税務と会計の違いとは?
グローバル対応な税務に対応した会計システム

 2022.02.18 

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企業には事業活動による収益と費用をまとめて利益を計算し、利益にかかる税金を納付する義務があります。この企業が必要とする処理を行うには、税務会計を行わなければなりません。この記事では、企業が必要とする税務会計について解説していきます。

税務会計の概要

税務会計とは、企業が営業活動で得た利益にかかる税金額の算出を目的とする会計です。税務と会計とでは、それぞれ意味が異なります。
会計は「企業の年度内収益と費用を計算して会計書類を作成する業務」です。一方税務は「企業が納める税金を計算して納税関係の書類を作成する業務」を指します。

税務会計とは

税務会計とは、収益・費用などから納付すべき税金額を企業が計算、申告することを目的とした会計です。税務会計により、収益額や費用から税法に則って支払うべき法人税額を算出して申告書類を作成します。

納税額の算出方法としては、「会計処理として収益・費用の計算を終えたのちに、税額計算などの調整を行い、法人税の課税所得額を算出する」という流れが一般的です。また、税金額の算出を目的に専用の帳簿を作成する方法もあります。
収益・費用の算出方法には、管理会計・財務会計などもありますが、目的によりそれぞれ必要とする記載内容などの規定は異なります。例えば、税務会計における算出結果や記載事項が、ほかの会計とは異なる場合もあります。

グローバル企業での税務会計対応は複雑で、各支店、営業所は、位置する国の通貨、税制に則した税務会計を導入し会計処理をしなければなりません。
なお、税務会計は主に中小企業に適用される会計手法で、上場企業などの大企業では、税務会計ではなく税効果会計が適用されます。

税務と会計の違い

会計とは、企業の事業年度内の経営状況をまとめた「決算書」と「財務諸表」を作成するために行う処理のことです。営業取引や経営管理などで発生した金銭の動きを記録して、企業の利益や資産を明確にします。会計上では、収益と費用の差額が利益になります。

対して税務とは、「事業年度ごとに企業が納めなければならない税金額を計算し、申告書の作成を目的とする処理のこと」です。税務では「税法」に基づいて課税対象となる益金および損金をそれぞれ計算し、益金から損金を差し引いた利益分の「課税所得額」を算出します。税務は会計と異なり、「決算書」ではなく「法人税の申告書」を作成するための処理です。

税務会計と財務会計・管理会計の違い

企業会計には、税務会計、財務会計、管理会計の3つがあります。「法人税の申告書」を作成するのが税務会計ですが、財務会計は「財務諸表」などの書類を作成、管理会計は経営管理に使用する「経営分析」などの書類を作成するといった違いがあります。

税務会計と管理会計の違い

管理会計は企業が内部的に自社の経営状況を把握する目的で行う会計です。管理会計の実施は規定上必須ではないため、自社の形態・規模によっては、取り入れていない企業もあります。

管理会計で作成する書類は定められておらず、企業ごとの目的に応じて必要とする書類は異なります。主に事業計画書・経営分析・キャッシュフロー分析・予算管理などの書類を作成し、経営者や管理者が内容を確認して現状を把握することで、今後の経営判断へ活かす材料とするため社内で利用されます。つまり管理会計は、社外への公表や申告を目的として会計するわけではありません。例えば作成された書類を税務署などに提出する必要も、ありません。
一方、税務会計で作成する「法人税の申告書」は、税務署に提出するよう法人税法で定められているため、事業年度毎に必ず行わなければなりません。

税務会計と財務会計の違い

財務会計とは、事業年度の企業の経営状況を株主や金融機関など、社外における利害関係者へ公表する目的で書類を作成する会計です。法人は一般的に、決算書類を公表する義務があります。企業の持つ資産や創出した利益の額を正しく計算し、作成した財務諸表を事業年度ごとに外部へ開示しなければなりません。

開示に向けて、会計基準を遵守して、企業の金銭に関連する取引状況をまとめ、貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書などの定められた財務諸表を作成します。
税務会計の目的は税務署に提出する申告書を作成することなので、企業の利益ではなく課税所得を計算しなければなりません。財務会計と税務会計の数値は計算方法から異なり不一致となります。多くの企業が、財務会計を行ってから財務会計のデータを活用して課税所得額を計算、税務会計を行っています。

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業務形態と税務会計の関係

個人事業主や法人など、業務形態が違えば、税務会計の方法も異なってきます。
個人事業主の場合は、税務会計のみを取り入れているところがほとんどです。法人は基本的に決済の開示義務があるため、財務会計と税務会計の両方を行う必要があります。

