Eコマース
Eコマースパッケージとは?
Eコマース(EC)とは「電子商取引」のことで、主にインターネット上での取引を指します。そのため、統計情報などでは製造業を中心に導入されているEDI(Electronic Date Exchange:電子データ交換)による取引も含まれる場合もありますが、一般的にはインターネット上のWebサイトを介して発生する取引を指します。そのため、商取引用のWebサイトを「ECサイト」と呼びます。
実際にECサイトを構築するためにはおもに次の3通りの方法があります。
1. Webサービスを利用する
ECサイト運営がビジネスの「当たり前」になったことで、多くのベンダーがECサイトを簡単に構築できるWebサービスを提供しています。これを利用すればテンプレートを使用してECサイトを構築し、あとは商品登録を行ったり決済方法に対応させるだけで利用できます。ただし、ECサイトの自由度は限定されます。
2. パッケージ製品を利用する
パッケージ製品とはある程度ECサイトが作りこまれており、それを適用して設定するだけでECサイトを構築できるソフトウェアです。ゼロから構築するよりも多少自由度は下がりますが、ECサイト構築の時間を短縮したり、コストを削減できるメリットがあります。パッケージの機能をベースにしながら、企業独自にカスタマイズ可能な製品もあるため、ECサイト構築手段の主流でもあります。
3. ゼロから構築する
ECサイトを完全にゼロから構築すると、手間とコストはかかりますが、企業ニーズをすべて反映できるというメリットがあります。独自の機能やインターフェイスで差別化を図ることができます。ただし、設計から構築までのコストや要する期間を考慮すると、ゼロから構築するメリットがある場合は限られるでしょう。
それぞれ特徴がありますが、一般的にはECパッケージを利用するのが費用対効果に優れる場合が多いでしょう。
背景/目的
Eコマース大手のAmazonがそのサービスを提供開始したのは1994年であり、その3年後に日本で楽天がサービスを提供し始めています。当時は「インターネットで商品を購入する」という行為に懐疑的なユーザーが多かったものの、2000年頃からインターネットの普及が急速に拡大し、インターネットショッピングへの抵抗感が薄れていきます。
ECサイトでは小売店と違って中間マージンがかからなかったり、店舗のコストが不要であるため低価格で商品を提供できる傾向にあり、一般の消費者にも急速に浸透してゆきました。それに伴って企業のECサイト運営も活発化し、いまではBtoCだけでなくBtoBの取引においてもECサイトの運営が必須となってきています。
しかし初期のECサイトでは、サイトを一から開発しなければならず、初期投資の大きさから大企業を中心とした市場でした。そこで、「ECサイトを低コストで効率的に開発したい」というニーズからEコマースパッケージが生まれました。
課題
デジタルサービス市場は変化が激しい領域であり、毎年トレンドが変わっています。そのためEコマースパッケージの利用においても様々な課題があります。最も注目すべき課題が「チャネルの多様化」です。チャネルとは商品を販売したり顧客とコミュニケーションを取るための窓口のことで、現代のビジネスには無数のチャネルが存在します。
ECサイト、実店舗、ソーシャルメディア、メディアサイト、メールなど複数のチャネルを統合することで顧客に新しい購買体験を届けることが大切です。そうした取り組みをオムニチャネルといいます。
ただし、オムニチャネル化には複数のチャネルを統合管理するためのソリューションおよびプラットフォームが必要で、従来のEコマースパッケージでは対応仕切れないのが現状です。
さらに、ECサイトで発生した情報をリアルタイムに他の業務システムに連携し、業務の効率化や判断の迅速化に貢献することも欠かせません。
ソリューション(解決)
Eコマースパッケージの課題を解決するために欠かせないことが「統合的なシステム連携」です。Eコマースパッケージはもちろん販売管理システム、在庫管理システム、調達管理システム、原価管理システム、マーケティングシステム、データ分析システムなどECサイトに関係する複数のシステムを連携することで、オムニチャネルの活用による顧客体験の向上や経営上の意思決定のための基盤を整えることができます。
その具体的な解決策として注目されているのがクラウドERP(エンタープライズリソースプランニング)です。クラウドERPは経営に欠かせないあらゆるITシステムを一つに統合し、各システムでのデータ連携をスムーズにするためのソリューションです。加えてクラウドなのでインターネット経由で提供され、ECサイトとの親和性が高いのも特長の一つです。
機能
一般的なEコマースパッケージは次のような機能を備えています。
・ECサイト基本機能
ECサイトを構築するための中核機能です。商品の一覧やカート、決済など、購入に関する一連の基本機能を提供します。様々なテンプレートから素早くECサイトを構築したり、フレームワークを使用してデザイン性の高いECサイトを構築することも可能です。
・レスポンシブ対応
レスポンシブとはECサイトを利用する端末に応じて表示サイズや形式を変更するための機能です。スマートフォンからのECサイトへのアクセス率が非常に高い現在、レスポンシブ対応は欠かせません。
・オープンサイト・クローズドサイト
全てのユーザーに公開するためのオープンサイト、会員限定のクローズドサイトなどEコマースパッケージはその用途に応じてサイト形態を分けられます。
・クーポン・割引
キャンペーンクーポンを配布したり、割引を適用して収益を上げます。
・レコメンド
ユーザーが商品を購入したり閲覧しているときに別の商品をおすすめする機能です。
・決済対応
クレジットカード決済や銀行振り込みを基本として、ECサイトでは様々な決済対応ができます。
・ポイント
商品を購入したユーザーにポイントを付与することでリピート率を高めます。
・メール配信
注文確認やマーケティングなど様々な目的でメール配信を利用できます。
メリット
Eコマースパッケージを利用するメリットは「素早く構築できて、かつ自由度が高い」という点です。ゼロからの構築(フルスクラッチ)に比べて速く、低コストで構築できかつデザインや機能もある程度はカスタマイズ可能です。Webサービスは速く低コストで利用できるものが多いですが、基本的にはあらかじめ用意されているテンプレートを利用するため、自由度は大きく下がります。
さらに、最近ではマーケティング機能やチャネル連携機能が充実しているので、デジタルマーケティングの効率化やオムニチャネル化の実現などEコマースパッケージで対応できることが多くなっています。
デメリット
デメリットとしてはある程度デザイン性の高いECサイトを構築するとなると、相応のスキルを持った人材が必要ということです。カスタマイズが必要になった場合には、そのEコマースパッケージに精通したエキスパートが必要になるでしょう。パッケージから大きく変更するようなカスタマイズをしてしまうと、デメリットのほうが大きくなる可能性があります。
選び方のポイント
Eコマースパッケージを選ぶ際は、その製品がどういった領域に強いのかを見極めることが何よりも大切です。一口にEコマースパッケージといっても多様な製品があり、特定の分野に特化しているものなど様々な製品が提供されているため、製品選定は容易ではありません。
基本的にECサイトはその役割が大きくなってゆきますので、将来に向けての拡張性や、他のシステムとの連携という視点で選択することが必要です。
まとめ
現代ビジネスにおいてECサイト運営は欠かせません。一般消費者だけでなく企業の購買行動もデジタルへ移行しているため、最近では企業向けのECサイトも多く登場しています。ECサイトを構築、運用する際はEコマースパッケージの利用が現実的であるとともに、他の業務システムとの連携を念頭に置きながら活用することをお勧めします。
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