経理業務の効率化を図るために、会計ソフトの導入は欠かせない手段となっています。手作業で行っていた複雑な仕訳や帳簿管理を自動化することで、ミスの減少と共に作業時間の大幅な短縮が可能です。また、IT導入補助金などの支援制度を活用すれば、導入コストを抑えながら効果的にソフトを活用できます。本記事では、会計ソフト導入のメリットやおすすめの会計ソフト、補助金を活用して賢く導入する方法などについて詳しく解説します。
中小企業に会計ソフトは必要?
中小企業では、規模の大きな企業と比べると会計業務も煩雑ではなく、会計ソフトは必要ないとの見方もあります。しかし、会計ソフトの導入による業務の効率化は、企業経営をスムーズに進める上で非常に重要です。
従来の手作業や紙ベースの会計処理では時間と労力がかかり、ミスが発生するリスクも高まります。これに対し、会計ソフトを活用するとそうした問題も容易に解決可能です。
慢性的な人材不足解消のために必要
中小企業が直面する課題のひとつに、慢性的な人材不足の解消があります。特に経理や財務に関する業務は専門知識を必要とし、これをカバーできる人材の確保は難しい状況です。社会全体で業務の効率化が求められている中、従業員のリソースが限られがちな中小企業においては、少ないコストで最大の成果を出すための工夫が強く求められています。会計ソフトを導入することで、経理の専門知識がなくても簡単に業務を進められ、作業時間の短縮やミスの防止につながります。
IT人材の補完のため必要
中小企業において、IT専門の人材を確保することは大きな課題です。特に小規模な企業では、IT関連の業務を専任で担当する人材がおらず、システムの保守や運用に関して十分な対応ができないケースも見受けられます。しかし、会計ソフトを利用することで、こうした問題の解消が可能です。とりわけクラウド型の会計ソフトは、導入後の保守や運用が不要であり、ITの専門知識がなくても手軽に利用できるため、IT人材の不足を補完する手段としても有効です。
中小企業向けにおすすめな会計ソフト9選
次に、おすすめの会計ソフト9選を紹介します。
パッケージ型会計ソフト
パッケージ型会計ソフトは、従来から多くの企業で使用されてきたオンプレミス型のソフトウェアです。このタイプのソフトウェアは、自社のサーバーやコンピュータにインストールして使用するもので、インターネットに依存せずに利用できる点が特徴です。パッケージ型ソフトは、一度購入すれば継続して使用できるため、長期的に見てコストを抑えられるメリットがあります。ここでは、中小企業におすすめのパッケージ型会計ソフトを紹介します。
弥生会計シリーズ
パッケージ製品として売り上げ実績No.1の弥生会計シリーズは、長年のノウハウ蓄積によって細部まで行き届いた機能と、手厚いサポートが魅力です。「会計ソフト選びに迷ったら弥生」と言う企業もあるほど人気を集めています。
最新版の「弥生会計 24 プロフェッショナル +クラウド」は10名以上の中小企業向けソフトで、価格は96,800円(税込)からです。通常は別途料金がかかる「あんしん保守サポート」も初年度無料で利用でき、知識がなくてもスムーズに導入できます。
会計王シリーズ
会計王シリーズは買い切り型のソフトウェアで、最新版となる「会計王22」の定価は44,000円(税込)です。インボイス制度や電子帳簿保存にもしっかりと対応しているほか、初回のユーザー登録を1年以内に行えば通常有料の年間保守サポートが最大15か月間無料で受けられる特典もあります。高性能なパソコンでなくてもソフトをインストールすればすぐに使用できるため、個人や中小企業などにおすすめです。
URL:https://www.sorimachi.co.jp/products_gyou/acc/
会計らくだシリーズ
会計らくだシリーズは低価格帯で提供されている会計ソフトパッケージ製品のひとつです。最新版である「会計らくだ24」の価格は13,200円(税込)で、会計ソフトに必要な機能は標準的に備えています。ただし、弥生会計シリーズや会計王シリーズといった中小企業向けの会計ソフトのように、細かい機能は搭載しておらず、記帳専門の製品であるため、決算は税理士に任せたい事業者におすすめのソフトです。
URL:https://www.bsl-jp.com/products/kaikei/
わくわく財務会計
