財務内容評価法は貸倒見込額を算定する方法のひとつ。債権額から担保の処分見込額や保証による回収見込額を控除し、その残額と債務者の財政状態、経営業績などを検討して貸倒見積額を算定する。
企業会計には正確な期間損益を算定するため「費用収益対応の原則」があり、回収が事業年度をまたぐ債権については次期以降に回収不能となる場合に備え、あらかじめ貸倒見積高を算定し貸倒引当金を計上して帳簿の整合性を保つ。
この貸倒見積高を算定するために、債権を回収可能性によって三種に大別する。回収可能性が高いものを一般債権、業績の悪化などにより回収が危ぶまれるものを貸倒懸念債権、経営破綻またはその恐れが高く回収可能性が低いものを破産更生債権という。
「金融商品会計基準」及び「金融商品会計に関する実務指針」ではこれらの債権種類に応じて貸倒見積高の算定方法を規定している。一般債権は貸倒実績率法、貸倒懸念債権はキャッシュフロー見積法を適用するが、貸倒懸念債権の中でもより貸倒れリスクが高いと評価される債権や破産更生債権については財務内容評価法を適用する。