経営判断の原則

 2019.05.15  クラウドERP実践ポータル

経営判断の原則とは、取締役が会社の経営で下した瑕疵のない判断によって損害が発生しても、裁判所は干渉せず、当事者である取締役も責任を負わないという考え方を指す。経営判断の原則における「瑕疵がない判断」とは、取締役の事実認識に不注意な誤りや判断内容に不合理な側面がないことを意味する。

例えば、融資・投資の判断で、必要な資料を十分に集めない・吟味しないまま判断を行う、明らかに回収の見込みがないと想定できるにも関わらず、融資や投資を実行する行為など、経営判断に不注意さや不合理さが認められる場合は、取締役の注意義務に違反していると判断される。取締役は会社と委任関係にあるが、善管注意義務・忠実義務を負っているため、実際はあらゆる判断を自由に行えるわけではない。

また、経営にはリスクがつきまとうため、裁判所が会社の経営判断の正当性を事後的に判断すると、取締役が判断を萎縮してしまう危惧が生じる。そのため、取締役の適切な判断による損害について、裁判所は必要以上に干渉することはない。

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