NetSuite(ネットスイート)は、企業の業務効率化を支援するクラウド型ERPシステムです。多くの企業が採用する理由は、データの一元管理や業務の自動化が可能な点などにあります。本記事では、NetSuiteの導入メリットに焦点を当てながら、機能や導入プロセスについて詳しく解説します。企業の成長を支えるNetSuiteの魅力を紹介し、導入を成功させるポイントについても掘り下げます。
NetSuiteとは
NetSuiteは、分散しているデータを一元管理することで、業務効率化を実現するクラウド型のシステムです。経営戦略から日々の業務まで、企業全体の情報を一元管理し、データに基づいた意思決定を支援します。全世界で40,000社以上の導入実績があり、多くの企業に支持されています。
参照元:クラウドERP、財務会計、CRM | NetSuite (ネットスイート)
NetSuiteの導入メリット
ここでは、NetSuiteが多くの企業に選ばれる理由を解説します。
全体の業務効率化ができる
NetSuiteは、データを一元管理することで必要な情報にいつでもアクセス可能となり、分析の手間を大幅に軽減します。さらに、二重入力の防止につながり、データの精度が向上します。従来のERPでは、業務領域ごとに個別のモジュールを開発したうえで統合するケースが一般的でしたが、NetSuiteでは統一されたプラットフォームを利用できます。
顧客情報を一元管理し、営業担当者は顧客の購入履歴や問い合わせ内容をリアルタイムに確認できます。きめ細やかな顧客対応が可能になり、顧客満足度向上につながります。1,000種類以上の定型レポートと自由なカスタマイズ機能により、誰でも簡単にデータ分析が可能です。チーム間の連携も円滑になり、営業活動の効率化や収益向上にも寄与します。
また、請求書発行、在庫管理など、多くのルーティンワークを自動化することで、人為的なミスを減らし、業務効率を大幅に向上させられます。NetSuiteの導入により、従業員の負担が軽減され、働きやすい環境を構築できます。
様々な働き方に対応できる
リモートワークやデバイスの多様化が進む中、NetSuiteはクラウドベースで設計されているため、PCやスマートフォン、タブレットなど、あらゆるデバイスで利用可能です。ダッシュボードやレポートへのアクセスも簡単で、快適な操作性を提供します。
現場作業員や出張の多い従業員は、外出先でも承認やキャッシュフローのモニタリングが可能です。また、営業活動では、その場で得た情報をリアルタイムで共有でき、テレワークや非対面の業務にも柔軟に対応します。さらに、NetSuiteは多言語・他通貨対応機能を備えており、世界中のどの地域でも柔軟に運用できます。
常に最新のシステムを利用できる
NetSuiteはクラウド型のため、システムのアップグレードを年2回(春と秋)自動で実施します。これにより、ユーザーが追加でソフトウェアやハードウェアを更新する必要がなく、常に最新の機能を迅速に利用できます。従来のERPでは、アプリケーションに直接変更を加えるケースが多く、アップグレード時の検証作業が複雑化し、システムのダウンタイムが長引くことがありました。しかし、NetSuiteではこれらの負担を軽減し、アップグレードの影響を最小限に抑えています。
経営判断にも活用できる
NetSuiteは、直感的な操作で、経営データを可視化し、迅速な意思決定をサポートします。グラフやレポートを簡単に作成でき、重要な情報を短時間で把握することで業務効率が向上します。また、データを統合・連携することで、経営状況を一目で可視化でき、問題点の早期発見、キャッシュフローの改善、業務コスト削減など、多角的な経営分析が可能です。さらに、70種類以上の標準レポートや強力な検索ツールを活用すれば、経営者が必要な情報を迅速に取得し、データに基づいた意思決定をスムーズに行えます。
NetSuiteの主な機能一覧
NetSuiteには以下の機能があります。
- NetSuite ERP(バックオフィス業務を担うERPシステム)
在庫管理から財務会計まで、企業のあらゆるデータを一元管理し、リアルタイムでの分析を可能にするクラウド型のERPです。 - NetSuite CRM(顧客管理やマーケティング機能など、顧客のライフサイクル全体の管理)
顧客の獲得から育成、サポートまで、顧客との関係性を一元管理し、営業効率を最大化します。リアルタイムのデータ分析により、顧客一人ひとりに最適なアプローチが可能です。 - NetSuite Eコマース(オーダー管理や在庫管理など)
ECサイトとシームレスに連携し、在庫管理や顧客管理をリアルタイムで行うことで、ビジネスチャンスを最大化します。 - NetSuite PSA(リソース管理やプロジェクト管理など)
プロジェクトの企画から完了まで、リソース管理、会計、請求を含む一連の業務を統合・効率化することで、企業のプロジェクト管理を最適化し、収益性の向上を実現します。
NetSuiteの導入期間の目安・費用感
