役員退職慰労金は、役員の退職にともなう慰労金のことを言う。一般の社員が受け取る退職金とは扱いが異なり、いくつかの制約事項がある。
まず、至急の可否や支給する金額、支払う方法などについて、株主総会で承認を受ける必要がある。この手続きを怠ると慰労金の支給は無効となり、受け取った役員には返還義務が生じる。ただし、一般的には、株主総会で取締役会に決定を一任される場合が多い。その際、全てを任せるケースと、慰労金全体の額についての決議だけを行い、誰にいくら支払うかなどは取締役会に任せるというケースの双方がある。
また、役員退職慰労金は、支払う金額が大きすぎると損金に算入できず、法人税の対象となる。妥当性の判断には功績倍率方式という計算式が使われる。具体的には、役員任期中の最終月の報酬額に勤続年数を掛け、そこに功績倍率と呼ばれる係数を乗じて算出する。功績倍率は役職によって目安があり、社長や会長は3、専務や常務は2.5、一般の取締役や監査役は2、などとされる。例えば、月額報酬100万円で10年社長を務めた場合、100万円×10×3=3,000万円となる。