皆さんの企業では「管理会計」を行っているでしょうか?管理会計とは内部ステークホルダー(主に経営者や各部門責任者)に対して提示される経営情報であり、企業は管理会計で作成した情報をもとに経営の舵切りを行います。
管理会計に似た経理業務に「財務会計」がありますが、これは外部ステークホルダー(株主や取引先など)に対して公表する経営情報であり「外部報告会計」とも言います。管理会計と財務会計の違いについては「管理会計とは?財務会計との違い」をご確認ください。
そして今回の主題は「会計管理の目的とメリット」です。管理会計はなぜ必要とされているのか?どのようなメリットがあるのか?管理会計の気になる基本について紹介します。
管理会計を行う目的は?
管理会計は内部ステークホルダー向けに提示される経営情報です。その目的を具体的に説明すると「リアルタイムな経営情報を可視化し、スピーディに経営戦略を立て実施する」という目的があります。
経営のスピード化が重要な理由とは
十数年前に比べると、企業を取り巻く環境というのはかなり変化しています。
第一にコンピュータとインターネットの普及。これにより企業や一般消費者の購買行動は劇的に変化しています。例えば以前ならばCMや広告などマスマーケティングを介してのみ得ていた情報が、ユーザー自身が様々な情報を取得することができます。
第二にSNSの普及。現在様々なSNSが多くのユーザーによって利用されていますが、いずれも強いパンデミック効果があります。つまり、一ユーザーの発言が市場トレンドを変化させてしまうという可能性があるのです。特に影響力の強い人間は大体SNSを利用しているので、以前よりもトレンドの変化が激しくなっています。
そして最後にモバイル端末とIoTデバイスの普及です。既に普及しているスマートフォンやタブレットに加え、今後はあらゆるモノがインターネットに接続されるIoTデバイスが爆発的に増加すると言われています。IoTデバイスが普及することで様々な市場で破壊的イノベーションが起こるとも予測されているのです。
これら3つの要因から企業を取り巻く環境は劇的に変化しました。緩やかだったビジネスの流れはいきなり速度を増し、変化の波に対応できない企業は次々と飲み込まれていくのです。
そして、こうした変化へスピーディに対応するために「経営のスピード化」が重要です。「劇的な変化」には「スピード」が何よりも重要だと言えます。
企業に管理会計を取り入れると、リアルタイムな経営状況が把握できるようになり、様々な変化に対応できる組織力づくりが可能になるのです。
管理会計を実施するメリットとは
管理会計は一般的に「経営のための会計」だと言われています。「経営のスピード化」という目的から見ても、経営上のメリットが高いと理解できますね。では、現場視点ではメリットはないのでしょうか?
そんなことはありません。管理会計を取り入れることで、各部門の現場にも大きなメリットがあります。
部門ごとに目標が明確になる
管理会計を取り入れて経営目標が明確になると、自然と部門ごとの目標も明確になります。例えば「1ヵ月で300万円の利益を出す」という経営目標があれば、営業部門の活動内容を明確に定めたり、各部門で行うコスト削減作業などが具体的な案として出てくるでしょう。
つまり部門ごとの目標が明確になり「今何をすべきか」が浮き彫りになるのです。
実は、部門ごとの目標が明確でない企業は少なくありません、というよりも、各部門ごとの目標が事業戦略に結び付けられていないのです。
各部門で目標は設定されているものの、あくまで単独の目標であり、それを達成したからといって必ずしも事業戦略の成果が上がるものではありません。こうした環境に陥ってしまう原因はやはり「ゴールから逆算できないため」であると言えます。
管理会計をもとに事業戦略を立案し、最終的な経営目標を掲げる。そこから逆算した部門ごとの目標を設定すれば、自然と事業戦略に結び付けることができます。つまり、部門ごとのKPI(重要業績評価指標)を設定できるということです。
現場が経営視点を持てるようになる
管理会計を行い、それをもとにした事業戦略を立案・実施するということは、各部門に細かい事業戦略を落とし込むということになります。さらに、部門ごとにKPIが設定されたりPL管理が必要になることで、現場責任者は経営視点を持つようになるのです。
自部門の目標は計画通りに達成できているか?計画通りにいっている場合もいっていない場合も、なぜ成功・失敗しているのかを自然と分析するようになります。
こうした経営視点は責任者自身のスキルアップにつながり、結果組織にとってプラスに働きます。
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管理会計を取り入れる際のポイント
「管理単位」と「ルール」の整備
管理会計は財務会計と違い、様式や管理方法などの指針が定められていません。つまり、企業ごとに管理会計を行うルールが異なります。ですので、まずは「管理単位」と「ルール」を企業内で策定しなければなりません。
管理単位とは「PLを管理する単位」を言います。つまり、PLの単位を事業ごとにするのか、部門ごとにするのか、あるいは商品やサービスごとにするのかなどを決定する必要があるのです。
また、管理会計を行う目的からルールを整備しなければなりません。管理会計には法的に強制されたものがないので、自社独自にルールを策定する必要があります。その際はまず管理会計の目的を明確にしてから、ルールを策定するようにしましょう。
モニタリング環境を整備する
管理会計を取り入れるとリアルタイムな経営を実現することができます。経営のスピード化という非常に大きなメリットがある反面、事業戦略をリアルタイムでモニタリングしなければならないという作業も発生するのです。
そのためにはやはりモニタリング環境が重要です。具体的にはERP(統合基幹業務システム)など、統合的なシステム環境を構築することで各部門の進捗状況を把握できるようになります。
また、経営のスピード化のためには細かいPDCAサイクルを回すことも重要なので、モニタリングによる評価と迅速な計画立案が重要になるのです。
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中小企業の管理会計にNetSuite(ネットスイート)を
NetSuiteは財務会計・管理会計を中心としてERPソリューションで、統合的なシステム環境をクラウド上で構築することができます。
人的リソースが少ない中小企業や関係者が複数いる大企業にとって、経営のスピード化を実現するための管理会計が負担になることも少なくありません。管理会計を実施するために各部門や事業所などからのデータ統合に始まり、さらにはデータを比較できるよう加工する必要もあります。
NetSuiteでは、本来人手によって行われるこうしたデータ統合の大半を自動化することができ、グローバルレベルでリアルタイムに経営状況を可視化することができます。 経理担当者としては本来の業務に集中しつつ管理会計を行うことができるので、生産性を損なわずに経営のスピード化を図ることができるのです。そして経営者はダッシュボードで常に鮮度の高い経営情報を可視化することができるのです。
まとめ
現在管理会計を取り入れる中小企業や大企業は多く存在します。しかし、業務効率化を行いつつ管理会計を実施できている企業は少ないようです。皆さんも管理会計を取り入れる際は、ERP並びにNetSuiteの導入をぜひご検討ください。
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