会計システム導入までの手順や注意点を解説

 2020.11.26 

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企業会計は企業や業種によって内容や規模がさまざまですから、最も適した会計システムもそれぞれ異なります。自社のニーズに合わないシステムを選択してしまうと、作業者の負担増やコスト増につながる結果になりますから、導入にあたっては慎重に選定作業を行う必要があります。そこで今回は、新規に導入する会計システムを選定するときの手順や注意点を解説していきます。

会計システム導入までの手順や注意点を解説

会計システムとは?

会計システムとは、コンピュータ処理を利用して企業の会計処理をすべて記録し管理するシステムです。会計業務がスムーズになるのはもちろん、伝票処理など経理部の業務をサポートする機能も多数備わっています。

これまでは紙やExcelなどの表計算アプリで帳簿類や伝票などを一つ一つ作成していましたが、会計システムでは総勘定元帳や仕訳帳などがデータベースにすべて保存されており、それをもとにして請求書など各種の帳票や税務申告書類などの出力もできます。

また、手書き帳簿やExcel記入では、帳簿や伝票ごとにデータを入力する必要がありましたが、会計システムを利用すれば、一度の入力ですべての帳簿類にデータを連動させることができるので、大幅な省力化が可能になります。

会計システム導入までの手順

まずは、自社のニーズに合った会計システムを選択することが大切です。選定を誤ると作業がかえって煩雑になったり、財務管理が不透明になったりする原因にもなりかねません。問題発生を防ぐためにも手順を踏んで確認しながら導入を進めましょう。

1. 基礎知識を身に付ける

まずは、各ベンダーが提供しているサービスごとに特徴を把握しておきましょう。
会計システムには自社が保有する個別の機器にソフトウェアをインストールして使う「インストール型」と、インターネットを介したクラウドサービス上で利用する「クラウド型」、さらに、自社運用で他の業務システムや基幹システムと連携させている「基幹システム連携型」というタイプもあります。

基幹システム連携型は、会社全体のシステムを統合して、他の業務と連携しながら財務管理と会計を行うもので、これまで大企業で多く採用されてきたスタイルです。

システムで利用するハードウェアや回線は自社で保有し、社内のシステム担当者が運用や保守を行います。社内ネットワーク内部で利用できるためセキュリティ面では有利ですが、システムの管理維持には一定のコストがかかります。

インストール型はパッケージで販売されているソフトウェアを購入してPC端末にインストールして使用します。ソフトウェア自体は家電量販店などでも手に入れることができるので、小規模事業者でも比較的始めやすいスタイルです。

最近普及しているクラウド型は、インターネットに接続して利用するサービスです。ソフトウェアを個々の機器にインストールする必要がなく、インターネット回線が利用できれば場所を選ばずに作業が行えるという利点があります。また、運用や保守の大部分はサービス提供企業が行いますので、自社運用に比べて手軽に始められるのもメリットです。

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2. 目的の明確化

もちろん、導入や製品選びを成功させるためには、会計システムを導入する目的を明確にすることが非常に重要です。

導入することそのものが目的になってしまうと、多機能であったり低コストであったりというだけの理由で製品を選定してしまい、その結果、自社に合わない製品を選んでしまうといった失敗が起こりがちです。

ですから、適切な製品選定には自社の会計業務の現状と課題を整理した上で、会計システムを利用してそれらの問題点をどのように解決したいのか明確にしておくことが大切です。

また、実際の運用者の間でも社内での役割や担当業務によって立場が異なるでしょう。経営者、システム担当者、実際に運用するエンドユーザーそれぞれの立場からの異なる視点で現状分析を行い、自社のシステムに必要な機能を洗い出して行きましょう。

3. 必要な機能の抽出

いろいろな立場からの現状分析と課題の抽出を行ったら、課題解決のために必要な機能をリスト化してみましょう。

求められる機能としては「他の業務システムとの連携」「作業時の入力支援・補助」「データのインポート・エクスポート」「会計基準や税法などに対応するコンプライアンス関連機能」「セキュリティ対策」などが考えられます。

