財務会計とは? 役割やメリット、管理会計との違いを解説

 2022.05.16 

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利益を追求している企業であれば、必ず必要となるものが「財務会計」です。本記事では、財務会計の内容や目的、従わなければならない原則などに加え、混合されがちな管理会計との違いを説明しています。財務会計を効率的に行うための方法も紹介しているので、参考にしてみてください。

変更提案:財務会計とは? 役割やメリット、管理会計との違いを解説

財務会計とは?

「財務会計」とは、企業の財務情報を外部に公開するための会計です。資産・資金の財務状況や、どれくらいの利益を生み出しているかを表した経営成績などを開示しています。

ここでいう外部とは、株式を保有する投資家や金融機関が主となる債権者、税金を管理する税務署などの利害関係者のことです。従業員も利害関係者といえますが、この場合は社外の関係者であると理解すればわかりやすいでしょう。

利害関係者への財務情報の公開によって、自社への投資を促したり融資を受けられたりなどのメリットがあります。財務会計は、法律で定められた義務なので、すべての企業が実施しなければなりません。

財務会計の主な業務

財務会計の業務は、大きく二つに分けられます。財務諸表を作成する経理系の業務と、資金繰りや予算を管理する財務系の業務です。

「財務諸表」とは、主に貸借対照表や損益計算書、キャッシュフロー計算書を指しています。一般的には「決算報告書」とも呼ばれており、財務会計には欠かせない書類です。企業の経営管理を担う経理では、日々のお金の管理に加え、外部に開示する決算報告書を作成しなければなりません。

一方で財務の役割は、企業の資金繰りのコントロールです。経理がまとめたデータをもとにした、株式発行や銀行融資などの資金調達、余剰資金の運用も業務のひとつです。

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財務会計の役割

財務会計は、単に外部に情報を公開するだけではなく、関係者同士の利害を調整する役割も担っています。

利害関係者への情報提供

前述した通り、企業の外部への財務情報の公開により、投資や融資を受けられるメリットがあります。

投資家の目的は、出資したお金で企業が利益を出し、それを還元してもらうことです。つまり、利益を出せるか否かの判断材料がなければ、投資は受けられません。同じように、銀行から融資を受けるには、返済できる目途を証明する必要があると考えられます。

税務署にとっても、正確な財務状況を把握できなければ、正確な税額の算出が不可能です。きちんと納税されないとなると、企業の信用にも関わってしまうでしょう。

このように企業が運営していく上で、外部との連携は不可欠であるため、企業の財務情報の公開は非常に重要です。

企業外部との利害調整

財務情報の公開そのものにメリットがありますが、情報の公開によって、企業の外部および利害関係者同士の利害を調整できる利点もあるのです。

例えば、企業が得た利益について、経営者と株主の利害が対立した場合、経営者は個人の報酬や過剰な交際費などに費やす恐れも考えられますが、株主はできるだけ還元される方向を望むでしょう。また、融資を行っている銀行の立場から見ると、返済が滞らないように内部留保しておいてほしいと思うかもしれません。

このように、企業内部と外部、それに利害関係者同士でも、利害が対立することがあります。明確な配当計画などの開示により、利害の調整が可能です。

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財務会計は「企業会計」のひとつ

企業で行われる会計手続全般をまとめて「企業会計」といい、財務会計の他には「管理会計」と「税務会計」が存在します。財務会計は主に社外向け、管理会計は社内向け、税務会計はその名の通り、法人税といった税額を算出する会計です。

企業会計は定められたルールのもと、適切な処理とその結果の分析を目的としています。

企業会計原則

外部に向けた資料である財務会計は、「企業会計原則」に則って報告しなければなりません。この会計基準は、1949年に企業会計制度対策調査会が公表したものをもとに、1990年代後半の大改正を経て、7つの原則に分かれています。

