退職率とは、在籍する従業員が自己都合や定年等の理由で生存退職する年齢ごとの発生率のことを指す。退職給付債務の計算で用いられる人口統計的な計算基礎のひとつで、在籍する従業員が今後どれほどの比率で退職していくかを推計する際に使用する。
一般的には、直近数年間の在職及び退職の実績に基づいて算定する。ただし、常に合理性のある計算基礎の設定が求められるため、リストラに伴う大量解雇、退職金の割り増しなど条件を提示した希望退職の募集による大量退職などの異常値があれば、これらを除いた過去の実績での算定が不可欠となる。
また、対象者が少ない、もしくは会社設立後の年数が浅いなどといった理由で、退職率を推定するためのデータが不十分な場合には、同業種の類似した企業で使用している退職率や所属している業種の統計資料などから推定し適切な補正を行うことを検討する。原則的に退職率は個別企業ごとに算定するが、連合型の企業年金制度において勤務環境が似通う企業集団に属する場合には、この集団の退職率を用いることができる。