予算管理システム

予算管理システムとは？

予算管理システムは「企業の予算を管理するためのシステム」です。しかしながら、予算管理は予算編成のためだけにあるシステムではありません。企業の予算は様々な業務に影響するものなので、予算管理だけが独立して存在するわけではないということに注意が必要です。

様々な管理業務の中で、特に経営に絡みやすいものなので、予算管理はシステム化によって業務効率をアップしたりデータの信憑性を高めることが重要です。

背景／目的

予算管理の実施理由は、単に予算を決定し部門ごとに経費を割り振るためにではありません。主に次のような目的があります。

製品を製造するために、サービスを提供するために必要な予算を計算し、それを意識した予算計画を立てる
目標利益を達成するために必要になる経費はどれくらいか？また、それは目標達成に十分な金額か？を考える
目標利益を達成するために必要な諸経費の上限を決めて無駄な予算を分配しないようにする
予算編成を行いそれと同時に経営戦略を従業員に伝えることで、組織の隅々まで企業の意思を浸透させる
どこに、どれくらいの予算を分配するかを決めることでその責任の所在を明確にする
目標利益を達成するための予算計画に対し実際にどれくらいの経費を使ったかを計算することで達成率を割り出す
各部門、与えられた予算内で目標を達成できたかを計算し、部門責任者や部門従業員を正当に評価する予算計画に対する各部門の進捗度合いを確認し、必要があれば予算を修正したり予算を使い過ぎないよう勧告する

このように、予算管理には色々な目的があります。そのどれもが経営活動へ綿密に結びついているため、予算管理の実施およびそれを実現するための予算管理システムは欠かせません。

課題

多くの企業では、次のような予算管理の課題を抱えていることが多いでしょう。

事業成長に予算管理システムが追い付かない

予算管理システムに求める機能は事業規模や業務形態によって変わります。事業が成長していくと従業員が増えますし、新しい部門が設立されます。組織体系も変わるため、成長とは企業にとって大きな変化と言えるでしょう。しかし、予算管理システムがその変化に追いつかないことで、事業成長の足を引っ張り予算管理を効率的に行えない現状があります。

予算と実績の対比・分析に時間がかかる

予算計画に対し組織的・部門的にどういった実績だったのかは、次年度の予算編成の際に欠かせない情報です。しかし、予算計画と比較するための実績が記された資料やデータは各部門が所持しているので、これを収集するのに時間がかかります。さらに、各部門が異なるフォーマットでそれを管理していると、一度フォーマットを統一する必要があるので余計に時間がかかってしまいます。

部門ごとの予算案提出が遅く業務がスムーズに進まない

予算編成を決定する際は各部門に予算案を作成してもらい、それを基準に予算計画を立てていきます。なので予算編成をスムーズに進めるためには、各部門が予算案を素早く作成して提出することが大切です。しかし、部門ごとに予算案を作成・提出するスピードが違うので、一つでも遅れる部門があればその分予算編成が遅れます。

予算案の調整に手間が多いため最終的に妥協が混じる

さらに予算編成の際は各部門から提出された予算案を確認し、必要に応じて部門とコミュニケーションを取って予算案を調整しなければなりません。しかし、この調整作業には手間が多くコミュニケーションコストもかかるので、時間の制約を考えて妥協が混じることもあります。

ソリューション(解決）

予算管理の課題を解決するために、次のようなソリューションを検討しなければなりません。

1. 柔軟性が高く事業成長に順応できるシステム

企業が継続的に経営していく以上、事業成長やその反対に事業衰退は必ず起きます。そうした際に、事業規模や業務形態に常に合わせて予算管理システムを改修することが欠かせません。これを考慮すると、柔軟性が高く容易にカスタマイズでき、かつバージョンロックが無い予算管理システムを選ぶことが大切です。

2. 各部門のフォーマットを統一する

予算計画に対しる実績を正しくかつ素早く評価するには、部門ごとに異なっていたフォーマットを統一することが効果的です。実績に関する資料やデータが同じフォーマットで提出されれば、担当者の負担は大幅に減り素早く予実管理や差異分析ができます。

3. システム上から予算案が提出できる環境を整える

予算管理システムを選ぶにあたって、担当者だけが使用するシステムではなく部門ごとに一部機能を利用でき、システム上で予算案が提出できるような製品であれば予算編成がスムーズに進みます。その際はアクセス権限などの管理機能が充実しているものを選ぶのも大切です。

4. 予算案調整の手間を削減するシステム

予算案の調整も予算管理システム上で完結できるような環境があると、予算編成はさらにスムーズになります。

機能

予算管理システムは主に次のような機能を備えています。

部門ごとに最適化された予算案入力フォーム
予算案情報の収集および分析
予算案調整のためのコミュニケーション
予算編成に対する実績のモニタリング
予算の再編成
予算シミュレーション
予算編成に対する実績の評価・分析
グループ連結の予算編成
複数拠点の人件費一元管理
予算分析によるレポート出力

この他にも、予算管理システムは製品ごとに様々な機能を提供しています。製品ごとに特徴が大きく異なるため、自社にとって最適な製品を選ぶことが大切です。

メリット

予算管理システムには次のようなメリットがあります。
予算編成にかかる時間削減
予算案作成の手間を削減
予算編成時にミス削減
予算担当者の負担軽減
予算編成の可視化
全社的な経営戦略の共有
予算監視による修正の迅速化
経営意思決定の迅速化
短いスパンでの予算編成が可能
適切なKPIの設定
経営・各部門の問題点発見
運用継続による予算精度向上

デメリット

予算管理システムのデメリットはその「費用」でしょう。特に中小企業にとっては、予算管理をExcelのような表計算ソフトで行っていたり予算管理を経営に絡めることが少ないため、予算管理システムを導入するための費用がボトルネックになることが少なくありません。システムが増えることで運用負荷が大きくなるのも、一つのデメリットです。

もちろん、予算管理の重要性を十分に理解していれば、予算管理システムへの投資を高く感じることはないかと思います。

選び方のポイント

予算管理システムを選ぶ際に大切なことは、システムを扱う容易性と事業成長に対応できるだけの柔軟性です。予算管理システムは予算担当者だけでなく、各部門が使用することもあるため、容易に扱えるシステムでないと導入によって業務効率が下がる恐れがあります。

また、予算はあらゆる業務にとって関係するものです。そのため、各業務システムへの連携は重要な要件になります。そのため各業務システムのデータが一元管理されるERPは予算管理システムの観点でも合理的な選択肢になります。さらに、事業成長に合わせて機能などを拡張できるシステムであるかなど、将来的な要件も加味して検討する必要があります。拡張性の観点ではクラウドサービスのメリットがあります。

これらの予算管理システムに求められる要件を加味すると、クライドERPは有力な選択肢となるでしょう。業務システムとの連携と拡張性のメリットを享受することが可能です。

まとめ

会社にとって予算とは「経営の指針」です。その指針をもとに舵を切っていくため、予算情報はすべての事業や業務にとっての基準となる指標です。予算管理システムを適切な観点で導入し、事業の予算管理と事業運営を適切にしましょう。