新規事業を立ち上げる時は、誰だって心の中に期待と不安が入り混じり、何とか事業を成功させたいと思うのは誰でも一緒です。どちらかというと、不安よりも期待の方が大きい、という方が多いかもしれませんね。しかし、そうして新規事業の立ち上げを進めていくと、どこかのタイミングで「あれ?この事業失敗かも…」と感じてしまう時があります。そうなると坂を転げ落ちるかのように、新規事業の勢いは一気に失速し、資金が枯渇して、敢え無くクローズというパターンは決して少なくありません。
なぜ、新規事業は失敗してしまうのか?本稿ではその理由をご紹介します。
新規事業の立ち上げで失敗する7つの理由
それではさっそく、新規事業の立ち上げで失敗する理由について紹介します。「失敗する兆候」とも取れるので、現在進行している新規事業立ち上げに当てはまるようなポイントがあったら要注意です。
1.「自分ならできる」と錯覚してしまう
新規事業を立ち上げようと行動する人、あるは会社から新規事業担当者として任命された人は、大方何らかのキャリアを持っています。もちろんそれ自体は良いことなのですが、そこから来る自信が新規事業を盲進させてしまう原因になります。
たとえば実行フェーズを得意としている人は、他の新規事業を見て「自分ならもっとできる」と思い、いざその時が来ると実行フェーズばかりに気を取られて、肝心のビジネスモデルが確立できていなかったり、「本当に本人が作成したのか?」と思いたくなるほど稚拙な事業計画を作成したりすることがあります。
確かに、新規事業立ち上げに対して「自分ならできる」と自信を持つことはとても大切です。しかしながら、それよりも「自分には何ができて、何ができないのか?」「だから、誰の助けが必要なのか?」をしっかりと理解していることが大切です。
2.顧客や市場ではなくプロダクトにフォーカスしている
新規事業立ち上げにおいて「これは画期的なプロダクトだ!きっと業界初だぞ!」と期待に胸が膨らみ、積極的にプロジェクトを推進することはとても良いことなのですが、顧客や市場が見えていないことが珍しくありません。
どんなに素晴らしいプロダクトを生み出しても、肝心なことは「それが顧客ニーズに合致するか?」「市場に受け入れられるものなのか?」を十分に検討して、顧客や市場を見据えたプロダクトを生み出すことです。
新規事業を立ち上げている最中は、「こんな機能があったら良いのではないか?」「こんなデザインは画期的ではないか?」といったように、アイディアが湯水のように溢れてきます。しかしそうして作り上げたプロダクトも、顧客や市場にフォーカスしていなければ、結局競合他社が出している他のプロダクトと、社会に提供できる価値は何ら変わらなかったというケースが非常に多いのです。
3.他社にアイディアを取られまいと見切り発車する
「自分が考えられることの大半は、すでに世の中の誰かが考えている」これは悲観的な考え方ではなく、事実です。現代社会においてほとんどのビジネスアイディアは出尽くしていると考えたほうがよく、その中で如何に新しい価値を提供できるかが新規事業成功のカギを握ります。
しかし、新規事業の立ち上げに失敗する多くの人や企業は、「きっと世界に1つだけのアイディアだ!」と熱狂し、よく調査もしないまま見切り発車的に新規事業をスタートさせてしまいます。
そして、失敗して冷静になると気づくのです。「なんだ、全然真新しいプロダクトじゃなかった…」と。画期的なアイディアだと思ったプロダクトも、世の中に類似したものが無いということは、そのプロダクトの市場性が低いか、あるいは既に失敗した人や企業が存在すると考えた方がよいでしょう。
4.新規事業に愛着が湧き引き返せない
自分が立ち上げた新規事業に愛着が湧かない人などいません。だからこそ、新規事業が失敗するボーダーラインのギリギリに立たされていても、潔く引き返せる人は少ないのです。そこまで投じた資金もありますし、「何としても成功せねば」と使命感にかられて周囲がまったく見えなくなる人もいます。
新規事業を立ち上げる理由は新しい収益事業を作るためであり、アイディアに固執して無理矢理に事業を進めることではありません。
5.新規事業立ち上げに絡む政治が多い
時に、新規事業の立ち上げには社内の管理職同士、あるいはパートナー企業同士で主権の握り合いなどが繰り広げられます。また、既存のビジネスモデルともコンペすることもあるかもしれません。もちろん、こうした政治は新規事業にはまったく不要なものです。新規事業の立ち上げに絡む政治が多いせいで、周囲が混乱したり、指揮系統が乱れたりして、まともなプロジェクトには成り得ません。
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6.スキル不足
新規事業の立ち上げには様々なスキルが必要です。ITソリューションを開発するようなプロジェクトならばIT業界知識に加えて、プログラミングスキルやシステムエンジニアの存在は欠かせませんし、それだけではなくプロダクトを広めるためのマーケティング活動なども必要になります。
しかし、リソースが限られている関係でマーケティング活動をシステムエンジニアが考えたり、他のスペシャリストが他の業務を担当したり、確実なスキル不足によって新規事業が失敗するケースは多いのです。
十分なスキルが無ければ新規事業立ち上げは難しいため、必要なリソースの把握と準備を徹底することが大切です。
7.上層部からの圧力がすごい
この理由にも組織内の政治が絡んでいるケースが多いのですが、上層部からの圧力が必要以上にかかっている新規事業は、決定的に失敗するか、中途半端な形で進行していずれかのタイミングで頓挫するという結果が大半です。新規事業立ち上げを実際に行っている人からすれば、なぜそこまで圧力がかかっているかは分かりませんが、必要以上の圧力によって新規事業のQ・C・D(品質・コスト・納期)は保てなくなり、最終的に失敗します。
いかがでしょうか?新規事業の立ち上げが失敗する理由はこんなにあります。もしも現在、新規事業立ち上げの中でこうした兆候が見られるのならば、そのプロジェクトは失敗する可能性が大いにあります。ただし、現時点からでも修正できるプロジェクトは多いので、悲観的にならず現状を見つめ直し、どんな問題があるのか、何が原因なのか、どうやったら改善できるのかという3つのアクションを確実に実行することで、新規事業立ち上げを成功へと導くこともできます。
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新規事業の立ち上げに欠かせないERPとは?
ERP(Enterprise Resource Planning)は統合型基幹システムといって、部署ごとに分断している業務アプリケーションを1つに統合したIT製品です。なぜERPが新規事業立ち上げに必要かというと、ERPの中にはプロジェクト単位で細かい管理ができる機能が備わっており、それによってプロジェクトの失敗要因をいち早く察知したり、プロジェクト原価計算やプロジェクト収支を管理することで新規事業立ち上げにかかるコストを抑制したり管理することが可能になります。つまり新規事業の状態を見える化することが可能になるのです。これからスタートアップ企業のように新規事業を立ち上げたいと考えているのならば、ERPによるプロジェクトごとの細やかな管理を体感してください。
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