わくわく財務会計も会計らくだシリーズ同様に、低価格帯のパッケージ製品で、最新版は「わくわく財務会計9」です。機能面では会計らくだシリーズよりも充実しているため、低コストで会計ソフトを導入したい企業におすすめです。会計ソフト初心者にも使いやすく、ダウンロード版なら20,900円(税込)、通常版なら27,500円(税込)と、比較的お手頃価格な製品です。
URL:https://www.lan2.jp/e-store/index.html?id=as3
奉行会計Jシリーズ
奉行会計Jシリーズは、中小企業の中でも組織規模が大きい企業向けの会計ソフトです。クラウド版の製品は別にあり、こちらのパッケージ版はダウンロードして使用する製品となっています。最新の「勘定奉行J11」は製品価格の20,000円(税込)に加えて、年間利用料が40,000円(税込)かかります。ただし、利用料にはサポートも含まれており、機能も充実しています。
URL:https://www.obc.co.jp/bugyo-j/kanjo-j
クラウド型会計ソフト
クラウド型会計ソフトは、インターネットを通じて利用するソフトウェアで、近年急速に普及しています。このタイプのソフトは、インターネットに接続さえしていれば、いつでもどこでも利用できる柔軟性が魅力です。また、クラウド型ではソフトウェアのインストールが不要で、すべてのデータはクラウド上に保存され、システムの保守やアップデートはサービス提供者側が自動で行ってくれます。ユーザーはシステム管理の負担を軽減でき、最新の機能やセキュリティ対策を常に享受することが可能です。ここからは、導入におすすめのクラウド型会計ソフトを紹介します。
弥生会計オンライン
弥生会計オンラインはパッケージ製品と少しコンセプトが異なり、「使いやすさ」にこだわったサービスです。自動仕訳や取引入力など、最低限の簿記知識のみで機能を使えるようになっています。弥生とパートナーシップを提携している会計事務所ならば、簡単にデータ連携できる点も魅力です。
「弥生会計オンライン」なら1年間全ての機能を無料で試せる点も魅力です。無料期間が過ぎるとプランに応じた料金がかかり、サポートが導入時のみとなる代わりにコストを抑えられるセルフプランが年額30,580円(税込)、いつでもサポートを依頼できるベーシックプランが年額41,360円(税込)になります。さらに、中小企業や小規模事業者であればIT導入補助金も活用できるため、事業規模を問わず検討対象としておすすめです。
URL:https://www.yayoi-kk.co.jp/kaikei/
freee
「freee」は「簿記知識ゼロでも使える会計ソフト」をコンセプトにしたサービスです。ただし、実際には簿記知識がまったくのゼロで完璧に使いこなせるわけではないので注意しましょう。本サービスは、弥生会計オンラインのように、自動仕訳などユーザーの手がかからない機能に特化しています。
料金は、小規模法人を対象としたスタータープランの場合、年額65,760円(税込み)から利用でき、ユーザー数4人目からは別途で月額300円の追加料金がかかる従量課金です。基本的な帳簿などの経理機能はもちろん、インボイス制度や電子帳簿保存法にも対応しています。中小企業の経理で必要になる機能を網羅している会計ソフトのうち、小規模事業者でも比較的安価に利用できるサービスです。
URL:https://www.freee.co.jp/accounting/sb/
MFクラウド会計
「MFクラウド会計」はfreee同様に、日本のクラウド会計ソフト黎明期から提供されているサービスです。特徴は、会計ソフト中級者でも使いやすい機能で、初心者向けの自動仕訳などの機能はもちろん、手入力にも対応しています。電子帳簿保存法の優良電子帳簿にも対応したビジネスプランの場合、価格は1事業所あたり年額59,760円(税込)から利用できます。また、小規模事業者向けのスモールビジネスプランの料金は、年額35,760円(税込)からです。
URL:https://biz.moneyforward.com/accounting/
フリーウェイ経理
「フリーウェイ経理Lite」は無料で利用できるクラウドタイプの会計ソフトです。無料版の機能制限もなく、すべての機能を使用できます。ただし、会計データの保存場所は端末内に限定されます。有料版を利用すると、会計データをインターネット上にも保存できたり、自動仕訳や操作サポートが付いたりします。有料版の基本料金は年額39,600円(税込)です。
URL:https://freeway-keiri.com/
「クラウド会計ソフトは高い」は本当?
