遅延認識項目とは、退職給付会計において、発生主義では認識することが難しい数理計算上の差異や、過去の勤務債務及び会計基準変更時における差異のこと。
ここでいう発生主義とは、金銭のやり取りの有無に関係なく、取り引きが発生した時点で費用と収益を計上するという考えを指す。一方で遅延認識とは、必ずしも諸費用の発生年度に全額の費用処理を行わなくてもよく、発生年度の翌年以降に繰り越し、平均残存勤務期間年数にわたって規則的に費用計上していくという考えを指す。この遅延認識が適用される項目が遅延認識項目であり、上記にあげた各種差異が該当する。
退職給付会計において遅延認識が必要となる原因は、年金が数年をかけて管理されるため、一定期間影響し得る経済的利益の費用処理が必要だと考えられること、また常に費用処理が発生したタイミングで計上を行うと、ボラティリティ(価格変動)が大きくなってしまい、企業の経営における判断に、何かしらの影響を与える可能性があることがあげられる。