<真実性の原則>
財政状況や経営状況について、虚偽の内容ではなく真実の報告をしなければならない

<正規の簿記の原則>
すべての取り引きにおいて、正規の簿記に従った正確な会計帳簿を作成する

<資本利益区別の原則>
増資や自己株式の取得など会社の純資産に関する資本取引と、それ以外の損益取引を混在して、利益操作をしてはならない

<明瞭性>
利害関係者が企業の状況を正確に判断できるよう、財務諸表は必要な会計情報を明瞭に示さなければならない

<継続性の原則>
企業会計の原則や手続きの方法を不必要に変更せず、毎回同じ手法で行うこと

<保守主義の原則>
取引先の倒産など、企業の経営に不利な影響がある場合に備えて、あらかじめ適切な会計処理に取り組むこと

<単一性の原則>
株主総会や租税などの目的によって、異なる形式の財務諸表を作成する場合は、内容が事実と異ならないよう、信頼できる会計記録をもとに作成する

成功への道:財務会計のための優れた実践

数千もの成功事例を持ち、「NetSuite」はすべてのビジネス部門や直面する数多くの財政的困難に関して、深い理解を持っています。変化のペースが加速するにつれて、特に旧式で自社運用型のERPシステムをまだ頼りにしている人にとっては、変化に追いついていくのは難しいものとなっています。

管理会計とは?

企業会計のひとつである管理会計とは、外部向けではなく内部向けの会計管理です。法律上の義務が伴う財務会計とは違い、実施するか否かは企業に委ねられています。

社内の各部門からデータを収集して、経営状況を把握したり、経営判断を下したりするために重要な会計です。健康的な経営に欠かせない会計データなので、企業によって必要な情報は異なります。一般的には、原価や予算の管理、収益性を図る指標などが当てはまります。

<原価管理>
商品を作るコストについて、材料費や人材費、間接費ごとに予算を組み、実際かかった金額と照らし合わせて分析・管理することです。原価の調整をする上で、非常に重要な指標であり、主に製造業を中心に導入されています。

予実管理
営業目標数値(予算)に対する実績を管理することです。立てた目標に対して実績が伴わない場合、何が原因なのか、どうしたら目標を達成できるのかなど、あらゆる問題点を分析します。

損益分岐点分析
損失と利益が交差するポイントを分析することです。損益分岐点がわかれば、損失が多いラインや利益を見込めるラインを見出せます。事業計画を立てる際にも、黒字を目指す目標値の設定は重要です。

その他、部門別会計など、部門ごとの会計処理といったものも、企業の集積性や将来性を分析するために必要でしょう。これら企業の経営に欠かせない会計指標をまとめたものが、管理会計なのです。

財務会計と管理会計の違い

財務会計と管理会計は、ともに企業会計の一つですが、「外部向け」であるか「内部向け」であるか、という点が一番大きな違いです。

また、外部向けの財務会計の場合は、法律上の義務が発生するため、ルールに則って公開する必要があります。一方、管理会計はあくまでも社内のものなので、細かなルールは定めていません。

<財務会計>

  • 社外の利害関係者に財務情報を伝える会計
  • 法律上の義務がある
  • ルールに従って必要な情報を公開しなければならない

<管理会計>

  • 経営者が健康な経営に必要な社内向けの会計
  • 実施するか否かは任意
  • データ収集や分析方法、時期などにルールはない

実際に、管理会計を取り入れていない企業も存在しますが、健康的な経営を考慮するのであれば、必要な会計情報であるといえます。財務会計のみ扱っている場合は、管理会計も検討してみましょう。

財務会計の理論構造

財務会計にルールが必要であることは前述した通りですが、そのルールは企業会計の「理論構造」に基づいて設定されています。

理論構造はピラミッド型で形成されており、一番下の土台となる部分に「会計公準」、中間層に「会計原則(会計基準)」、そして一番上に具体的な会計の処理方法を示す「会計手続」があります。

①会計公準

会計公準は、さまざまな原則のもとになる考え方です。企業会計の前提条件ともいえ、企業は会計公準に基づいて、経営活動を行わなければなりません。会計公準は「構造的公準」と「要請的公準」に分かれます。

<構造的公準>

  • 企業会計に必須な構造的枠組を示すもの
  • 「企業実体の公準」「継続企業の公準」「貨幣的評価の公準」の三つに分かれる

【企業実体の公準】
企業と所有者(経営者や株主)は独立したものであり、互いの財産は別であるという考え方。企業会計の対象は、あくまでも企業の取り引きのみ

【継続企業の公準】
企業は常に継続することを前提としており、倒産や清算などは予定しない考え方

【貨幣的評価の公準】
企業会計の記録や計算を行う場合は、貨幣額を単位とする考え方。企業によって、財務諸表の単位がバラバラになるのを防ぐ

<要請的公準>

  • 企業会計の目標や命題を示すもの
  • 「有用性の公準」と「公正性の公準」の二つに分かれる

【有用性の公準】
提供される会計情報は、関係者にとって有用である考え方

【公正性の公準】
提供される会計情報は、関係者にとって公平かつ役立つものである考え方

②会計原則

会計原則とは会計処理において、すべての企業が守るべきルールのことです。「一般原則」「貸借対照表原則」「損益計算書原則」の3つに分かれています。一般原則とは、前述した「真実性の原則」にある7つの原則を表しています。

