会計ソフト
会計ソフトとは?
会計ソフトとはすべての法人において必要となる会計業務を正確かつ効率的に行うためのソフトウェアです。会計業務はその処理内容や方法のルールが決まっており、定型作業が多いことからコンピュータの普及とともに会計ソフトが登場し、多くの企業が活用してきました。現在では個人事業主においても3割以上が会計ソフトを導入しており、法人が最も利用しているソフトウェアの一つでしょう。
会計ソフトの主な役割は取引に伴って発生する仕訳作業を効率良く行ったり、複数の帳票をソフトウェアを通じて発行することです。さらに近年の会計ソフトは高度化しており、ソフトウェアに記録したデータを一元管理し、経営分析を行うなど様々な機能が備わっています。
背景/目的
小規模な事業では会計ソフトを導入しなくとも、Excelなどの表計算ソフトを使用してもある程度は管理できるかもしれません。たしかにExcelには作業を自動化するためのマクロ機能や様々な関数が付属しており、会計業務を効率化できるというメリットがあります。
しかし、事業規模が大きくなったり、特殊な取引が発生した際などには、表計算ソフトは会計専用のソフトではないので、処理の正しさを自分で判断する必要が出てきます。また単純に取引量が増えることによっても適切な会計データを管理できない可能性があるのです。
さらに、データ活用の観点から考えると、会計情報は企業活動の最も基本的な情報ともいえます。金銭的、経済的な変化を伴う活動はすべて会計処理として記録されます。そこで様々な機能を備え、データ活用まで含めて会計ソフトがカバーする方向性になってきています。
課題
会計ソフトの存在によって企業は多くの問題を解決してきました。自動仕訳などで処理の正確さや効率を向上したり、財務諸表をはじめとした帳票の作成を容易にしたり、様々な効果があります。しかし、会計ソフトにも課題があります。それが「分断化された環境での生産性低下」と「事業成長に追従できないこと」です。
たとえば一般的な販売業務を想定すると、顧客から注文が入った際はまず在庫管理システムで在庫を引き当て、その後に販売管理システムやExcel等で見積りを作成します。受注した際には販売管理システムにデータを入力し、経理部門が会計ソフトから請求書を発行します。このように一つの販売業務だけで複数のシステムやソフトウェアの利用が必要なのですが、これらが分断化された環境ではデータの受け渡しがスムースに行われず、データの一貫性や効率が低下する原因になります。
さらに会計ソフトは事業成長に伴った従業員拡大や海外展開などに追従できないことが多く、スタンドアロン型やクライアント/サーバー型のソフトウェアではパフォーマンスやデータ量に対応できない可能性が出てきます。
ソリューション(解決)
そうした課題を解決するために注目されているのがクラウドタイプの会計ソフトおよびERPです。クラウドとはインターネット経由で提供されるサービス群の総称であり、従来はサーバーやクライアントにソフトウェアをインストールして利用していたところを、クラウドであればインターネット接続環境さえあれば、サーバーなどの構成やサイジングなどを気にせずソフトウェアを利用できます。
クラウド会計ソフトは一般的にサービスを利用する人数に合わせて契約プランを変更できます。なので事業成長に合わせてユーザー数を増員することも可能ですし、逆にユーザー数を減少させることも可能です。常にユーザー分のコストしか発生しないため、コストパフォーマンスにも優れています。
さらに高い効果を発揮するのがERP(統合基幹業務システム)です。ERPとは会計ソフトを含めた様々な業務システムを統合的に提供するプラットフォームです。会計管理のためのシステムだけでなく、その取引の発生源である販売管理システム、受注管理システムなどあらゆるシステムが一ヵ所に集約されているので、システム間でのデータの整合性がリアルタイムに保たれます。
そのため会計業務を含め企業全体での業務効率化になり、これまでの会計ソフトが持っていた課題を解決します。
機能
会計ソフトには一般的に次のような機能が備わっています。
1. 自動仕分け
自動仕分けは経費精算やネットバンキングやクレジットカードの使用明細から仕訳を自動的に行う機能です。もちろん手動での仕訳も可能で、ソフトウェアが適切な仕訳をサポートします。
2. 帳票発行
業務に合わせて様々な帳票を発行できます。会計ソフトによってはカスタマイズ帳票の発行も可能です。
3. 回収・支払管理
企業収益を確保するためには代金回収が欠かせませんし、企業としての信用を維持するためには支払管理が欠かせません。会計ソフトではこうした管理を提供することで、収益や信頼の維持を行います。
4. 決算書作成
会計ソフトを使用すれば決算書作成も効率化できます。ただし製品によってどのように対応しているかが違うので注意しましょう。
5. 経営分析
高度な機能を備えている会計ソフトでは様々なデータを集計して経営分析を行ったり、予算シミュレーションなどが行えます。
6. 予実管理
予実管理を実施して経営計画の進捗を評価することで、新しい経営判断を降したり様々なシーンで活用できます。
7. データ連携
会計ソフト以外の業務ソフトやシステム、あるいは他の会計ソフトとデータ連携することで業務効率を向上します。
メリット
会計ソフトを導入するメリットはやはり会計業務の効率化ですが、最近ではそれ以上に経営分析などデータ活用をもとにしたメリットが着目されています。ビッグデータ分析を注目されるようになってから多くの企業がデータ活用に注目しており、会計ソフトでもその流れの中で分析機能が強化されているのです。
さらにデータや仕訳の入力ミスが少なくなったり、細かいところでもメリットも多数あります。
デメリット
様々なメリットがある会計ソフトですが、デメリットがないわけではありません。たとえば「会計ソフトを導入すると知識がなくても会計業務ができる」と思われがちですが、実際には会計に関する知識やスキルは欠かせん。「経理未経験でも大丈夫」とうたっている製品もありますが、やはりある程度の知識やスキルは欠かせないので注意しましょう。
もう一つのデメリットは継続的に法改正対応などが必要であるということです。しかし、どのような方法を取っていても法改正には対応しなくてはいけないので、会計ソフトのデメリットとはいいがたいかもしれません。しかし、従来のオンプレミスで展開する方法では、そのたびにソフトを更新しなければなりません。
そこでクラウドの会計サービスを使うことで自動的に最新の法対応や新機能の利用が可能になります。このため、会計ソフトはクラウドとの相性が良いと言えます。また初期投資を抑え、費用を平準化できるのもクラウドのメリットです。
選び方のポイント
会計ソフトを選ぶ際は、まず最初にクラウドタイプを導入するかパッケージ製品を導入するかを選択することが大切です。それぞれにメリットがありますが、最近の主流はやはりクラウドです。先述の通り、会計ソフトは常に最新の法対応などを求められるため、クラウドによるメリットが大きい領域です。
さらに近年重要視されているデータ活用の始点を加えると、独立した会計ソフトではなく、ERPを検討するとよいでしょう。会計データの発生はもともと様々な業務によるトランザクションが起点です。そのため、ERPはトランザクションの発生から会計データの作成を一貫して行え、リアルタイムに正確な情報を管理できるのです。
このように、会計ソフトに何を期待するかによって適切な選択肢は変わるでしょう。ただ、業種や規模を問わず、会計ソフトには常に最新のルールへの対応と、他の業務システムデータとの整合性が求められます。そのため、会計ソフトの観点でもクラウドERPの存在感が高まっているのです。
まとめ
会計ソフトは法人としては不可欠なソフトウェアです。しかしながら、単に会計ソフトとして位置づけるのではなく、経営や事業に必要なデータの要として位置づけることでその価値が変わってきます。ぜひクラウドERPによる新たな価値もご検討ください。
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