貸倒懸念債権とは、経営破綻には至っていないものの、債務の履行に著しい問題が生じているもしくは生じる可能性が高い債務者を相手とする債権のことをいう。貸倒見積高の算定では、一般再建、貸倒懸念債権、破産更生債権等に分類し、それぞれの区分に応じた貸倒見積高の算定方法を規定している。貸倒懸念債権では、債権額から担保を処分したと仮定した場合の金額、保証による回収見込額を差し引いた後、相手の財政状態と経営成績を考慮して貸倒見積高を算出する。
貸倒懸念債権は貸倒見積高の算定をする際に設けられる区分で、貸借対照表上の区分とは異なるが、財務諸表等規則に区分に関して言及されていない。したがって、貸倒懸念債権が生じたとしても貸借対照表では当該債権を従来と同様の勘定科目を使用する。また、債権放棄をすることもできるが、長期にわたって債務超過状態が継続し、債務の履行を受けられないことを書面によって明らかにしない場合は、損金算入限度額の上限までしか損金算入ができない。