定期的に料金が発生することから、「クラウド会計ソフトを利用するとコストが高くなる」というイメージを持たれることも少なくありません。確かに、1年2年と利用を続けていけば、パッケージ製品の購入金額より利用料が高くなることは確実です。
ただ、クラウド会計ソフトとパッケージ製品のコスト比較をするのであれば、日常的に発生する管理費用も考慮しなければなりません。パッケージ製品の管理にかかる人件費を計算してみると、実はクラウド会計ソフトよりもコストが高くなっているケースもあります。
「継続的な支払」と「たった一度の支払い」という点にとらわれず、見えないコスト(人件費やサーバ管理代)にも目を向けた上で、両者の比較を行っていくことが必要です。
本記事で紹介した会計ソフト以外にも、製品やサービスは多様に提供されています。そのため、上記9製品およびサービスに限られずに、広い視野を持って会計ソフトを比較検討してみましょう。
会計ソフト価格一覧表
以下では、先に紹介した各会計ソフトの価格を一覧にしています。費用面での検討材料としてご活用ください。
製品名 | 提供形態 | 価格 |
弥生会計シリーズ | パッケージ製品 | 年額30,580円(税込)~ |
会計王シリーズ | パッケージ製品 | 44,000円(税込) |
会計らくだシリーズ | パッケージ製品 | 13,200円(税込) |
わくわく財務会計 | パッケージ製品 ダウンロード版 |
20,900円(税込) |
奉行会計Jシリーズ | パッケージ製品 | 20,000円(税込)+年間利用料40,000円(税込) |
弥生会計オンライン | クラウド会計ソフト | セルフプラン年額30,580円(税込) ベーシックプラン年額41,360円(税込)/1事業所 |
freee | クラウド会計ソフト | 年額65,760円(税込)/1事業所 ユーザー追加300円/1ユーザー |
MFクラウド会計 | クラウド会計ソフト | 年額59,760円(税込)/1事業所 |
フリーウェイ経理Lite | クラウド会計ソフト | 無料 / 有料版は年額39,600円(税込) |
会計ソフトの選び方
会計ソフトを選ぶ際には、企業のニーズや目的に合った製品を慎重に選定することが重要です。単に「人気があるから」や「デザインが良いから」といった表面的な理由で製品を選んでしまうと、導入後に期待通りの効果が得られず、思わぬ問題に直面する可能性があります。会計ソフトは企業の経理業務を支える重要なツールであり、適切な選択が業務効率を大幅に向上させることにもつながります。本セクションでは、具体的な会計ソフトの選び方について、6つのポイントを挙げて詳しく解説します。
選び方1.導入の目的に合っているか
多くの企業が「会計ソフトの利用=経理業務の簡素化」と考えることが多いですが、会計ソフトにはそれ以上の機能が備わっています。たとえば、財務分析やレポート作成、キャッシュフロー管理など、企業経営に直接役立つ機能を持つソフトも多く存在します。そのため、導入の目的を具体的に設定することで、自社のニーズに最も適した製品を選べます。導入後の効果を最大化するためにも、まずは自社が何を求めているのかを明確にすることが重要です。
選び方2.必要な機能を備えているか
会計ソフトを選定する際には、必要な機能をしっかりと洗い出し、それに基づいてソフトを選ぶことが重要です。このプロセスは要件定義と呼ばれ、導入担当者や関連部署が協力して、ソフトに求める機能を具体的に決定していきます。たとえば、月次決算を迅速に行うための自動仕訳機能や、多店舗展開をしている企業向けの部門別損益管理機能など、企業の運営に不可欠な機能が何かを明確にします。
要件を正確に定義することで、選択基準がブレることなく、導入時に最適な製品を選べます。また、初期段階で候補を絞り込むことで、後々の選定作業もスムーズに進められます。
選び方3.課題を解決できるソフトか
会計ソフトは単に経理業務を簡素化するだけでなく、企業が直面する経営上の課題を達成するためのツールでもあります。
たとえば、経営状況をリアルタイムで把握できず、資金繰りが難しいといった問題がある場合、リアルタイムで財務データを表示できるダッシュボード機能を持つソフトが適しています。また、経理担当者のスキルに差があり、業務効率が低下している場合には、誰でも簡単に操作できる自動仕訳機能やエラーチェック機能があるソフトを選ぶとよいでしょう。実際に業務を担う人員の負担も考えながら企業の課題を明確にすることで、それを達成するのに相応しいソフトを選べます。
選び方4.予算に合っているか
パッケージ型のソフトは一度購入するだけで長期間使用できるため、初期コストが高くても、長期的に見ればコストパフォーマンスが良い可能性があります。しかし、インストールや管理に必要な人件費がかかることも考慮しなければなりません。