個人事業主と税務会計

個人事業主は、事業所得などの所得に対して税が課せられます。売上や経費などの収支を帳簿づけしなければなりませんが、財務諸表を作成して公表する義務はありません。
財務諸表の作成が必要ないため、個人事業主は財務会計を行わないのが一般的です。ただし、所得税を計算して納付する義務はあるので、会計処理には税務会計を取り入れます。このように、個人事業主の場合は税務会計だけを行って、比較的簡単に計算できる確定申告で納税額を申告します。

法人と税務会計

法人は、個人事業主の所得税の代わりに事業年度の利益に対して法人税を納税する必要があることに加え、さらに財務諸表の公開が義務付けられます。
利害関係者に公開する財務諸表を作成するため財務会計を実施する必要があります。ただし、財務会計の計算に用いる利益と、法人税計算に必要な課税所得額は元となるデータや算出方法は異なります。そのため財務会計で一括せず、法人税を計算する税務会計も別途で行わなければなりません。

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税務会計における注意点

税務会計を行う際には、注意しなければならない点もあります。税務会計は納税額を計算するための会計なので、税務会計で経営判断を行うのは危険です。

また、「税制改正に注意して計算を行う必要があること」や「財務会計とは数値の異なるケースがあること」などに注意して会計処理を進めていかなければなりません。

税務会計で経営判断を行うのは危険

税務会計は税務署に納付する税金額を計算する目的で行う会計であり、税務会計の結果だけで経営状況を判断すると、見誤る危険があります。

経営状況の確認には管理会計が適しています。税務会計は税法を基準として計算するため、ほかの会計とは収益(益金)や費用(損金)に計上する範囲が異なります。
管理会計を利用すると、企業の財産・利益を詳細に計算する財務会計と同じ計算結果を元に、分析に適した正確な数値を把握することが可能です。管理会計で作成する資料には経営分析、キャッシュフロー分析、予算管理などがあり、これらの資料は目的に応じて経営状況をさまざまに分析するので、経営判断を行う際に役立ちます。財務諸表が完成したあとには、データベース上の必要なデータを利用して管理会計書類を自動作成できるシステムもあります。

更新頻度が高い税制改正は要確認

税務会計では、税制改正にも注意しなければなりません。数値算出は最新の税法・税制に則って処理する必要があるため、税制改正が起きるたびにその変化に気をつけて会計処理を行います。
税制改正は毎年実施され、その都度、所得税や法人税、各種租税の特別措置などが追加されたり削減されたりといった変化が起きます。したがって、毎年例年通りの方法で計算するといったことはできません。

こうした税制改正による変化に対応するには、その情報を確実に取り入れて変更を適用させる必要があります。新しく生じた変化を見逃さず適切に税額を計算するには、税制改正に対応できる使いやすいシステムの活用がおすすめです。例えばグローバルERPを導入すれば、諸外国にまたがり支店を展開している企業も、各国の税制改正の時期や内容に効率的に対応していけます。

税務会計と財務会計では金額が異なる場合がある

税務会計と財務会計では、それぞれ計算する目的が異なるため、収益・費用・利益の金額が一致しません。「財務会計上は費用に計上できる支出があっても、その支出が税務上の損金に計上できるとは限らないから」です。例えば役員報酬は、財務会計で費用に計上できても税務会計では損金に算入できません。
ほかにも減価償却処理は、財務会計では減価償却年数を企業が自由に決定して計算でき、税務会計では法定耐用年数を使用して計算する必要があります。また引当金計上処理は、「財務会計では将来の費用を見越して計上する必要がある一方、税務会計では基本的に計上できない」などの違いもあります。
このように、会計によって計上可能な範囲が異なるなど、処理方法は大きく異なります。基本的に「金額に違いが出る」という点を認識しつつ、両方の計算方法や目的を正しく把握して算出しましょう。

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まとめ

税務会計とは、事業の収益・費用などから申告に必要な税金額を計算するための会計です。財務会計は会計基準に基づいて企業の正しい財産や利益を公表するためにまとめる処理であり、税務とは計算に適用できる範囲に違いがあります。また、財務会計と同じデータを用いて経営状況を分析する管理会計など、会計にはそれぞれ種類があります。

税務会計の結果だけで経営判断を行うことは難しく、また最新の税制改正への対応など注意が必要です。
さまざまなニーズに合わせて調節できる税務処理が特徴の「NetSuite」の利用もおすすめです。子会社単体でも、グループ全体でも簡単に事業を統合できるグローバル会計の活用により、さまざまな業種の企業で、会計処理を効率化します。

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