リストアップの際は、必要な機能が満たされているかどうかのチェックはもちろんですが、不必要な機能が盛り込まれすぎていないかという点にも注意しましょう。自社に必要ない機能が多数付属していると、利用コストがかさんだり、操作が煩雑になって業務効率が下がったりする場合もあります。関係者とヒアリングを重ねながら機能を絞り込んで行きましょう。業務の想定フローチャートやシステム全体のアルゴリズムを作成してみるのもよい方法です。

4. システムの選定

いよいよ選定段階に入ったら、まずは3でリスト化した機能を備えているサービスをピックアップしていきましょう。自社の条件を満たしているサービスを3~5種類程度選定して、さらにそれらのサービスベンダーにRFI(情報提供依頼書)を提出して、得られた製品情報を比較しながら絞り込んでいくとよいでしょう。そして、次の段階ではベンダーにRFP(提案依頼書)を提出し、改めて具体的な提案を受け、プレゼンテーションなどを受け決定することになります。

もちろん、特に使用感や操作感などは、実際に運用してみて初めて分かることもあります。無料トライアルが可能なサービスがあれば、積極的に利用するとよいでしょう。

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会計システムを導入する際の注意点

会計システムの導入にあたって注意しておきたい点もいくつかあります。トラブルを回避するためにも、必ず確認しておきましょう。

クラウド型はインターネット環境が必須

クラウド型サービスで会計システムを運用するなら、安定した品質のインターネット環境を確保することが必須です。クラウドサービスはオフラインでの使用ができません。ですから、ネットワークに障害が起こるとシステムが使用不能になり会計業務のストップで混乱を来す可能性もあります。

信頼性の高い業者を選定し、業務に支障がないように高品質の回線を確保しておきましょう。

会計システムのリスクを知っておく

電子データ化された帳簿が本質的に抱えているリスクにデータの消失があります。データは削除を行えば簡単に消失するので、操作ミスで深刻なトラブルを招くこともあります。ですから、日常的に複数のバックアップを作成しておく必要があります。

大半の会計システムにはバックアップ機能がありますが、バックアップデータが通常データと同一のハードウェア上にある場合、バックアップも同時に破損することもあります。バックアップデータは元データと物理的に異なる場所に置き、セキュリティ対策も同様に行いましょう。

また、電子データで保存する場合には、データ漏洩や改ざんを防ぐ対策を講じておかなければなりません。これにはアクセス制限を行ったり、パスワードを設定したりするなどの方法があります。

従業員が使いやすいかどうか

作業者の負担がシステム刷新で増えすぎることがないように、実際に使いやすいサービスを選定するのも非常に大切です。特に販売管理システムなど基幹業務システムと連携させて一元化する場合、あらゆるスタッフにとって使いやすいシステムであることが望まれます。システムのUIが使いやすさを考慮したものになっているかも重要です。

導入前に作業者にヒアリングを行ったり、試用期間を設けてモニタリングを行ったりするなどして作業者からもフィードバックを受けておくとよいでしょう。

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まとめ

会計システムを導入するにあたっては、システムで実現したいことを明確にした上で、自社の業務に必要かつ十分な機能を備えているシステムを選択することが大切です。

正しい製品選択を行うためには、経営陣だけではなく実際の作業者やシステム担当者を加えた三者の立場から現状の問題点を洗い出し、システムに求めるものを絞り込んで行く必要があります。

必要な機能をリストアップしたら、導入を検討している製品にその機能が実現されているか、不必要な機能が多すぎて過剰なシステムになっていないかなどを確認しましょう。こうして慎重に選定を進めることが、導入後の運用トラブルを減らすことにもなります。

こうした確認・選定の作業をスピーディーに行い、短期間で導入が実現できればその分のコスト削減にもつながります。手順良く作業を進めて、早期の決定と導入を図りましょう。

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