一方、クラウド型のソフトは初期費用が抑えられ、継続的な支払いが発生するものの、インフラ管理やメンテナンスの手間が省けて、トータルコストでは優位になることもあります。加えて、法制度の改正といった状況の変化も反映されるため、パッケージ型とは異なり買い替えのコストが不要です。それぞれの製品の総コストをしっかりと比較し、自社の予算に合ったソフトを選ぶことが求められます。
選び方5.費用対効果に合っているか
費用対効果の算出は簡単ではありませんが、会計ソフト選びにおいては重要な基準になります。「コスト100:導入効果100」の製品と「コスト120:導入効果150」の製品なら、費用対効果が高いのは後者であり、導入するメリットがより大きくなるわけです。表面上のコストだけで製品を比較していると、費用対効果を見落としてしまう可能性があるので注意しましょう。
選び方6.サポートは充実しているか
特に初めて会計ソフトを導入する場合は、サポート体制の充実度を確認することが重要です。会計ソフトは使い慣れていないと操作が難しく感じることもあり、初期設定やトラブルシューティングに時間がかかる場合もないとはいえません。
サポートが充実している製品を選べば、困ったときに迅速に対応してもらえるため、安心して使用を開始できます。逆に、サポート体制が不十分な製品を選んでしまうと、問題解決に時間がかかり、業務の効率が低下するリスクがあります。業務の中断が許されない企業にとって、迅速かつ的確なサポートは欠かせません。
経理・税務関連帳簿の保存期間について
経理・税務関連の帳簿には、取引の記録や経費の証拠として保存が必要なものが多数存在します。たとえば、総勘定元帳や仕訳帳、現金出納帳など、日常の業務で作成する帳簿は、企業活動の記録として保存義務が生じます。これらの帳簿は、企業の経営状況を示す重要な証拠であり、税務署からの要求があった場合には、速やかに提示する義務があります。
保存期間については、法律によって異なる規定が設けられています。一般的には、監査報告や従業員の宣誓書や雇用保険に関する書類などは5年間、法人税や消費税に関する帳簿は7年間の保存が義務付けられており、これに加えて、所得税に関する帳簿や書類の保存期間も7年間と定められています。また、国税通則法では、法人が解散した場合でも、帳簿は保存期間が経過するまでの間、解散後も適切に保存する必要があると定められています。
さらに、電子帳簿保存法の適用を受ける場合には、電子データとして保存する帳簿や書類に関しても、同様の保存期間が適用されます。この場合、データの改ざん防止措置や、検索機能の確保といった要件を満たす必要がありますので、事前に準備を整えることが重要です。
【5年間の保管が必要なもの】
- 監査報告 (本店備置き分。支店備置き分はその謄本を3年保存)(監査役設置会社等の場合)
起算日:株主総会の1週間(取締役会設置会社は2週間)前の日 - 会計監査報告 (本店備置き分。支店備置き分はその謄本を3年保存)(会計監査人設置会社の場合)
起算日:株主総会の1週間(取締役会設置会社は2週間)前の日 - 会計参与が備え置くべき計算書類、附属明細書、会計参与報告 (会計参与設置会社の場合。会計参与が定めた場所に備置き)
起算日:株主総会の1週間(取締役会設置会社は2週間)前の日 - 金融機関等が保存する非課税貯蓄申込書、非課税貯蓄申告書、非課税貯蓄限度額変更申告書、非課税貯蓄異動申告書、非課税貯蓄勤務先異動申告書、非課税貯蓄廃止申告書などの写し
起算日:これらの申告書、退職等に関する通知書等の提出があった年の翌年 - 金融機関等が保存する海外転勤者の財産形成非課税住宅貯蓄継続適用申告書、海外転勤者の国内勤務申告書などの写し
起算日:これらの申告書、退職等に関する通知書等の提出があった年の翌年 - 金融機関等が保存する退職等に関する通知書
起算日:これらの申告書、退職等に関する通知書等の提出があった年の翌年
【7年間の保管が必要なもの】
- 取引に関する帳簿(仕訳帳、現金出納帳、固定資産台帳、売掛帳、買掛帳など)
※証憑書類のうち取引に関する事項(法人税法施行規則の別表22に定める記載事項の全部または一部)を帳簿に記載することに代えて、記載されている書類を整理保存している場合の書類を含む
起算日:帳簿閉鎖日および書類作成日・受領日の属する事業年度終了の日の翌日から2か月を経過した日(当該事業年度分の申告書提出期限の翌日) - 決算に関して作成された書類(上に挙げた、会社法で10年保存が義務づけられている書類以外)
起算日:帳簿閉鎖日および書類作成日・受領日の属する事業年度終了の日の翌日から2か月を経過した日(当該事業年度分の申告書提出期限の翌日) - 現金の収受、払出し、預貯金の預入れ・引出しに際して作成された取引証憑書類(領収書、預金通帳、借用証、小切手、手形控、振込通知書など)
起算日:帳簿閉鎖日および書類作成日・受領日の属する事業年度終了の日の翌日から2か月を経過した日(当該事業年度分の申告書提出期限の翌日) - 現金の収受、払出し、預貯金の預入れ・引出しに際して作成された取引証憑書類(領収書、預金通帳、借用証、小切手、手形控、振込通知書など)