NetSuiteはクラウド特化型のため、オンプレミス型と比較して多くのカスタマイズを必要とせず、導入期間を短縮できます。導入期間の平均は、カスタマイズを行った場合でも3~6か月程度です。また、NetSuite SuiteSuccessを利用する場合、導入期間が最短2か月という実績もあり、スピーディーさが求められる中小企業やスタートアップ企業にも適しています。費用に関しても、自社でサーバーやネットワークの用意が必要なオンプレミス型と比較すると、初期費用を中心にコストを抑えられる点がNetSuiteの特長です。
NetSuiteの導入プロセス
NetSuiteの導入を成功させるには、以下に紹介する適切な導入プロセスを踏むことが重要です。
課題の発見・要件定義
最初のプロセスである課題の発見と要件定義は、プロジェクトの成功を左右する重要なプロセスです。この段階では基本的なシステム構成も決定されるため、経営層の積極的な関与と各メンバーの専門知識が不可欠です。チームは既存の業務プロセスを詳細に分析し、NetSuite導入に必要な機能を明確化することで、最適なシステムの選定と導入計画の策定を進めます。
設計・開発
設計プロセスでは、詳細な要件に基づき新しいシステムの設計を行います。NetSuiteは高いカスタマイズ性を持ち、成長に応じて機能を追加できる点がメリットです。しかし、「Fit & Gap」の考え方に基づく過剰なカスタマイズは、システムがアドオンだらけになり、運用に支障をきたすリスクがあります。そのため、標準機能にできるだけ適合させる「Fit to Standard」の考え方で導入を進めることが望まれます。
設計後の開発プロセスでは、設計に基づいてシステムの構築、必要なカスタマイズ、既存システムとの統合を実施します。同時に、従業員向けのトレーニング教材を作成し、複雑なデータ移行計画を策定します。データ移行では異なるシステム間の統合を伴うため、綿密な計画と慎重な実行が必要です。
テスト・導入・運用
テストプロセスでは、開発と並行してモジュールや機能ごとのテストを行い、必要に応じて修正を加えます。さらに、システム全体の機能検証や従業員による実運用テストも実施します。導入プロセスでは、システム稼働開始に向け、トラブル発生時の対応策(トラブルシューティング)を準備します。データ移行は導入直前と本稼働直前に分けて行う場合が多く、すべてのモジュールを一度に稼働させる「ビッグバン方式」や段階的な導入、旧システムとの併用期間を設ける方法など、組織の状況に適した手法を選択してください。
導入後のサポート
導入後の重要なポイントは、「導入して終わりにしない」ことです。PDCAサイクルを継続的に回し、課題を解決しながらシステムを改善することが求められます。これには社内の取り組みだけでなく、導入支援企業からのサポートも重要です。また、NetSuiteはクラウド型のシステムであり、ベンダー側が定期的にアップグレードを行うため、システムの更新作業に関する負担が軽減される点も安心材料のひとつです。
NetSuite SuiteSuccessの導入プロセス
中小企業やスタートアップ企業には、NetSuite SuiteSuccessの導入を検討する価値があります。NetSuite SuiteSuccessは、事前に設計・設定された製品をそのまま導入できるため、短期間かつ低コストでの導入が可能です。NetSuite SuiteSuccessは、最新の顧客エンゲージメントモデルを取り入れ、企業の成長を支援します。業界トップクラスの技術とノウハウを結集したソリューションであり、短期間かつ低コストでの導入が可能です。ただし、NetSuite SuiteSuccessを導入する場合でも、自社の課題を明確にするプロセスは欠かせません。
参照元:NetSuite SuiteSuccess | NetSuite
NetSuite導入を成功させるポイント
まず大切なポイントは、信頼できる導入支援会社に相談し、自社に最適な構成で導入することです。NetSuiteの効果はすぐに現れるものではなく、継続的なサポートが必要となるため、導入後も支援体制が整ったパートナーと連携することが求められます。
また、データ移行計画も成功の鍵を握ります。どの情報が重要かを見極め、それを新しいシステムに反映させることで、導入後の運用効率が大幅に向上します。データ移行を綿密に計画することで、プロジェクト全体を予定通りかつ予算内で進めることが可能です。古いシステムに残る不要なデータや重複データを削除する良い機会にもなります。
さらに、導入時にはスモールスタートで始めることを推奨します。導入支援会社と連携しながら、業務での活用方法を模索し、段階的にシステムを拡張していくことで、NetSuiteの真価を発揮させることが可能です。
まとめ
ご紹介したように、NetSuiteの導入は業務効率化や経営判断の迅速化など、多くのメリットをもたらします。オンプレミス型のシステムと比較すると、導入期間の短縮や初期費用の抑制が魅力です。また、中小企業やスタートアップ企業であれば、NetSuite SuiteSuccessを選択することで、導入期間やコストをさらに削減することが可能です。ぜひ、NetSuiteまたはNetSuite SuiteSuccessの導入をご検討ください。
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