予定昇給率とは、退職給付会計で用いられる用語で、在籍する従業員に対して給与が将来どの程度上昇していくかを推定し、それをパーセンテージで表したもの。予定昇給率は、会社の給与規定や平均給与、ベースアップ見込み、業績や実績などのデータをもとに合理的に分析して算定される。
多くの企業では、従業員が退職した際の給付金額を前もって把握するために、この予定昇給率を利用している。退職給付金はほとんどの場合、退職する時点での給与を基本とし、勤務年数等に応じた支給倍率を乗じて算出される仕組みとなっている。そのため、退職時の給与を算出するうえで、予定昇給率が必要となる。
また予定昇給率を定めておくことは、全従業員に対する、公平で合理的な昇給を行うために必要とされる。さらに従業員があらかじめ昇給率を把握できるという点で、従業員が安心し、安定した勤務にも繋がる。
この予定昇給率は2012年の退職給付会計基準の改正により「予想昇給率」と呼び方が変更された。これに伴って「確実に見込まれる昇給」をもとに昇給率を算定していた従来の方法から、「予想される全ての要因」を考慮して昇給率を算定する方法に改められた。