起算日:帳簿閉鎖日および書類作成日・受領日の属する事業年度終了の日の翌日から2か月を経過した日(当該事業年度分の申告書提出期限の翌日) - 有価証券の取引に際して作成された証憑書類(有価証券受渡計算書、有価証券預り証、売買報告書、社債申込書など
起算日:帳簿閉鎖日および書類作成日・受領日の属する事業年度終了の日の翌日から2か月を経過した日(当該事業年度分の申告書提出期限の翌日) - 取引証憑書類(請求書、注文請書、契約書、見積書、仕入伝票など)
起算日:帳簿閉鎖日および書類作成日・受領日の属する事業年度終了の日の翌日から2か月を経過した日(当該事業年度分の申告書提出期限の翌日) - 電子取引の取引情報に係る電磁的記録(取引に関して受領または交付する注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類に通常記載される事項の記録)
起算日:帳簿閉鎖日および書類作成日・受領日の属する事業年度終了の日の翌日から2か月を経過した日(当該事業年度分の申告書提出期限の翌日)
【10年間の保管が必要なもの】
- 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書、配偶者特別控除申告書、保険料控除申告書
起算日:法定申告期限 - 源泉徴収簿(賃金台帳)
起算日:法定申告期限 - 給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書
起算日:課税関係終了の日 - 課税仕入等の税額の控除に係る帳簿、請求書等(5年経週後は、帳簿または請求書等のいずれかを保存)
起算日:課税期間末の翌日から2か月を経過した日 - 資産の譲渡等、課税仕入、課税貨物の保税地域からの引取りに関する帳簿
起算日:課税期間末の翌日から2か月を経過した日 - 計算書類および附属明細書(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表)
起算日:作成した時 - 会計帳簿および事業に関する重要書類(総勘定元帳、各種補助簿、株式申込簿、株式割当簿、株式台帳、株式名義書換簿、配当簿、印鑑簿など)
起算日:帳簿閉鎖の時
これらの保存期間が定められている帳簿の中には、電子データとしての保存が容認されているものもあります。たとえば、取引証憑書類(領収書、預金通帳、借用証、小切手、手形控、振込通知書など)は電子データによる保存が認められている上に、スキャナ保存も可能です。
会計ソフトを選ぶ際は、電子データ保存が可能な帳簿の種類についても併せて確認することをおすすめします。ただし、保存期間が定められている帳簿を電子データとして保存する場合は、「国税関係帳簿の電磁的記録等による保存等の承認申請書」にて使用するソフトやシステムの名称を、プログラムの概要として承認申請することが必要です。
参照元: https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/sonota/980528/pdf/02.pdf
中小企業が会計ソフトを導入する際に利用できる補助金
中小企業が会計ソフトを導入する際には、初期費用や導入後の運用コストが負担となることも少なくありません。この場合、適切な補助金を活用すれば、負担を軽減してスムーズに導入を進められる可能性があります。
まず、中小企業投資促進税制を利用する方法があります。この税制は、2025年3月31日まで適用可能で、会計ソフトのような生産性向上に寄与する設備を導入した中小企業が、税額控除や特別償却の対象となる制度です。具体的には、一定の要件を満たす設備投資を行った企業に対して、取得価額の一定割合が税額控除されるか、特別償却が認められます。これらにより、会計ソフトの導入にかかる費用を大幅に軽減できる可能性があります。
次に、IT導入補助金も中小企業が会計ソフトを導入する際に活用できる重要な支援制度です。この補助金は、ITツールの導入を通じて中小企業の業務効率化や生産性向上を支援する目的で提供されています。会計ソフトの導入においては、特にインボイス制度対応が求められる中、インボイス枠を活用することが推奨されます。
IT導入補助金の補助率は、導入するITツールの種類や事業規模によって異なりますが、小規模事業者に対しては最大で導入費用の4/5、中小企業には最大3/4が補助される仕組みです。制度をより詳しく知りたい場合は下掲のサイトもご覧ください。
参照元:中小企業庁 中小企業投資促進税制
参照元:IT導入補助金 2024
会計ソフトを導入して業務を効率化させよう
会計ソフトの導入は、経理業務の効率化に大きく寄与します。手作業で行っていた煩雑な仕訳作業や帳簿管理が自動化されることで、ミスの削減と時間の短縮が可能となり、企業全体の生産性向上に繋がります。また、リアルタイムで財務状況を把握できるため、経営判断のスピードと正確性も向上します。企業の将来を見据えた投資として、会計ソフトの導入を積極的に検討してみてはいかがでしょうか。
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