監査法人とは?どのような企業が契約すれば良いのか?業務内容を網羅

 2019.03.13 

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企業や各種団体に対して第三者機関として存在する監査法人。本稿では、監査法人とはどんな機関組織なのか?日本にはどんな監査法人があるのか?その業務内容などをご紹介していきます。

そもそも監査ってなに?

Wikipediaによると監査とは以下のような記述で表現されています。

監査(かんさ、audit または auditing)とは、ある事象・対象に関し、遵守すべき法令や社内規程などの規準に照らして、業務や成果物がそれらに則っているかどうかの証拠を収集し、その証拠に基づいて、監査対象の有効性を利害関係者に合理的に保証すること。(監査 – Wikipediaより抜粋)

要約すると、監査とは監査対象(主に企業)が法令や規則と照らし合わせて、監査対象が健全な活動をしているかどうかの正当性を確認し、それを株主などの利害関係者に保証することを指します。ちなみに監査はいろいろな意味で使われる言葉ですが、監査法人は会計監査を行います。粉飾決算などの不正会計はないかを調査し、立証し、保証するのが役割です。

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監査法人とは?

では監査法人とはどんな機関なのか?公認会計士法第一条の三で、その概要について説明しています。

公認会計士法

第一条 公認会計士は、監査及び会計の専門家として、独立した立場において、財務書類その他の財務に関する情報の信頼性を確保することにより、会社等の公正な事業活動、投資者及び債権者の保護等を図り、もつて国民経済の健全な発展に寄与することを使命とする。

第一条の三 1項 この法律において「財務書類」とは、財産目録、貸借対照表、損益計算書その他財務に関する書類(これらの作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他の人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるもので内閣府令で定めるものをいう。以下同じ。)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。)をいう

第一条の三 2項 この法律において「公表する」とは、公告をすることその他株主、債権者その他多数の者の知り得る状態に置くことをいう。

第一条の三 3項 この法律において「監査法人」とは、次条第一項の業務を組織的に行うことを目的として、この法律に基づき設立された法人をいう。

引用:電子政府の総合窓口e-Gov(イーガブ)公認会計士法

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公認会計士法第二条2項では「公認会計士は、他人の求めに応じ報酬を得て、財務書類の監査又は証明をすることを業とする」と記載されていますので、主に企業からの依頼に応じて財務書類の監査や証明を行うのが監査法人の役割だと言えます。

日本の4大監査法人

世界の4大監査法人は「Ernst & Young(アーンスト・アンド・ヤング)」「Deloitte Touche Tohmatsu(デロイト・トウシュ・トーマツ)」「KPGM(ケー・ピー・ジー・エム)」「PricewaterhouseCoopers(プライスウォーターハウスクーパーズ)」です。

日本にも4大監査法人は存在しており、監査法人の「Big4(ビッグ・フォー)」ともいわれています。

1.新日本有限責任監査法人

2008年7月1日に日本最初の有限責任監査法人となったのが新日本有限責任監査法人です。不動産や建築分野を中心に、多方面にたくさんのクライアントを持っています。製造業でのクライアントも多く、世界4大監査法人のErnst & Young(アーンスト・アンド・ヤング)と連携関係にあります。

2.有限責任監査法人トーマツ

1968年設立の老舗である有限責任監査法人トーマツは、会計監査だけでなく総合マネジメントコンサルティングや、株式公開支援、ファイナンシャルアドバイザリーサービスなど広範囲にわたったサービスを提供する、日本最大級の監査法人です。米国ニューヨークに本社を構えるDeloitte Touche Tohmatsu(デロイト・トウシュ・トーマツ)と連携関係にあり、「トーマツ」は日本の会計士の名前に由来しています。

3.PWCあらた有限責任監査法人

2006年に設立し、2016年7月1日に有限責任監査法人へ移行しています。日本4大監査法人の中では最後に有限責任に移行した監査法人です。連携関係にあるPricewaterhouseCoopers(プライスウォーターハウスクーパーズ)は英国ロンドンに本社があり、世界159ヵ国に18万人ものスタッフをかかえ、巨大なプロフェッショナルサービスファームとして活躍しています。

4.有限責任あずさ監査法人

日本の大手監査法人であり、2010年に有限責任制度適用の法人へ移行しています。東京、大阪、名古屋やその他各都市に事務所を持ち、約6,000人のスタッフを抱えています。国内の大手企業をクライアントとして抱え、世界4大監査法人のKPGM(ケー・ピー・ジー・エム)と連携関係にあります。ちなみに同社はオランダのアムステルフェーンに本社を構え、世界148ヵ国に11万3,000人のスタッフを抱えています。

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有限責任監査法人とは?

4大監査法人の説明の中に度々「有限責任監査法人」という言葉が登場していますが、これは2008年に制定された制度であり、監査証明業務における第三者(主に依頼企業の利害関係者)に対する責任については、指定有限責任社員を除き、監査証明業務以外から生じた責務についての責任は、すべての社員が無限責任を負わないことが認められました。

それまでの監査法人には「無限責任の原則」があり、監査法人は公認会計士法の規定にもとづいて5人以上の公認会計士が集まって組織される法人であり、株式会社とは異なり出資者である社員は連帯無限責任を負うという原則です。つまり、特定の事案に対して損害賠償責任を負うことになり、その支払いが監査法人の財産ではまかないきれない事態になった場合は、事案へのかかわりに関係なくすべての社員は連帯責任を負うことが義務付けられ、その責任は資材にもおよぶというものでした。

これが有限責任監査法人制度によって一変し、前述の通り監査証明業務以外から生じた責務についての責任はすべての社員が無限責任を負わないことが認められたのです。

監査法人の業務内容

最後に、監査法人は具体的にどういった業務を行うかについて説明します。

監査証明業務

監査法人業務のメインとなるのが「監査証明業務」です。企業や学校法人、地方公共団体など幅広い組織を対象にし、それらが提示する財務情報が適正であることを特定の基準に沿って調査し、第三者機関という独立した立場からとの正確性を保証するという業務です。

非監査業務

株式公開支援や、M&A(吸収合併)アドバイザリー業務、地方自治体に対する包括外部監査や経理業務など、監査証明以外の業務を指します。

コンサルティング業務

会計に関する専門的な知識やノウハウを活かして、報酬を得て財務書類を調整したり、財務に関する調査や立案を行ったり、財務にかんするあらゆる相談に応じるのがコンサルティング業務です。公認会計士法第二条2項にもとづくことから「2項業務」とも呼ばれています。

以上で監査法人についての解説を終わります。いかがでしょうか?この機会に、監査法人についてより深く理解し、会社の財務報告の正確性を外部に保証してみることをおすすめします。

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