“ブロックチェーン”という技術への注目度が高まっています。特にフィンテック(金融×技術)の分野ではブロックチェーンの可能性に期待が集まり、活用が広まっています。この技術について詳しく知っているという方はまだ多くないので、本稿では業務担当者が知っておきたいブロックチェーンについてご紹介します。
ビットコインとブロックチェーン
まずはブロックチェーン技術が登場したきっかけになった“ビットコイン”から説明していきます。
ビットコインは仮想通貨の一種です。ちなみに仮想通貨とは「インターネット上で決済や送金が可能なお金」のことです。ただし、ゲームやオンラインショップで使用できる仮想通貨とは違います。
ゲーム内で使用する仮想通貨の場合はクレジットカードやプリペイドカードを使用してゲーム内で使える仮想通貨を購入し、それをゲーム内のショップ等で使用します。これをゲーム外で使用することはできません。
この他Amazon等のオンラインショップでもプリペイドカードを購入すると、ショップ内でのみ使用できる仮想通貨を入手することができます。オンラインショップ以外では使用できません。
これらの仮想通貨とビットコインが違う点は、ビットコインは円やドルといった通貨と同じように使用できることです。しかし、仮想通貨なので実態はありません。インターネット上でやり取りを行うため、現時点ではビットコインに対応したオンラインショップやサービスでの決済、あるいは送金に利用できます。企業間取引でも使用でき、対応している企業が徐々に拡大しています。
ブロックチェーンとは何か?
それでは本題であるブロックチェーンについて説明します。ビットコインは円やドルと同じような通貨の一種ですが、ビットコインを管理する専門機関は存在しません。それはインターネット上でやり取りされる仮想通貨だからこそのものであり、これを実現しているのがブロックチェーンという技術です。
ビットコインが誕生したのは2009年のことで、その前年にはインターネット上で仮想通貨に関する論文が投稿され、それをもとにビットコイン理論を実現するソフトウェアがオープンソースとして開発されました。
ブロックチェーンは「1つの台帳」だと考えてください。その管理台帳には誰が、いつ、いくら、ビットコインを使用・送金したのかといった情報がすべて記載されています。この台帳は誰が管理しているかというと、ビットコインを使用しているすべてのユーザーです。ブロックチェーンが扱うデータはビットコインを使用しているすべてのユーザーのコンピューターに分散管理され、互いに管理し合う仕組みになっています。だからこそ中央銀行のような管理者がなくても、安心な通貨として使用できるのです。
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そんなブロックチェーンのメリットとは何か?ビットコインや、企業がブロックチェーン技術を取り入れることのメリットをご紹介します。
1. 海外送金手数料が安くなる
海外送金にて決済を行っている企業では、高額な送金手数料が費用として計上されているでしょう。場合によっては海外送金は複数の銀行を経由して行われるので、送金完了までにかかる手数料がかなりかさんでしまいます。これに加えて為替変動によって取引金額が変わるため、回避できないリスクが多く存在します。
一方ビットコインは金融機関や銀行を経由せずに海外送金が行える仮想通貨です。従って、海外送金に伴う手数料が低く抑えられます。さらに為替変動の影響を受けにくいため、海外送金リスクの低減にもなります。
2. データ改ざんが不可能
後述しますがビットコインは高度なハッシュ関数を使ってデータを暗号化します。ハッシュ関数によるデータ暗号化は改ざんが不可能だとされ、もしも一部のブロックデータが改ざんされても、分散されたデータとの統合性が取れず不正が瞬時に明らかになります。
3. 中央集権化を避ける
サービス管理が一ヵ所に集中することを中央集権化と呼びます。中央集権化された環境ではシステムダウンのリスクが高まり、特別な対策を取らなければいけません。一方ブロックチェーンは中央銀行のような機関を持たないため、システムダウンのリスクが軽減し、特定の管理者による独裁的な管理がされない仕組みを持っています。
ブロックチェーンが持つ仕組み
ブロックチェーンは通常のデータ管理とは違いかなり特異な仕組みを持っています。だからこそ中央管理が無くともビットコインという仮想通貨の運用が成り立っています。ここではその仕組みについてご紹介します。
1. 取引のすべてを誰もが閲覧できる
ブロックチェーンは1つ管理台帳でデータを管理しています。そのデータはすべてのユーザーから閲覧できるようになっており、データの整合性を保っています。データは10分単位で承認され、記録されたブロックデータは取引状況、取引された金額、ハッシュ値、前ブロックのハッシュ値が確認できます。ただし詳しい取引内容までは把握できないため匿名性は保護されています。
2. データ更新はリアルタイムではない
「データは10分単位で承認され」と説明しましたが、ビットコイン並びにブロックチェーンを使用しているシステムでは、データは複数ユーザーが使用する端末に分散管理されています。そのためビットコインはではリアルタイムなデータ更新ができず、10分ごとに承認作業がされるのが特長です。たとえばオンラインショップで商品を購入しても、決済処理がその場で行われるのではなく後のタイミングで処理されるというものです。
3. ブロックデータは暗号される
ブロックチェーン技術ではすべてのデータを第三者が閲覧できます。しかしその際に、データ改ざん等の不正が発生しないようにすべてのブロックデータはハッシュ関数によって暗号化されます。
ハッシュ関数というのはベースになる文字列から一定文字数が不規則な文字列(ハッシュ)を創り出す関数です。そのためデータの内容がほんの少しでも違えば、まったく違ったハッシュ値が作られる、ベースになるデータが読み取れないという、不可逆性が高い暗号化技術です。
ブロックチェーンはハッシュ関数にて暗号化されたデータから、ナンス値という使い捨てのランダム数値を見つけ出し、データの整合性を保ちます。
4. 新しいビットコインが生まれる
新しいブロックデータを管理台帳に記録する際には、前回のブロックデータのハッシュ値と今回のブロックデータに含まれるトランザクションおよびナンス値をハッシュ値とハッシュ関数によって暗号化します。
この作業には膨大な計算処理が必要なのですが、通常のコンピューターでは追い付かないほどです。そこでユーザーが余らせているコンピューターリソースを活用して大量の計算処理を完了させています。これを「マイニング」といいます。
マイニングに成功したユーザーはその報酬としてビットコインが支払われます。マイニングを中心に仕事をしている人もおり、ちょっとしたアルバイト感覚で行っている人もいます。
ブロックチェーン技術のこれから
フィンテックを中心に活用が拡大しているブロックチェーン技術は、今後様々な分野で活躍する見込みです。一般的なシステムに取り入れる事例も増えていますので、これからのブロックチェーン技術を企業情報システムと連携する時代はすぐそこに迫っているのかもしれません。ぜひ今後のブロックチェーンに注目しましょう。
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