取得原価主義会計は、資産を購入した時点での原価を使用して評価するという資産の評価基準を採用した会計手法のこと。日本の会計では原則的な基準として用いられており、ほとんどの資産が購入したときの原価で計上されるため、企業活動の損益計算をするにあたって欠かせない基準となっている。
取得原価主義では過去の取引で実際に支払われた金額を用いるため、常に確実で信頼性が高い数字を導くことができる。その反面、有価証券など価値の変化が大きい資産については、取得原価主義は変化をリアルタイムに反映できないという問題がある。これらの資産は売却するまで実際の損益が数字として計上できず、含み益や含み損を抱えた状態が継続すると貸借対照表が正しく現状を示さなくなるため、その時点での市場価格をもとにする時価主義会計が採用される。
また、取得原価主義会計は市場に流通している通貨の価値が基準となるため、急激なインフレや通貨の価値が急落してしまうような不安定な経済環境では、取得原価主義会計は適当ではない。