有償減資とは、株主に配当金を支払うことで会社の資本金を減少させる手続きを指す。有償減資によって資本金の減少とそれによる余剰金の配当という2つの取引が同時に行われることになる。
一般的に株主への配当は余剰金から支払われるもので、株主からの出資によって得た資本金から出すことはできない。しかし有償減資を行うことで資本金からの配当が可能となり、会社の業績が悪化している状態でも株主へ配当を行うことができる。そのため、有償減資は事業縮小よりも株主への一時的な措置として行われることが多い。一方で、資本金を減らして欠損の補填に充てることを無償減却と呼び、株主への配当はない。こちらは主に累積赤字の解消や、資本金減少による節税を目的としており、同じ減資でも有償減資とは性質が異なる。
資本金から捻出することで配当を行えるというメリットはあるが、有償減資を行うには原則として「株主総会の特別決議」と「債務者保護手続き」を行う必要がある。また、一般的に資本金が下がるという点に関して社会的信用度にマイナスのイメージがつくというデメリットもある。