となる環境負荷の発生は、企業の経営活動から生じる部分が多くを占めています。企業はこの事実を真摯に受け止め、経営活動の中で環境配慮を志向していくことが強く求められています。本記事で紹介するのは地球環境に配慮した調達の形、「グリーン調達」です。環境問題への取り組みを推進したいけれど具体的に何をすればよいか分からない、グリーン調達を実践したい、という方は、ぜひ参考にしてください。

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グリーン調達とは?

グリーン調達とは、環境省によって「納入先企業が、サプライヤーから環境負荷の少ない製商品・サービスや環境配慮等に積極的に取り組んでいる企業から優先的に調達するもの」と定義されています。地球環境に配慮した調達活動へ取り組むことで、環境負荷の少ない製品開発を実現し、それが積み重なって環境問題の解決に繋がります。

グリーン調達の必要性

メディアに取り上げられることの多いグリーン調達ですが、企業にとっての必要性とは何でしょうか?以下に、環境省が説明する納入先企業とサプライヤーにとっての必要性を紹介します。

納入先企業にとっての必要性

納入先企業が自らの製品を環境配慮型に転換し、市場において販売を拡大して行くなどの事業機会を獲得するため、又は化学物質などの法規制への厳格な遵守によりリスク回避を達成するための手段として、グリーン調達が必要となります。

サプライヤーにとっての必要性

グリーン調達の実施により、納入先企業の事業戦略を理解し、環境に関する要求等に的確に対応することは、サプライヤーの納入先企業からの信頼を獲得することにつながり、サプライヤーにとっても事業機会の獲得とリスク回避をすることとなります。

以上のことからグリーン調達は、納入先企業にとってもサプライヤーにとっても価値ある取り組みになることは確かです。

5 分でわかる調達部門の強化策

5 分でわかる調達部門の強化策

さまざまな業種において、企業は今の経済状況に対応するため、コスト削減やリスク管理の方法を模索しています。この課題に対し、ITテクノロジーへの適切な投資、特に調達部門における取引業務の自動化を行い、取引先との取引ルールを順守しつつ、調達データを集計できるシステムが導入できれば、会社全体の支払総額を抑えて取引先に関するリスクを予見できるようになります。なぜ調達業務を変えることが企業にとって「必要かつ真っ先に取り組むべきこと」なのかをお伝えします。

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グリーン調達に取り組むメリット

「環境問題に対する企業責任」という理由付けだけでは、多額の投資をしてグリーン調達に取り組む企業は少ないのが現状です。しかし、地球環境は刻一刻と変化し、その要因を作っている企業としての責任を果たさなければいけません。企業責任を果たすだけでなく、グリーン調達にはビジネス上のメリットもあります。

1. 社会からの信頼と競合優位性を獲得する

今や、環境問題は国会中継の中で語られるだけのものではなく、すべての人が身近に感じる問題へと発展しています。特に、昨今の日本では以上気象が目立ち、令和最初の冬となった2020年は記録的暖冬が続いています。また、2019年10月に発生した超大型の台風19号も異常気象が原因だと考えられています。こうした状況の中で、多くの人が環境問題に敏感になっており、積極的に改善活動に取り組む人が増えています。

そこで必然的に注目が集まるのが、企業の環境問題に対する取り組みです。このため、企業がさまざまな取り組みによって地球環境を配慮することは、社会的信頼を獲得するのに大きく寄与します。業界で先進的な環境配慮企業になれば、高い競合優位性を獲得できるでしょう。グリーン調達に取り組むことで、コスト以上のビジネス価値を生み出せる可能性が大いにあるのです。

2. 環境問題に向き合うことでのブランド価値向上

「環境問題に向き合っている」ということが、ブランド価値そのものを向上する効果もあります。海外の大手スーパーマーケットでは、従来は破棄されてきたB級の野菜や果物をジュースとして販売したところ、施策を行う前に比べて来店率が150%上昇したという話があります。食品ロスに関して考える消費者も多いことから、こうした施策が功を奏し、ブランド価値が向上したと考えられます。

グリーン調達に取り組むことでブランド価値が向上すれば、SNSにおいて企業情報や商品情報の拡散なども期待できることから、単に企業責任を果たすだけに留まりません。

3. ISO14001取得による優先的な取引

ISO04001とは、環境マネジメントについて記した標準機悪であり、社会経済的ニーズのバランスを保ちながら、環境を保護し、変化する環境状態に対応するための枠組みを組織に提供するものとして世界中の企業が認証を取得しています。地球環境に配慮したISO14001を取得するメリットは、優先的に取引を獲得できることです。

グリーン調達へ積極的に取り組んでいる大手製造業の中には、ISO14001を取得しているサプライヤーとの優先的な取引を明示している企業が少なくありません。サプライヤーからすれば、ISO14001を取得することでそうした企業との取引獲得が今まで以上にしやすくなることから、売上拡大が実現できます。

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グリーン調達へ取り組むためには?

企業としての社会的責任を果たすために、そして環境問題を配慮した取り組みを推し進めて新しいビジネス価値を創出するために、グリーン調達は具体的にどのように実現すればよいのでしょか?

まず大切なのは、経営者自身が環境問題についての理解を深めることです。よく知られる環境問題が異常気象や地球温暖化ですが、そもそもこれらの問題はどのようにして起こっているのか?企業とどのような結びつきがあるのか?これを理解しないことには、環境問題への取り組みも行えません。また、環境問題には実にさまざまな種類があります。皆さんは、地球環境が以下のような問題を抱えていることをご存じでしょうか?

  • 気候変動
  • 大気汚染
  • 海洋汚染
  • 魚の乱獲
  • 外来種の侵入
  • 森林減少
  • 水不足
  • レアアース・その他資源不足
  • オゾン層破壊
  • 放射性物質の廃棄

これらの環境問題のうち、下線が引いてある問題は企業の経営活動に直接的関係していると考えられる問題です。環境問題は異常気象や地球温暖化だけではありません。実に多様な問題によって、地球環境はさまざまな危機にさらされているのです。

ただし、こうした環境問題のすべてに対応する必要はありません。まず大切なのは、自社の経営活動と環境問題の結びつきを理解して、優先的に取り組むべき環境問題を1つでも決めることです。それに向けて少しずつでも施策を展開していくことで、環境問題への取り組みを世間にアピールできます。

また、グリーン調達に実現に関しては環境問題について十分な知識を得た経営者が、購買責任者と連携しながら新しい調達計画を立てていくことが大切です。すぐにISO14001取得を目指さなくても、グリーン調達は実現できます。

いかがでしょうか?グリーン調達は社会的にも経営的にも意義のある取り組みであり、より多くの企業がグリーン調達を意識するようになることで、環境問題は大きく改善されていきます。この機会に、自社におけるグリーン調達についてぜひご検討ください。

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