購買コストの削減と購買業務効率化を目指す上で欠かせないのが「副資材購買の効率化」です。副資材と製造に直接的なかかわりは無いものの、副資材が無ければ製造をスムーズに進めることができませんし、副資材は発注点数が多いため手間取るケースが少なくありません。本記事で紹介するのは、副資材の「カタログ購買」によるメリットです。最近ではカタログ購買を副資材に取り入れる企業が増え、購買コストの削減と購買業務効率化を達成した事例が多くなっています。購買課題の解決が当面の課題だと感じている方は、ぜひカタログ購買にご注目ください。
カタログ購買とは?
カタログ購買とは、購買したい製品の情報が電子カタログとしてまとめらえており、それを基に必要な製品と点数を発注できるようシステム化されたサービスのことを指します。当方と仕入先との間で、購買する製品や価格を事前に決めておくことで副資材を中心とした製品の購買業務をスムーズに行えます。
カタログ購買を使った幅広いサービスを展開している企業と言えば、「モノタロウ」です。製造や建設に関する主資材から副資材まで、合計1,800万点以上の製品を取り扱っており、ユーザーは専用サイトや購買システムを通じて必要な資材を購買できます。
モノタロウのようなサービス展開をしていなくても、カタログ購買に対応している資材業者はたくさん存在しています。副資材の購買業務を整理するのにあたり、そうした仕入先を選定して協議することで、副資材の購買業務効率化やコスト削減の効果が期待できます。
カタログ購買のメリット
1. 副資材購買のコスト削減
カタログ購買は同じ仕入先と長期的に取引を行うことが前提になるので、通常の仕入れよりも低コストで副資材を購買できる可能性が高くなります。さらに、当方の購買データはカタログ購買に蓄積されていき、類似製品の確認や購入頻度の製品、複数企業での相場価格などが把握しやすくなり、比較検討時の参考にもなりやすいです。より正確な購買計画を立てるためにも役立ちます。
2. 購買業務の効率化
これまでFAX、メールなどによる社内での購買依頼をシステムに統一できることから、購買部門の負担が軽減になり、業務効率がアップします。発注はシステムに反映されている情報をそのまま使えるため、仕入先への発注も迅速になるでしょう。さらに、依頼・発注・納品の進捗確認をリアルタイムに行えます。製造部門や営業部門が個人的に副資材を発注するのを防ぐことも可能なので、品質やコストのバラつきも抑えられます。
3. サプライチェーン最適化
製造業ではサプライチェーン(供給の連鎖)を意識しながら、各プロセスの最適化を図って生産全体の効率化や価値向上を目指す必要があります。購買部門はその中で重要な役割を担っていますし、副資材の購買もサプライチェーンに欠かせない要素です。カタログ購買では副資材購買効率化の観点からサプライチェーン最適化に繋がり、生産全体に良い影響を与えることもできます。
以上のように、カタログ購買のメリットは多岐に渡り、購買業務効率化に加えて購買コスト削減など嬉しい効果があります。カタログ購買の特性を理解して、最大限活用することで大幅な効果も狙えるでしょう。
カタログ購買のデメリット
カタログ購買にはさまざまなメリットがある反面、デメリットもあります。企業はそのデメリットも十分に理解した上で、カタログ購買による購買に取り組むことが肝要です。
1. 維持・管理コストがかかる
カタログ購買を維持・管理するには当然コストがかかることから、仕入先によってはカタログ購買の利用料金が発生する可能性があります。もっとも、多額の利用料金を取られることはありませんが、企業によっては利用料金を取られるくらいなら従来通り発注したいと考えることもあるでしょう。
2. システムダウンの可能性がある
仕入先が運営するカタログ購買がシステムダウンしてしまうと、発注業務が滞る可能性があります。そのため、カタログ購買を利用する前にシステムダウンが発生した場合の対応について確認を取ったり、緊急時の仕入パイプを持っておいたりすることで対策を取る必要があります。
3. 仕入先開拓の意識が低下する
購買部門に使命は「必要なモノを必要な時に、適切な量と価格で仕入れる」ことなので、継続的な仕入先開拓によって高品質なモノをより安く仕入れるための活動が欠かせません。しかし、カタログ購買を利用している企業の多くが、仕入先が長期的に固定化することから、仕入先開拓への意識が低下します。
これらのデメリットを無視したままカタログ購買を利用すると、思わぬところでトラブルに発展し、生産コストを上げてしまう原因になります。従って1つ1つを解決すべき課題を捉えながら、カタログ購買の利用について検討することが大切です。
[SMART_CONTENT]カタログ購買を利用する際の心得
副資材の購買コスト削減や業務効率化などメリットの多いカタログ購買ですが、いくつかのポイントに注意しなければ効果を最大限に引き出すことができません。まず念頭に置いておくべきポイントは、「仕入れ先がカタログ購買の運用に積極的かどうか」を確認することです。
カタログ購買を運用している仕入先は多いですが、力の入れ方は企業ごとに違います。カタログ購買をフル活用した購買プロセスを構築しているような仕入先ならば、最新情報をリアルタイムに近い状態で反映させています。一方、カタログ購買運用にあまり力を入れていない仕入先では情報更新が遅れ、ページごとに表記が異なるなどの問題が目立ちます。後者のカタログ購買を利用すると当方の購買プロセスにも影響が及ぶため、利用するカタログ購買は慎重に選ばなくてはいけません。
仕入先にシステムの可用性について確認することも大切です。万一、カタログ購買システムがダウンしてしまうと当方の購買プロセスが滞りますし、場合によってはシステムに蓄積された購買データが消失してしまう可能性もあります。なので、カタログ購買を利用する前に仕入先にシステムの可用性や、システム構成について確認を取りましょう。
そしてもう1つ重要なポイントが、セキュリティ体制の確認です。最近ではサイバー攻撃や内部要因による情報漏えい事件が多発しており、セキュリティ体制の重要性が日に日に増しています。当方がいくら堅固なセキュリティ体制を構築していても、カタログ購買を運用する仕入先のセキュリティ体制がずさんなら、そこから情報漏えいが発生する可能性、最悪の場合は当方社内ネットワークに不正侵入される可能性もあります。
こうしたリスクを懸念して、カタログ購買を利用する際は仕入先のセキュリティ体制を十分に確認することが肝要です。
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カタログ購買の利用は計画的に
カタログ購買にはメリットが多い反面デメリットもありますので、利用の際はメリットばかりにとらわれるのではなく、デメリットも踏まえて計画的な利用を目指しましょう。上手に利用すれば購買コスト削減や購買業務効率化が達成されることは確かなので、ぜひカタログ購買の利用を検討してみてください。
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