紙文書発行から電子文書での発行、郵送からWeb上での管理など、Web請求書システムを導入することで様々な変化を取り入れることができます。いずれも企業のペーパーレス化を支援し、コスト削減や業務効率化など企業にとって嬉しいメリットを得ることが可能です。
今回はそんなWeb請求書システムの導入メリットを具体的に紹介していきます。
また、Web請求書システムは導入すれば必ずメリットを得られるというITツールではありません。企業によっては、導入を熟考すべき場合もあります。そこでWeb請求書システム導入を熟考すべき企業の特徴についても紹介していくので、導入検討時の参考にしてください。
Web請求書システム導入で得られる6つのメリット
1.紙文書による管理コストを削減
Web請求書を企業が導入する目的として最も多いのが「ペーパーレス化によるコスト削減」ではないでしょうか。「ペーパーレス化=コスト削減」とはいささか直接的過ぎる期待ですが、事実ペーパーレス化によって削減できるコストは非常に大きいのです。
経団連の試算によれば、紙文書の管理コストは年間平均3,000億円にもなると言われています。もちろんWeb請求書システムを導入することでその全てを削減できるわけではありません。
しかし、企業が保管する紙文書の中で請求書が占める割合はかなり多いので、大幅なコスト削減が望めることは確かでしょう。
2.郵送コストを削減
請求書発行業務に伴うコストの中で、最も多くの割合を占めるのが「郵送コスト」だと言われています。2017年6月1日より郵便はがきの料金改定が施行されたことで、郵送コストが大幅に増加しました。
Web請求書システムは主にWeb上で請求書を発行・管理します。取引先はインターフェースから請求書を閲覧したりダウンロードすることができるので、請求書を郵送する必要がありません。
このため請求書発行業務にかかる郵送コストを大幅に削減することができます。
3.Web上での文書発行による業務効率化
一般的な請求書業務は「発行」「封入」「郵送」「保管」です。これらの業務をすべて人手で行うと、意外と多くの工数と時間がかかります。また、部門間をまたいで行われることも多く、コミュニケーションコストが発生する企業も少なくありません。
こうした手間の多い業務を効率化するためには、やはり請求書発行をWeb化して、「封入」と「郵送」を効率化することが効果的です。Web請求書システムではこれらの業務を効率化することで、コスト削減だけでなく労働生産性の向上も期待できます。
4.メールよりも高いセキュリティ性
請求書をPDFなど電子文書として発行し、メールで送付する企業も多いでしょう。一見効率的に見えますが、セキュリティ性の観点から言えば推奨できません。
メールは複数のサーバを経由する場合が多く、取引先に請求書が届くまでに第三者によって傍受されてしまう可能性があります。サイバー攻撃が活発化している現代においてデータ漏えいの可能性は非常に高く、メールでは重要書類を送付しないという認識が一般化しています
Web請求書システムを利用することでセキュリティ性が保たれたクラウド上に請求書が保管されるので、第三者による傍受を防ぐことができます。
5.誤封入、誤送付、郵送漏れの防止
「第三者による傍受」は自社システムのセキュリティ性を高めることで、Web請求書システムを導入しなくとも防ぐことは可能です。しかし、いくらセキュリティ性を高めても防ぐことが難しいのが「誤封入」「誤送付」「郵送漏れ」の3つです。
いずれもヒューマンエラーが原因で発生する問題なので、ITセキュリティをいくら高めても防止対策にはなりません。「ミスが無いように」と呼びかけたり二者確認を徹底するなど、防止効果に欠けていたり工数を増やす以外にないのです。
その点Web請求書システムは、これら3つの問題をWebという仕組みで解決します。
そもそも封入という作業はありませんし、「誤送付」が起きてしまってもWeb上から請求書を削除することができます。また、「郵送漏れ」に対してもアラート機能で対応できるので、これまで人手によって発生していた問題を多く解決できるのです。
6.請求書送付時間の短縮
請求書を発行してから送付するまで、そして送付してから取引先まで届くのに数営業日がかかるケースが少なくありません。請求側からしても取引先からしても、できる限り請求書が早く届き、処理を行える方がメリットがあります。
しかし実際問題、請求書の送付時間を短縮するというのは非常に難しい課題です。
このためそもそも「請求書郵送」という作業自体を無くしてしまえば、送付時間を大幅に短縮することが可能です。
Web請求書システム導入を熟考すべき企業とは
Web請求書システムを導入することで得られるメリットは多岐にわたります。しかし、中には導入することでかえって請求書業務を複雑にしてしまう企業もあります。
取引先によって請求フォーマットが決まっている
取引先が複数存在し、かつ企業規模の大きい会社と取引をしている場合、取引先によって請求フォーマットが決まっていることがあります。Web請求書システムでは基本的にフォーマットのカスタマイズができない場合が多いので、取引先によって請求フォーマットを変えることができません。
従って、取引先によって請求フォーマットが異なる場合は、Web請求書システムを導入してもメリットを得られない可能性があるでしょう。
取引先のITリテラシーが高くない
Web請求書システムにて請求書を送付するには、Web上に請求書をアップロードして取引先がWeb上から請求書を閲覧したりダウンロードします。しかし、取引先のITリテラシーが高くない場合、請求書の閲覧やダウンロードが難しいということもあるのです。
取引先のうち一社でもこうした企業がいれば、その企業のみ従来の請求方法を取るという形になるので、請求書業務が複雑になってしまう可能性があるでしょう。
ネットワーク環境やデバイスの用意が難しい
Web請求書システムを導入するにはネットワーク環境やデバイスが必要になります。一般的なインターネット環境で問題なく、専用デバイスを用意する必要もありませんが、企業によってはネットワーク環境やデバイスを用意することができない場合もあるでしょう。
また、Web請求書システムを導入する利点の一つに、場所やデバイスを選ばず請求書発行業務が行えるというものがあります。社外専用デバイスが用意できたり、外出先からもネットワークに接続できる環境を整えればこの利点を最大限に引き出すことができます。
しかし、社外専用デバイスや外出先用のネットワークを整備できない場合は上記の利点を取り入れることができません。
Web請求書システムのメリットが全て無くなってしまうわけではありませんが、導入を熟考する必要があるでしょう。
[RELATED_POSTS]まとめ
多くの企業でWeb請求書システム導入のニーズは高く、導入の効果も大きいでしょう。しかし、前述したように必ずしもメリットがあるとは限らないので注意してください。今後Web請求書システムの導入を検討している企業では現状の請求書発行業務を改めて認識してから、効果的な導入を目指していただきたいと思います。
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