コンプライアンス違反事例から探る正しい企業運営とは

 2019.02.18 

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コンプライアンス(Compliance)という言葉に敏感になっている企業が増えています。毎年、大企業をはじめたくさんのコンプライアンス違反を目の当たりにすると、経営者は組織の在り方というものについて深く考え込んでいるのではないでしょうか?

今回はコンプライアンスに関する基礎知識と共に、コンプラインス違反事例をご紹介し、正しい企業経営についてお話します。

コンプライアンスとは?

日本語では「法令遵守(ほうれじゅんしゅ)」と訳されます。国によって定められた法律を理解し、守り、企業として健全な経営を目指し、ビジネスパーソンとして適切な行動を取ることと言い換えられます。これを「社会規範(しゃかいきはん)」と呼び、この他コンプライアンスには「会社規範(かいしゃきはん)」と「倫理規範(りんりきはん)」という考え方があります。

法規範

行政によって定められて法律や条例、法的な拘束力を持つ規則

社会規範

企業によって定められた業務マニュアルや業務規則など

倫理規範

職務上、遵守しなければいけない企業倫理や人として持つべき社会的倫理

 

コンプライアンスは行政によって定められた法律や条例を守ることはもちろん、企業が定めたルールや規則、人として当たり前に持つべき常識や価値観を守りましょう、ということになります。

コンプライアンスが重視されている背景には、多発している企業不祥事が関係しています。米エンロン事件に代表されるように、世界で企業不祥事が相次ぎ世界経済に多大な影響を与えました。これに対処し再発を防止するための対策としてコーポレートガバナンス(Corporate Governance)の概念が提唱されるようになり、米国だけでなく日本の法令にもその考えが取り入れられています。

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数々のコンプライアンス違反が度々起きていることから、多くの企業がコンプライアンスに敏感になり、不正が起きないよう対策と取っています。

コンプライアンスとは」について調べてみよう!

コンプライアンス違反事例

コンプライアンス違反にはどんなものがあるのか?ここでは実際の違反事例をご紹介します。

1.粉飾決算

藤崎金属株式会社

自働車産業向けの製品を主力として、ピーク時には売上高50億円をほこっていた同社、リーマンショック後の経済環境の変化に対応できず、業績が低迷しかろうじて黒字を維持していました。しかしながら、2015年に2代目社長が急死したことで3代目社長が就任し、それまで不正会計が行われていたことが発覚しています。

株式会社てるみくらぶ

格安ツアーを販売する旅行会社である同社は、2016年9月時点で75億円もの債務超過に陥っていたにもかからわらず、これを隠蔽し破産申し立て直前まで営業を続けていました。その結果、同社を通じて宿泊代金などの旅行費用を支払い済みだったにもかかわらず、渡航先の海外ホテルで代金を請求されるなど数万人もの旅行者に被害が生じています。

2.不正受給

株式会社ルキオ

事業用大型プリンターの製造/販売を主力とする同社は、福島県南相馬市に工場を新設するにあたり、経営者自ら納入業者に虚偽の書類作成を指示して機械代金の購入費用を水増請求させ、「ふくしま産業復興企業立地補助金」を不正に受け取っていました。福島県と南相馬市は同社に補助金計6億2,700万円の返還尾を命令するとともに、詐欺などの容疑で福島県警に告訴、告発する方針を示しています。同社は信用悪化により資金繰りに窮し、20億円の負債をかかえて事業停止に陥っています。

株式会社エヌ・ビー・ラボ

サービス付き高齢者向け住宅を主力としていた同社は、埼玉県で経営していた訪問介護事業所において会議報酬を水増請求したいたことが発覚し、700万円を不正受給したとして介護保険施設の指定を取り消されています。これによって信用が悪化し、同社は施設をすべて他社に引継ぎ、負債約14億円を残して破産申し立てを行っています。

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3.食品衛生管理問題

株式会社フーズ・フォーラス

富山県を中心に焼き肉チェーンレストラン等を20店舗展開していた同社では、ユッケなどの生肉を食べた100人以上の客が食中毒になり、そのうち5人が死亡しています。このニュースはまだ記憶に新しいところで、これを機に牛と豚のレバーなどの生食用の提供は販売が禁止されるようになりました。同社は富山県内の2店舗に対し、無期限の営業禁止処分をくだされ、これを受けて同社は全店舗の営業を停止し、その後の営業を再開することなく廃業しています。

4.個人情報漏えい

日本年金機構

日本年金機構は政府から委任/委託を受け、公的年金に係る一連の運営業務を担う非公務員型の特殊法人です。同機構では2015年に125万人分の個人情報が漏えいしています。原因は「標的型攻撃(ひょうてきがたこうげき)」だとされており、従業員が業務には無関係のメールを開封したことをきっかけに、社内ネットワークに侵入され大規模な情報漏えいにいたっています。近年はこうした情報漏えい事件が多発しており、コンプライアンスの強化がより一層求められています。

以上のように、事例内容と原因は様々であれ多数のコンプライアンス違反が年々発生しています。もちろんコンプライアンス違反は対岸の火事ではありません。如何なる企業にも違反発生のリスクはありますし、経営トップが強い意思表明をした上でコーポレートガバナンスに取り組まなければ、コンプライアンス違反は簡単に起きてしまいます。

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コンプライアンス維持に向けた取り組み

では、コンプライアンス違反を起こさない企業体質を作るためには、どういった取り組みが必要なのでしょうか?

経営トップの強い意志表明

コンプライアンス維持に向けた取り組みとして一番大切なことは「コンプライアンス違反を絶対に許さない!」という意思表明を経営トップが行い、組織全体にメッセージを発信することです。コンプライアンス維持は従業員の生活を守り、株主を守り、企業そのものを守って利益追求と共に経営活動に欠かせない要素であると、経営トップが強く宣言して従業員の意識改革を進めます。

コンプライアンス専門部署(チーム)の設置

従業員にコンプライアンス維持を呼びかけるだけでは、個々の判断にゆだねていることになり、精神論の域を超えず効果は得られません。そのためコンプライアンス専門部署/専門チームを設置し、コンプライアンス違反が起きないために告発環境を整えたりする必要があります。

社内ルール策定と定期的な見直し

社内ルールがあっても従業員がそれを理解していなかったり、徹底して実施されていないケースは多々あります。従って社内ルールの策定を改めて行い、さらに定期的な見直しを実施することでより適切な社内ルールを作っていきます。

システム面でのセキュリティ強化

企業が利用しているITシステムの多くに機密情報が眠っています。そうした情報に対し、誰もが簡単にアクセスできる状況ではセキュリティが弱く、情報漏えい等の事件に繋がる可能性が高いでしょう。ユーザーごとにアクセス権限が設定できるようにするなど、セキュリティ強化によってコンプライアンス維持を行います。

コンプライアンス違反が一度発生すれば、企業に甚大な被害が及びます。この機会にコンプライアンスについてより深く考え、違反が起きないための正しい経営を目指していただきたいと思います。

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