<貸借対照表原則>
貸借対照表を作成するときのルールです。企業の財政状況を把握する重要な指標なので、統一したルールをもとに作成されなければ、正しい判断を行えません。例えば、資産と負債は相殺せず、総額で表示する「総額主義の原則」などが定められています。

<損益計算書原則>
経営状況を表す損益計算書にも、同じように基準が定められています。収益や費用を計上するタイミングによって、損益情報が左右されないために必要なルールです。収益や費用が発生した時に計上する「発生主義」や、販売が実現した時に売上高を計上する「実現主義」などがあります。

③会計手続き

会計手続とはその名の通り、会計処理の具体的な手続方法のことです。財務会計の場合、日頃のデータをまとめて、貸借対照表や損益計算書などの財務諸表の作成を指します。

財務会計の効率を高めるには

財務会計は、すべての企業に必要な会計業務ですが、企業の規模が大きくなるに従い、扱うデータが膨大になるので、まとめることが非常に困難です。毎年、決算報告の時期になると、憂うつになる経理担当者も少なくないのではないでしょうか。

なぜなら、財務会計に必要な財務諸表の作成には、各部門からデータを収集し、統一したフォーマットにまとめる作業が欠かせないからです。データを収集するといっても、予定通りに集まらない、集めたデータを成形し直すなど、非効率的な作業も多く発生しがちです。よって、決算時期には経理部門の負担が大幅に増加してしまいます。

この財務会計の問題を解決するためには、まずは財務会計システムを導入する方法が考えられるでしょう。

財務会計システムの導入メリット

財務会計システムを導入すると、伝票の入力や帳簿の作成、決算書の作成など、財務諸表に必要な作業の効率化が可能です。財務会計だけではなく、管理会計にも必要なデータを作成できるシステムも存在します。

負担の大きい仕訳や集計などを自動的に行うことから、作業の効率性が上がるだけではなく、人為的なミスが軽減するメリットがあります。また、電子帳簿保存ができるので、コストの削減にもつながるでしょう。

財務会計システムについて詳しく知りたい場合は、以下の記事も参考にしてみてください。

クラウドERP実践ポータル「財務会計システムの役割とは」

財務会計システムを導入すると、確かに作業の効率性は上がりますが、膨大なデータの収集という問題は残ったままです。各所に分散したデータを集めるためには、ERPを導入することをおすすめします。

財務会計システムの課題を解決するERP

「ERP」とは「Enterprise Resource Planning」を略したもので、日本語で「基幹系情報システム」といいます。企業の持つ「ヒト・モノ・カネ・情報」を一元管理できる基幹システムです。ERPを利用すれば、財務会計管理だけではなく、経費精算、販売、生産、資産、債権・債務、人事などのあらゆる情報をまとめて管理できます。

財務会計システムの導入だけでは、データの収集に問題が発生してしまいます。しかし、ERPなら企業の業務システムを統合するため、データのやり取りがスムーズになったり、データベースを一つにしたりなどの工夫により解決できるでしょう。よって、財務会計の効率性を上げるには、ERPの導入がおすすめです。

財務会計に強いオラクルのクラウドERP

財務会計は、企業にとって必ず対応しなくてはならない業務です。正確性はもちろん、効率性を上げることも課題のひとつです。そのためには、ERPの中でも特に「クラウドERP」をおすすめします。

ERPをクラウドサービスにつなげることで、財務会計に必要なデータを遅延なく集約できます。日本国内のみならず、世界中に拠点があったとしても、迅速にデータを収集して、決算に必要な業務を正確かつ効率よく行えます。

オラクルには、あらゆる業務システムをサポートする「Oracle ERP Cloud」と、グローバル展開に強い「Oracle NetSuite」の2種類のクラウドERPサービスがあり、企業規模や特性に合わせて選べます。財務会計だけではなく、調達管理システム在庫管理システム生産管理システムなどの機能も充実しているため、安心して利用できるでしょう。

従来の半期から四半期での決算が求められている現在では、財務会計の効率化を避けて通れません。クラウドERPを導入して、正確で迅速な会計環境を整えてみてください。

オラクル管理会計・予算管理クラウドサービス

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