Dynamics 365 Financeの機能とERPとしての特徴を解説

 2023.11.30 

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Dynamics 365 Financeの機能とERPとしての特徴を解説

Dynamics 365 Financeは、中~大規模企業向けのERPである「Dynamics for Finance & Operations(FO)」から分化したアプリケーションのひとつです。業務領域ごとに独立したアプリケーションとなったことで、部分的な導入や短期導入が可能になっています。ここでは財務関連機能を提供するDynamics 365 Financeの機能や、ERPとして活用する場合の特徴などについて解説します。

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1.Dynamics 365 Financeとは

まず、Dynamics 365 Financeの概要や、その位置づけについて解説します。

Dynamics Financeの概要

Dynamics Financeは、Microsoft社が提供している財務分野に特化したアプリケーションです。SaaS型アプリケーションとして提供されており、一般会計機能や原価会計機能などを備えています。

主な機能

  • 一般会計
    一般会計機能では、財務諸表を作成するための業務をサポートする機能が搭載されています。貸方・借方への仕分け入力や決算書作成機能、会計年度の開け閉め。各種レポート機能など、一般的な企業で必要とされる財務会計機能が主軸です。
  • 現金及び銀行管理
    法人の銀行口座と、その銀行口座に関連付けられている財務証書を管理する機能です。 財務証書には、預金伝票や小切手、受取手形、支払手形が含まれます。 また、口座取引明細書の調整や、銀行取引データを標準レポートに印刷する機能もあります。
  • 買掛金/売掛金勘定
    仕入先請求書の記録、仕入先支払の生成と転記、決済の実行を行うために買掛金勘定の設定が可能です。また、顧客請求書および入金される支払を追跡するために売掛金勘定を設定することもできます。
  • 与信と回収
    与信と回収機能では、売掛金の回収に必要な回収基準の定義や顧客リストの管理が可能です。
  • 予算作成
    財務情報に応じた予算作成と計画、登録、割り当て、予実管理などの機能が提供されます。
  • 固定資産
    固定資産の取得に関する設定、資本化や減価償却に関するしきい値の設定、減価償却の決定などが可能です。一般会計機能と併せて使用することで、全ての固定資産の現在価値を表示できます。
  • 原価会計
    一般会計、補助元帳、予算、統計情報などから情報を取得し、原価データの分析・集計・評価などを実行できます。
  • 電子請求
    電子請求書のカスタマイズおよび発行、処理を担う機能です。企業間の電子請求処理を目的とした機能ですが、カスタマイズ次第でほかの用途への転用も可能です。
  • Finance Insights
    財務関連タスクをAIや自動化によって効率化する機能です。顧客の支払い予測やキャッシュフロー予測、予算提案などが提供されます。

Dynamics 365 Finance の位置づけとは

このようにDynamics 365 Financeは、単体で見れば財務分野に特化したアプリケーションです。しかし、財務会計機能は一般的にERPパッケージの一機能として提供されます。また、Dynamics 365=ERPというイメージを持つ方も少なくないことから、Dynamics 365 Financeの位置づけを明らかにしておきます。

Microsoft社では、中~大規模向けERPとして「Dynamics AX(以下AX)」を提供していました。そのAXの後継として「Dynamics 365 Finance and Operations」が提供されました。

さらに2020年以降、Dynamics製品群の再編があり、Dynamics 365 Finance and Operationsの各モジュールは業務分野ごとに分割され、それぞれが独立したアプリケーションになっています。

Dynamics 365 Financeは中~大規模向けERP「Dynamics 365 Finance and Operations」から財務関連機能だけを独立させたアプリケーションであり、ERPの一部であるとも言えるでしょう。

2.Dynamics 365 FinanceをERPとして活用する

Dynamics 365 FinanceをERPとして活用するためには、他のアプリケーションとの併用がおすすめです。そこで、ERPとして活用する場合の組み合わせや、ERPとしての特徴についても把握しておきましょう。

ERPとして活用する場合の組み合わせは?

ERPとして活用する場合は、Dynamics 365 Supply Chain Management(以下SCM)との組み合わせが第一候補になりそうです。Dynamics 365 SCMには、一般的なERPにおける販売管理・在庫購買管理などが含まれており、これにFinanceの財務会計機能を加えることで、受注・調達・出荷・販売といった企業活動を会計情報として管理することができます。

ちなみに、この組み合わせは2020年間で提供されていた「Dynamics 365 Finance and Operations(FO)」とほぼ同等の機能を持ちます。

ERPとしての特徴

ERPとしては、「部分導入、ビックバン導入のどちらにも柔軟に対応できる」という特徴があります。特に、部分的な導入を無駄なく行える点は一般的なERPにはない強みです。ERPは基幹業務すべてを内包する一方で、自社に必要ではない機能もパッケージされていることから、部分的な導入であっても多額の予算が必要になるというデメリットがありました。しかし、Dynamics 365は業務分野ごとにアプリケーションが分かれているため、部分的な導入を無駄なく実行できます。また、SCMやHRと同時に導入することで部門横断型のビックバン導入にも対応可能です。

また、Power Platformの組み合わせによって以下のように各種機能の強化が可能な点も魅力です。

  • Power BIによる分析強化
  • Pwer Appsによるビジネスアプリ作成
  • Power Automateによる外部データ連携の自動化

分析、アプリ作成、自動化は今後のエンタープライズITに無くてはならない要素です。これらをERPと同時に利用できるのことは大きな強みになるでしょう。

3.Dynamics 365 Business Centralとの違い

Microsoft社では、Financeの他にも「Dynamics 365 Business Central(以下BC)」というERPを提供しています。ただし、BCは小規模向けのERP、Financeや他のアプリケーションは中~大規模向けERPとして位置づけられています。また、BCはオールインワン、FinanceやSCMは業務領域ごとに特化したアプリケーションという違いがある点も覚えておきましょう。

4.まとめ

ここでは、Dynamics 365 Financeの概要や成り立ち、特徴などを解説してきました。Dynamics 365 Financeは大規模向けERPであったAXやFOから独立したアプリケーションです。他のアプリケーションと併用しながら、予算や業務の状況に応じた柔軟な導入が進められます。現在、ERP業界は可能な限り標準機能を活かし、追加開発を最小化する導入がトレンドです。製品とのミスマッチや無駄な追加開発を回避するためにも、自社の業務要件や将来的な目的を意識した比較検討をおすすめします。
こちらの資料もぜひ参考にして下さい。

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